ナコイ トオル
ここまで来れたことが不思議です。
ここに立てたことが不思議です。
こんにちは、あるいははじめまして。ナコイ トオルです。
『セイリオスの逃亡』をお読み頂き、『詐欺師シリーズ』をここまで読んで頂き、本当にどうもありがとうございます。
繰り言になってしまいますが、本当にこのシリーズは、というより『マクデブルクの半球』は、どこにも出ない、どこにも発表するつもりのない物語でした。
自分の自己満足で終わるはずの物語でした。
それでもほんの少しの気紛れで、小説家になろうのサイトに投稿させてもらい、『誰かに読んでもらえる』というよろこびを知りました。
このよろこびがなければ、『アステリスク』以降の物語も頭の中にあるだけで形になることは絶対になかったでしょう。
ここまで来れたのも本当に皆さまのおかげです。本当に、本当にありがとうございます。
『マクデブルク』の最後に書いたように、これは人生観が変わってしまったあとのひとたちの物語です。
少女は彼を失って、
少年は未来を夢見れず、
どうしようもなくもう路が捻じ曲がってしまった、あとの話です。
そこからどうしたか、どうなったかという話です。話、でした。どうだったでしょうか?
悪いことは出来ても、酷いことは出来ないひとたちを、書きたかったんです。
嘘と詐欺のあとに残ったものを認めた少女は、漸く逃亡を終えて、青年の元へ帰ることが出来ました。
青年はついに、唯一絶対の愛おしいひとをその腕に抱きしめることが出来ました。
新たに番った半球は邂逅し、逃亡し、再会出来ました。
…さて、本音を言わせて、頂きますと。
これはこれでシリーズの完結編だという風に言えると思います。
ですが、頭の中には二人の続きがあります。
番外編ではありません。
人生に番外編なんてありません。
いつだって本編です。
なので番外編という言い方はしません。
二人が再会してからどうなったかという話を、続けます。
二人はそれからどうなったのか。
結婚するのかしないのか。
そもそも一緒に暮らすのか暮らさないのか。
片方が帰国する可能性だってあります。
タイトルはまだ確定ではありません。ありませんが…彼らのこれからの話を、まださせてください。
本当に。
本当に、本当に皆さま、ありがとうございます。
それでは、まだタイトルは確定ではありませんが、次作、『ヘリオスの心音』でお会いしましょう。
願わくば、ほんの少しでも「読んでよかったな」と、そう誰かが思ってくれていますように。
ナコイ トオル