長く使うなら高くても専門店で買った方が良い
「自転車をざっと数十台ほど輸入できないかしら」
「いきなり何言ってるんですか。できますけど」
「できるのか」
メルディア王国にて。
いつも通りなんか当たり前のような顔で王宮内の食堂で飯食ってるミィナさんと、そのミィナさんを見つけるなり何か言いだすオネエとつっこむグレイス。
「でも何でいきなり自転車なんですか」
「それがね。うちの騎士団、何人か馬に乗るよりも自力で走る方が速い連中が出てきて」
「ついに人外が量産体制に入っちゃいましたか」
いよいよ平均値がバグり始めたオネエ率いる騎士団。
でもドラゴンと正面からガチれる人間ばかりだった時点で人外は割といました。
「それで行軍のときとかもそのまま走らせるよりは、自転車の方が荷物もある程度積めるし効率が良いんじゃないかと思って。最近は街道も整備されてるし、オフロード仕様なら多少の無茶はできそうじゃない」
「国生さんたちだと、坂道越えるついでにちょっと空飛びそうで車体の耐久性に不安があるんですけど」
オネエなら飛ぶ。間違いなく飛ぶ。
ちなみに軍で自転車を使うというのはそれほど突飛な発想でもなく、旧日本軍では自転車部隊も存在し銀輪部隊とも呼ばれていました。
主に南方方面に展開されていましたが、これは当時日本の自転車の性能が良く現地にも輸入されており、交換用の部品が現地で手に入りやすいという利点もあったそうです。
「でも多分国生さんの思ってるよりお高めになりますよ。結構前にアルミとか金属類が値上がりしたせいで、自転車の値段も一気に上がってますから」
「あらそうなの。そりゃ私がこっちに来てから随分と経ったから事情も変わるわよね。まだ一年も経ってないのに十年以上経ってる気がするわ」
「私も学園卒業して結構な時間商人やってるので十年くらい経ってる気がしますね」
サ〇エさんは愉快だな。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「そういえば電動自転車って場合によっては違法だって聞いたんだけど、その割には主婦向けとかに結構普及してない?」
「それはおそらく『ペダル付き電動バイク』のことですね。主婦などがよく乗っているのは『電動アシスト自転車』なので、ほとんどは問題ありません」
「どういうこと?」
ツクヨミ様の説明に、両者の違いが分からず首を傾げるアマテラス様。
要はモペッドです。
「まず前提として、電動アシスト自転車はあくまで乗っている人間がペダルを漕ぐ力を補助するものです」
「それくらいは分かるし」
「それに対しペダル付き電動バイクは漕がなくても勝手に前に進みます」
「……それ自転車じゃなくてバイクじゃない?」
「だからペダル付きのバイクだと言われてるでしょう」
なおモペッドという名称は厳密にどのような車両を指すのが揺らぎがあるため警察では「ペダル付き原動機付自転車」と呼ばれていたのですが、出力が原動機付き自転車を越えるものもあったため「ペダル付き電動バイク」に改められています。
「まあ要は扱いとしては原付やバイクなわけですね。ナンバープレートを表示しなければなりませんし、運転するには免許が必要でヘルメットの着用も義務付けられています」
「本当にバイクじゃん。なんで自転車と混同されてるみたいな問題視のされ方してるの?」
「ナンバープレートを付けてない違法状態で走ったり、ヘルメットを着用しなかったり歩道を我が物顔で走ったりする人間がいるからですね」
「正気か??」
なお作者は田舎暮らしなのでそんなもん見たことありません。
LU〇Pも居ないしある意味平和です。
「ちなみに電動アシスト自転車も『ほとんど問題はない』と言いましたが、実はアシストする範囲が厳密に定められていて、それを越えるとダメです」
「範囲?」
「時速10キロメートル以上になると徐々にアシストする力が弱くなり、時速24キロメートル以上になるとアシスト機能がなくなり自力でしか漕げなくなります」
「あー逆にアシストのせいで24キロ以上で爆走できるようなのはアウトだと」
なお日本産なら大体はセーフですが、輸入品だとたまに日本国内の法をぶっちぎってることがあるので注意しましょう。
今日も高天原は平和です。




