希少動物の餌を鹿が食い尽くしてしまうなどの被害も
「ほう。鹿や猪が増えすぎて農作物の被害が増えているのか」
「俺の出番か?」
「割と真面目にそうなのがまた」
安達家のリビングにて。
テレビで鹿や猪による被害の増加が取り上げられるのを見てそわそわするマカミさんと、この人を野に放てば解決するのではと思うエルテさん。
流石のマカミさんでも一人で生態系のバランスの一角を担うレベルで肉は食えません。
「なるほど。そういえば日本で野生動物が増えている原因の一つは、ニホンオオカミの絶滅だという話を聞いたことがあるな。
つまりマカミの一族を日本で受け入れればいいのでは?」
「普通のオオカミを放つよりは調整がしやすそうじゃのう」
グライオスさんの発案に割と現実的な気がしてくるリィンベルさん。
しかしマカミさんたち人狼が肉が好きなのは事実ですが、彼らは主に放牧生活をしているのであって別に狩りが得意だとかいう設定はありません。
「確かに俺たちは他の人狼から『狩りを忘れた犬』などと揶揄されることもあるが」
「あるのか」
「マカミさんが犬扱いに即座に反論するのってそういう」
今まで過敏すぎないかと思っていたマカミさんの反応に、ちょっと納得するエルテさん。
だからといって地の文に反論してくるのは一体どうなっているのか。
今日も日本は平和です。
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一一方高天原。
「ジビエを食べるなら任せろ」
「まあ適切な処理をされているものなら別にいいですが」
言いながら通販で買えるジビエはないかとネットで探すアマテラス様と、特に害はなさそうなので見守るツクヨミ様。
以前作中で紹介した、みかんを食い荒らすイノシシをぶちころがして作られたウィンナーとか。
「というか鹿とかイノシシってそんなに増えてるの?」
「純粋に数が増えているのもありますが、熊の被害の時も話したように野生動物の生息域が広がっているんですよ。四十年前と比べて鹿の生息域は2.7倍に、イノシシも1.9倍にまで広がっています」
「広!?」
なお狩猟者の方は四十年で逆に六割近く減っており、しかも半数以上が高齢者と今後ますます減ることが懸念されています。
「もうそれ猟師が狩る量増やしたくらいでなんとかなるの?」
「できないことはないでしょうが、一部で言われているような狩ったものを全て食用にするというのは無理でしょうね。処理や運搬に手間がかかるので、効率がかなり下がります」
「あー、ゲームみたいにスタックして持ち歩いたりできないもんね」
圧倒的人手不足。
そのため熊駆除の際に自衛隊が直接熊を狩らずに運送などの雑用に回ったのも、バックアップとしてはありがたかったという話もあります。
「まあ数自体は2014年をピークに減少傾向に入っているので、猟師が一気に減るなどしなければ辛うじて大丈夫でしょうが」
「さっき半数以上が高齢者だって言ってなかった?」
やはりマカミさんたちを野に放つしか……。
今日も高天原は平和です。




