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異世界転移をした彼女は異世界の常識を変えようと試みるが、勇者がくそ過ぎて困りました  作者: 折原さゆみ
第二章 異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
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8かつてのパーティメンバーが助けてくれました

「ここは、ていうか、私は生きているんだね」


「カナデ、目が覚めたか?まったく、お主はいつも行動が派手で困る。心配する身にもなったことがあるか?」


「カナデさん、あなたはもう少し、女としての自覚を持つ必要があります。いくら、女として見られないからと言って、油断しすぎです。いや、今回の件に関しては、私が全面的に悪いのですが」


『我も認識が甘かった。あやつがまさか、そこまで心を病ませているとは』


『忠告はしたが、間に合わなかったな』


 カナデが目を開けると、エリザベスにソフィア、白と黒の二匹の猫が、心配そうにカナデの顔を覗き込んでいた。身体を起こそうとすると、身体全体に痛みが走った。


「イテテテテ。ええと、私は確か、ソフィアさんの部屋の窓から飛び降りて。ここは」


「医務室のベッドだ」


「急に起き上がってはいけません。カナデさん、あなたは、三階の私の部屋から窓を割って飛び降りたんですよ。いくら、宰相から逃れるためとはいえ、行動が無茶すぎます!」


 カナデの言葉に、ソフィアとエリザベスが答える。そして、カナデが医務室のベッドに運ばれるまでの過程を説明してくれた。


「たまたま、飛び降りる瞬間を目撃したエミリアが、とっさに風魔法で落下速度を押さえていなかったら、地面にたたきつけられて、あやうく死体となるところだったんだぞ」


「そうですよ!エミリアさんに感謝してくださいね」


「エミリアさん……」


 どうやら、カナデの危機を救ってくれたのは、エミリアと呼ばれる女性のようだ。どこかで聞いたことがあるような気がしたが、寝起きの頭では思い出すことができなかった。エミリアという女性には、後日お礼を言うことにして、カナデは、今一番知りたい情報を聞くことにした。


「それで、宰相は?」


「目が覚めて、礼を言う前に気にするのはそこか。まったく、容姿もいかれているけど、頭もどうかしているね。その男女 (おとこおんな)」



 エリザベスとソフィア以外の声が聞こえた。彼女たちの他にも人がいたようだ。ベッドから視線を外にうつすと、見覚えのある顔があった。


「エミリアさん!お久しぶりで、ええええ、もしかして、私のこの破廉恥侍女服と同じのを着ているということは……」


「うるさいわね。私は、あんたとは会ったことがないと思ったけどね。けど、アレ、会ったことがあるのか?いやいや、こんな印象的な容姿のやつ、あったら絶対忘れないはずだけど」


 見覚えのある顔の持ち主は、カナデを助けてくれたというエミリアだった。くそ勇者と魔王退治をするために選ばれたパーティメンバーにいた少女だ。


 エミリアの容姿は、これぞ異世界の住人という色合いを持っていた。つやつやとした銀色の髪を肩まで伸ばし、瞳の色はアメジストのようにきれいな紫。現代の日本ではカラコンにウィッグでコスプレした姿しか見ることはできない。それが、今、カナデが着ている破廉恥侍女服を身にまとっていた。


 魔王討伐の際にも、かなりきわどい服装だったのに、なぜまたこのような破廉恥な服を着ているのだろうか。カナデがエミリアの服装に気を取られている間に、二匹の猫がエミリアのことを対処してくれた。


『記憶が混乱してしまっているようだな』


『仕方ない。カナデとの記憶だけ戻してやろう』


 二匹の猫がエミリアに近寄って彼女に肉球が触れた瞬間、エミリアは何かを思い出したように叫んだ。


「あああ、思い出した。カナデか。そうか、カナデだったのか」


 突然、エミリアがカナデを指さし、叫びだした。


「お、思い出してくれてうれしいけど……。その格好は?」


「ていうか、なんでカナデが窓から飛び降りてたわけ?あんたって、そこまで悩みがあったように思えなかったけど、もしかして、一丁前に男に恋して、振られてショックで飛び降り自殺とか?」


 カナデの言葉を無視して、自由な発言をするエミリア。かなりの思い違いにカナデ以外の二人と二匹の猫たちが苦笑する。


「話を聞いてくれ。まあ、その服装は置いておくとして、宰相だよ!宰相はどうなった?ああ、お礼を言うのを忘れていた。エミリアさん、助けてくれてありがとう」


 エミリアの登場にお礼も忘れてツッコミを入れたカナデだが、宰相のことを聞きたくて無理やり話題を変えることにした。そして、ついでとばかりにお礼を付け足した。カナデの質問に答えたのは、エリザベスとソフィアだった。




「あやつは本当に頭が切れる男だ。カナデが窓から飛び降りてすぐ、エミリアが助けて、気を失ったカナデを医務室まで運んだ。その場には城のものも何名かいたようで、すぐにソフィアに連絡が回った。そして、われにも連絡が届いた」


「当然、私の部屋から飛び降りたとなれば、カナデさんは私の侍女ですから、責任を負うことになります。ただ、今回は宰相のせいで、カナデさんが飛び降りたと思いますので、宰相に何らかの罪をかぶせたいところですが」


 ソフィアが言葉を止めて、言いにくそうに顔をゆがめた。カナデの顔を見て、ゆっくりと口を開く。


「私が部屋を出てしまい、部屋に宰相とカナデさんが二人きりになったことを証明するものがなくて、カナデさんが一人で窓から飛び降りた。カナデさんの精神が錯乱状態で誤って窓から落ちてしまったことになっています」


「宰相は、カナデが飛び降りたのに、何食わぬ顔で部屋を出て、ソフィアたちがいた騎士団に現れたようだ」


「宰相と一緒に居たはずのカナデさんの姿がなくて心配していたら、具合が悪くなったから、自分の部屋に戻ると言われてしまいました。カナデさんに限ってそんな仕事放棄をするはずがないと思っていたのですが。こんなことになっているとは知らずに」


「私が精神錯乱状態で、窓から飛び降りた……」


「そう言うことになっている。カナデを見たのは、エミリアだけだったし、ソフィアの部屋に二人でいたという証拠もないからな。宰相を責めようがない。すまんな」


 エリザベスとソフィアは今にも泣きだしそうな顔でカナデに謝る。カナデは慌てて心配ないと主張する。


「そんな顔しないでくださいよ。それに、謝らないでください。私はこの通り、少し身体が痛みますが生きています。男というものに警戒心がなかった私が悪いんです。ですが、これでいよいよ、私は改革を急いで進めることが必要だと実感しました!」


 宰相はカナデに言っていた。カナデのような女は穢れだと。そんなことはないはずだ。この世界にだって、女性の服装に文句を唱える人はいるはずだ。現にエリザベスもレオナもソフィアもカナデの考えに同意だった。もしかしたら、女性だけでなく、見るに堪えない服装に、男性も改革に賛同してくれるかもしれない。


「ということで、さっそく私は行動を起こしたいと思います」


 カナデは怒りを力に変えることにした。宰相に触られた胸は気色悪い感じがいまだに残っている。こんな思いをする人を少なくすることが急務だ。露出度の高い侍女服が似合っていないカナデでさえ、被害にあったのだ。露出度の高い服が似合っている騎士団や、エミリアのようなシスターはもっと被害がひどいだろう。




「まずは……」


 危ない目に遭ったばかりのカナデの言葉に一同は驚くが、カナデの真剣な表情に頷くしかなかった。痛む身体を起こし、カナデはとある場所に向かうことにした。


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