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異世界転移をした彼女は異世界の常識を変えようと試みるが、勇者がくそ過ぎて困りました  作者: 折原さゆみ
第二章 異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
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6城で働く女性たちの服装とは

「ソフィア様、おはようございます」


「今日のお召し物は何になさいますか?」


「本日のご予定ですが」



「ああああ!うっとうしいから、その言葉遣いはやめてもらえますか?カナデさん」


「カナデさんなんて、そんな馴れ馴れしい。カナデと呼び捨てで構いませんよ。ソフィアお嬢様」


 カナデは、ソフィアの紹介により、ソフィアの専属侍女として城で生活することになった。自分で身の回りのことをしてしまうソフィアなので、カナデはただそばにいるだけの存在だった。しかし、せっかくの侍女生活、雰囲気でも味わおうと、毎日飽きもせず、カナデは侍女のまねごとをしていた。そんなカナデの様子にとうとう、ソフィアの怒りが爆発してしまった。


「まったく、調子に乗り過ぎなんではないかしら。あなたには、やりたいことがあるのでしょう。そちらはどうなっているのかしら?あと、驚くほどその侍女服姿似合っていないから、さっさとあのダサいもとの服に戻して頂戴」


「うっ」


 痛いところをつかれて、カナデは言葉を失ってしまう。侍女のまねごとをするためにも形から入ろうとしたカナデは、ソフィアに頼んで、侍女服を手配してもらった。手配してもらったはいいが。


「この世界の服装って、ていうか、異世界のこの定番の服装って……」


「カナデさんのショートの髪型、黒ぶちメガネ、さらに高めの身長に肩幅、色黒とくれば、おのずと想像できたのですけど、それにしても」


 ソフィアが口元を押さえて震えていた。カナデの格好をみて、笑うのを必死に耐えていた。


 この世界での侍女たちは、黒い布地のドレスに白いエプロンと三角巾ならぬ白いキャップを被ることになっていた。ドレスは胸元が苦しいし、さらには、お約束の胸元の布切れがなくなったスースーするタイプのものだった。丈はミニスカート丈で、下着が見えそうなくらいの長さだった。


 カナデが似合っていない理由は簡単だった。カナデの顔のつくりと髪型だった。顔のつくりがどちらかと言うときつめで、目が吊り上がり眉も太めだった。それに拍車をかけて、髪も男性並みに短いショートヘアーだ。さらには、前髪も眉上でバッサリと切られていて、侍女服のスカート、エプロン姿にその頭が乗っかると違和感満載だった。


 異世界に転移してきてからすでに半年は経ち、髪も伸びてきているはずだが、カナデは髪が長いのが嫌なのか、邪魔になり始めたと思うと、髪を自ら切りそろえていた。後ろ髪も自分で切りたかったのだが、さすがに自ら切る勇気がなかったので、ソフィアに切ってもらっていた。前髪は自ら切っていた。


 そのため、カナデの髪型は常にもといた世界の少し髪の長い男性並みに短かった。中学校までは髪を短くしていて、学校指定のジャージを着ていたら、男と間違われることもあったカナデ。この世界では、会う人々が男間違えるのも無理はないのかもしれない。そんな彼女が女性用の侍女服を着ているのだ。目立つことこの上なかった。


 その上、似合っていないことに拍車をかけていたのが、メガネだった。異世界転生物、転移物に出てくるメガネをかけているキャラがかけているのは、たいていがまるぶちのメガネでフレームはしっかりしていないことが多い。それなのに、カナデのメガネは、黒ぶちのフレームがしっかりとした四角いメガネだった。本人はおしゃれのつもりで買ったのだが、それが仇となっていた。加えて、カナデはかなりの近眼で、レンズが厚く、重たそうに見えていた。


 どう考えても、ソフィアが連れていなかったら、不審者として通報レベルの容姿だった。髪の色は、元々、真っ黒ではなく、茶色がかっていたので、この世界にない色だと揶揄されることはなかった。


「そこまで笑うほど、私の姿は似合いませんかね。似合わないのは、この容姿と私のオタクの気配が消えていないからか?それにしても、似合っていないからと言って、城で働くうえでの制服を着ているのに、目立っていたのはなぜ?」


「オタクの気配は……。わからないけど、まあ目立っていたのは確かね。たぶん、目立っていたのは、カナデさんの着ているそれが、なんていうか、その、カナデさんのもといた世界風に言うと、メインキャラ的存在が着る服だからかもしれないわね」



「えっ!これがメイドや侍女の普通ではないんですか?道理で私だけ、露出度が高いと思っていたんですよ。どうして最初に指摘してくれなかったんですか?でいうか、この制服って、ソフィアさんが準備したんですよね?」


「私のせいにしないでくれるかしら?エリザベス様に頼んで手配してもらったのが、それだったのだもの。最初に指摘しなかったのは、カナデさんの着ている姿があまりにも、コホン。そんなことを今気にしても意味がないでしょう。早く着替えてきなさい!」


 ソフィアはヒーラーという職業上、けがをした人や病気の人を診察するため、いろいろな場所を訪れていた。とはいっても、エリザベスに個人的に雇われているため、移動場所は限られていた。騎士団は怪我が絶えないため、よく訪れていた。他には、城の住人の健康診断的なものもソフィアが行っていた。直接病院の元を尋ねることもあった。


 彼女の専属秘書として雇われていることになっているカナデも、ソフィアと一緒に行動を共にしていた。その時に、カナデはこの城の侍女やメイドの服装を見ていて、違うと思ったのだろう。


 城で働くメイドや侍女たちは、カナデが支給された制服とは違い。スカートの丈がひざ下まであり、胸元も閉まっている、いわゆるメイド服だった。頭は髪をお団子にして、白いキャップに入れていた。


「メインキャラということは、この服装を実際に着て仕事をしている女性もいるということ……」


「そういうのを変えていくために、カナデさんは頑張るのでしょう?」


「そうでした。おかげで私みたいな女が困らないようにするのが、私の役割だと再認識しました」






『それでこそ、カナデだな』


『では、カナデのために、少し協力でもしようか』


 話している途中で、突然、煙が上がった。


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