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力なき勇者の物語  作者: niya
双子の姉妹
1/15

始まりの日

4/6一部改訂、加筆しました。

 ここに書き記す物語は、ある日突然勇者として召喚された男の受難とその受難を乗り越え輝かしく、その生涯を終えた男の物語である。





 平成も60年を過ぎた日本は相も変わらず平和な国であった。一時期は大変なこともあったがそれももう、30年ほど前の話である。俺からしてみればまだ生まれていない終わった歴史の話だ。

しかし、そんな平和な日本で暮らしていた俺はある日突然事件に巻き込まれた。その事件というのは所謂、神隠しとか呼ばれるものだ。でもこの場合は少し違う。


なぜなら…


「ようこそ、召喚に応じて来てくれましたね勇者様!私、このデル王国の巫女のヘルでございます。名前をお伺いしても…って、キャ!」


 俺は唖然とするしかなかった。そう、これは神隠しなどではなく異世界へと召喚されたのだった!!

だが、そんなことよりまず俺は大変まずい状況なのである。


「えっと、なんか隠すもの持ってます?」


俺は入浴中で、裸んぼうだったのだ…










「失礼いたしました、勇者様。なんとお詫びすればよいものか…」


一悶着あった後、俺はなんか高そうな服をもらってそれをありがたく着させてもらった。


「いえ、お気になさらず。というか忘れていただいた方が双方ともにいいと思うんですけど…」


「そ、そうですね!んっん!では改めまして。ようこそ勇者様、このデル王国へ!」


いまだに少し顔を赤くしながら話す少女、この王国の巫女のヘルちゃんと言うらしい。何でも俺は勇者としてこの国に呼ばれたらしいのだが…


「あ、はい。俺の名前は白井聖しらいあきらと言います。それで、一体どうして僕はここに?」


「アキラ様ですね。それでは説明させていただきます。まず、最初に言っておきますがこれから話す事は他言無用でおねがいしますね?」


俺は軽くうなずいた。


「それでは、アキラ様はもうご存知であると思うのですが今この世界は魔王によって滅亡の危機にさらされています。」


え、ご存じないんですけど。俺はそう思ったがとりあえず話を聞くことにした。


「そして、私たちデル王国はほかの国々と話し合い勇者様を召喚することにいたしました。アキラ様はもう出会ったと思いますが、この世界の女神様のお力添えもあり、我々の世界よりも遥かに上位の世界にいらっしゃるアキラ様を召喚することができたのです!!」


え、女神なんかとあったことないんですけど。これは一体どういうことなんだ?


「えっと、ちょっと待ってくださいヘルちゃ…いえ、ヘル様。まず俺、この世界のことまったく知らないのですが…」


「えぇ!女神さまから言われませんでしたか!?」


「まず、その女神さまにも会ってないんですけど…」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


ヘルちゃんの驚きの声が部屋中に響き渡った。









「もう一度、お聞きしますよアキラ様。」


俺は今絶賛ヘルちゃんに尋問されております。


「まずアキラ様はこの国のことひいてはこの世界のことも全くご存じではなく、さらには女神さまにもお会いしておらず何にも分からない状態で今ここにいるのですか?」


「おっしゃる通りでございます」


俺はそう答えた。


「なるほど…でも一体どうしてなんでしょう。予定ではウル様が…あ、アキラ様少しお待ちいただけますか?」


「あ、はい」


 そう言うとヘラちゃんは部屋を出ていった。何もわからない今の状況的には待つことしかできないのだが。何もやることがない俺はとりあえず今は、状況を整理しようとした。


 俺はなぜかは知らんがこの国に勇者として呼ばれて、この国を助けるはずだったが何かの間違いで女神さまに会えず何にも知らない状態でこの国にやってきたと…素っ裸で。


 しかし、まあなんだ異世界にきても大して感動ねえな、なんでだろ。なんか感動する前に激しく困惑してるからなあ。俺どうなるんだろ。こういう展開は大抵王国放り出されたり、追い払われたりするからなあ、力がなかったら。


 そうだよ、異世界といったらチート能力とかだろ?でもそういうのって女神さまから与えられるわけで、でもその女神さまとは俺は接触がないわけだから、チート能力は持ってないということになるのか?

でも、さっきヘラちゃんが上位世界とか言ってたよなあ。だったら地球では一般人でもここでは、超人級の身体能力とかなのか?可能性はあるが、そうとばかり思っても実際違うかったらダメージでかいしなあ。


 そもそも、俺の身は安全なのか?今はまだ勇者として居るからまだしも、もしこのまま勇者じゃないって判断された場合どうなるんだ?地球に帰されるのか?でも大抵こういう時は帰れないって設定だろうし…

うーん、考えても分からん。とりあえず、最悪の場合を考えて行動するか…


 最悪のパターン、そうだな殺されそうになったらどうする?そりゃもちろん逃げるが、どうやって逃げようか。


そう思って、周囲を見渡すとなんとこの部屋窓がない、出入り口のドアが1つあるだけだった。


 どうしよう、逃げ場がない。そもそもここって何階だ?さすがに4階とかだったら飛びおりしたくねえぞ…


どうしようもない不安に駆られながら、悶々としている間に部屋のドアがバンッと大きな音を立てて開かれた。するとそこには先ほどのヘラちゃんの姿はなく代わりにいかにも剣士といった風貌の男が現れて俺にこう告げた。


「シライアキラといったな。貴様は勇者と偽った者として拘束する!!」


まさかの最悪のパターンだった…!

第2話は4月の中旬を予定。詳しくは活動報告にて!


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