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アウロラの夜明け


「―――つまらないの」

 そう、何てことのないように呟いた少女。

 さらりと流れる度不思議な色に染まる髪。

 見たこともないくらい深い深い、すべてを吞み込みそのまま映すような眼。

 どうしてだかわからない。―――けれど。

 その言葉に、心が惚けた。




 ストーカーというものをしたことがあるだろうか?

 犯罪だ。

 意外と簡単だった。

「……」

 あの時街角で見た―――あのパネルの前で見たその眼が、自分を見てゆっくりと瞬く。

「……誰だっけ」

「……俺、少しなら日本語わかるからな」

「おっと」

 別にそんな風に思っていなさそうに表情を変えず少女が言った。小さく肩をすくめる。

「……どこかで見たことあるひとだなとは思うよ」

「俺が言えた口じゃないけど、あんた変わってるな」

 少女が言葉を英語に変える。ホテルの一室、その部屋から出て来た少女をドア前で待ち構えて無理矢理対面した。―――今。

 さてこのあと、どうするか。―――否、どう出られるか。

「……グレン・ライガ」

 その名前を言うと―――僅かなタイムラグと共に少女がああ、とうなずく。

「グレン・ライガ。……俳優の」

「そう。―――ヒイラギ」

 少女の眼が、今度は瞬くこともせずじっとグレンを見据える。

 その眼に吞まれそうになりながら―――グレンは乾いた声を、それでも低く低く張った。

「お前が『つまらない』と言った写真のモデルだよ。―――S・Dプログラムの特別賞受賞者、ヒイラギサン」



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