20男性からも賛同を得ることができた?と思います
ソフィアに女性用の騎士団の制服を無理やり身につけさせられた男たちは、次の日、ソフィアの部屋を訪れていた。
「昨日は失礼を言って申し訳ございませんでした。ソフィア様の言うことに間違いはありません。私どももぜひ、ソフィア様の活動に協力させてください」
「昨日の体験が、自分たちの目を覚まさせてくれました。俺たちは一生、ソフィア様についていきます!」
「今後は、我々にどんな用事でもお任せください。ソフィア様のご命令とあれば、喜んで実行したします」
昨日のソフィアを馬鹿にした態度から一転、ソフィアを尊敬するかのような発言にも、ソフィアが動じることはなかった。
「そうですか。では、こちらの書類にサインをお願いします」
ソフィアはすぐに、女性騎士の制服改定の嘆願書を取り出し、男たちにサインを求めた。男たちは、内容を確認することなく、サインをし始めた。
「そ、ソフィアさん。あの、これはいったい……」
カナデは、ソフィアと合流後、自分に任された服の修繕が終わったことを伝え、またいつも通り、ソフィアの侍女として生活することになった。そのため、ソフィアの部屋にいたのだが、目の前の光景に唖然とするしかなかった。
「昨日の説得が功を奏したのでしょう。この調子でいけば、一カ月もする頃には、城周辺の男性全員から嘆願書のサインをもらうことができますよ」
良かったですね。
「はい、うれしいです。アリガトウゴザイマス」
ソフィアの威圧的な笑みに、カナデは昨日のこと、目の前の男性騎士団の態度の変化を深く追求することができず、片言のお礼を言うことしかできなかった。
騎士団の男性たちは、署名を終えると、すぐに次の仕事があると告げて部屋を退室しようとした。その際に、ソフィアは他の男性騎士たちの署名を集めるよう指示することを忘れなかった。
「私たちは、署名をもっとたくさん集めなければなりません。他の男性騎士たちの署名集めをあなた方に任せてもよろしいですか?」
『もちろんです』
命の代えても、男性騎士団全員の署名を集めてくる所存であります!
男性騎士の頼もしい言葉に、ソフィアはにっこりとほほ笑んだ。彼女が得意とする聖女の微笑みだ。その微笑みを目にした男性騎士たちは、一瞬、顔が緩んだがすぐに顔を引き締め、元気よく返事をして部屋を去っていった。
「さて、騎士団の男性の皆さんの同意を得ることができましたが、次はどこを攻めていきましょうか?カナデはどこがいいと思いますか?本当なら、あなたに隠して、秘密裏に署名活動をしたかったけど、ばれてしまったから、仕方ないわね。一緒に署名を集めましょう」
騎士団の男性から署名をもらったソフィアが、次の標的をどうするのか、カナデに尋ねた。
「もしかして、一人で署名活動をしようとしていたんですか?いくらソフィアさんが有能でもそれは。ていうか、ソフィアさん、あなたって実はとんでもない、人たら」
「無駄な私語は慎むべきではないかしら?私の質問に答えて頂戴。それに、女性に関しては一人ではなく、レオナやイザベラにも協力してもらったわ」
「それはそれで、レオナやイザベラが可哀想……。それにしても、私語を慎めって、ここは学校じゃないんだから。さらに言うと、攻めるって、私たちは戦っているわけではなく、彼らにお願いを」
カナデの言葉は、ソフィアにばっさりと切り捨てられる。さらには、さっさと自分の考えを教えろと容赦がない。さらには、カナデが思い出したくもないことを無理やり思い出させるようなことを口にする。
「甘いですよ、カナデさん。カナデさんも覚えているでしょう。あのくそ勇者のことを。あんな奴らが、私たちと話し合うだけで、意見を変えて味方に付いてくれると思いますか。もしそう思うのなら、この計画をそもそも実行すべきではありません」
くそ勇者という言葉を聞いて、カナデはあることが頭に浮かんで、それが現実でないことを祈りつつ、ソフィアに聞いた。
「ソフィアさん、今の言い方だと、あのくそ勇者みたいなやつがまだこの世界にはたくさんいるということ、です、か?」
『カナデよ、すまないな』
『転生者はたくさんいるから、カナデの想像で間違いはないだろう』
ソフィアが答える前に、二匹の猫が教えてくれた。
「じゃあ、本当に私たちは、くそ勇者やくそ宰相みたいな奴がまだいて、そいつらと戦うということか……。どうせ、城の内部と城下町の男性をすべて味方につけたいのなら、順番なんて関係ないと思いますけど」
カナデとソフィアは、騎士団を味方につけた後、様々な場所にいる男たちに、女性騎士の制服改定に協力してくれるよう頼みこんだ。当然、意見を聞き入れない男性もいた。しかし、そんな男性もソフィアの手にかかれば簡単に意見を覆し、味方となる。
「女性の気持ちになってみるといいですよ」
聖女の笑顔で一言、悪魔のような言葉をささやき、女神の力を借りて、女性の騎士服を身につけさせれば、驚くほど簡単に意見を変える男たちに、ソフィアもカナデもだんだん、男性たちが憐れになりつつあった。
「男って、ここまで単純な生き物だとは思いませんでした」
「そうかしら。私は単純だとは思っていたけど、ここまでくると、あまりに単純でいっそ憐れに思うわ。でも」
『彼らに同情の余地はなし』
二人の声は見事にハモった。カナデたちは当たり前のことを主張しているだけである。実際に彼女たちの制服を着せているだけだ。彼女たちの気持ちになって欲しいという考えの元で制服を着用してもらっている。それでソフィアの考えに同意するということは、彼らも女性の服に不快感を持っているということだ。
実際に着ることもせず、ただ、男が目の保養として採用したような服装だ。そのような制服を認めている時点で、彼らに向ける同情はかけらもない。
こうして、調理場で働く男性、城の管理を任されている執事などを次々味方につけていき、さらには城の城下町の男性からも署名を集めることに成功した。
ようやく、エリザベスと最高幹部が集まる会議に提出する嘆願書は完成したのだった。




