やはりシンプルに醤油
「菜の花ってキャベツに寄生するんですか?」
「なんて?」
安達家のリビングにて。
放課後友人たちと色々寄り道しながら帰ってきたエルテさんと、そのエルテさんの言葉の意味が分からず思わず聞き返すカガトくん。
なおカガト君は部活も寄り道もせず即座に帰宅しています。
「何でそんな発想が?」
「ちょっと小さ目の家庭菜園みたいな畑を通りがかったんですけど、そこのキャベツから菜の花が生えてたんですよ」
「横から生えてたんじゃないの?」
「いえキャベツのど真ん中から」
「なんで?」
ちょっと意味が分からなくて首を傾げるカガトくん。
カガトくん理系とはいえ物理や工学が主で植物は専門外だからね。
「日本のものとはいえ植物ならまだリィンベル様の方が分かるかなあ」
「呼んだか?」
どうやらお茶を淹れていたらしく、キッチンから湯呑片手に現れるリィンベルさん。
相変わらず飲み物は緑茶派です。
「で、菜の花がどうしたと?」
「なんかキャベツから菜の花が生えてたらしいんですけど」
「そりゃ生えるじゃろ。キャベツの他にも白菜やブロッコリーからも生えるぞ菜の花」
「マジで!?」
自分の中の菜の花の定義が壊れて驚くカガトくん。
小松菜やチンゲンサイからも菜の花生えます。
「そもそも菜の花というのはアブラナ科アブラナ属の花の総称らしいからの。土手などに生えているのはアブラナやセイヨウアブラナじゃから、他の菜の花を見る機会はあまりないじゃろうが」
「えー範囲広すぎませんそれ」
なおアブラナは日本在来種なのに対し、セイヨウアブラナは明治時代に菜種油をとるために輸入された外来種です。
しかし今では立派にその辺で自生しているうえに、見た目もよく似ていて両者の見分けをつけるのは難しかったりします。
「じゃあキャベツから菜の花が生えてたわけじゃなくて、キャベツの花も菜の花なんですね」
「そういうことじゃのう。まあさっきも言ったが、自家栽培でもしとらんと見る機会もそうないじゃろう。一応食べられるそうじゃが」
「食べられるんだ……」
菜の花だからね。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「キャベツの菜の花食べたい」
「無茶を言わないでください」
興味本位で言ってみるアマテラス様と、冷静に窘めるツクヨミ様。
気になるからね。仕方ないね。
「えーなんで」
「キャベツの菜の花なんて市場にはそう出回りませんからね。かといってうちの畑のキャベツは全部きっちり収穫していますし」
そもそも高天原に畑あるんかいとなりそうですが、スサノオ様が暴れまわって破壊したものの中に田んぼもあるからね。そりゃ畑くらいあるよね。
「まあ味としてはキャベツ特有の甘みがある感じだそうですが。白菜の菜の花も白菜の味がして苦みが少ないそうです」
「あー元の野菜の特徴が出るんだ。……ツクヨミー。キャベツとか白菜の菜の花を通販で買えるとこ見つけた」
「たまに異様に早く目的のものを見つけますね姉上」
ちょっとパソコンをいじってたと思ったら、様々な菜の花を売ってるサイトを見つけてくるアマテラス様。
何かを検索するときに勝手に単語や文章が区切られるときは””で目的の語句を挟むといいよ!
むしろ最近はこれをやらないとまともに検索できないシステムが増えてるのはどういうこった。
「大根の葉っぱも売ってる。というか大根の葉っぱも菜の花って書かれてるけど菜の花なの?」
「アブラナ属ではありませんがアブラナ科ではありますね。咲くのは白い花ですが」
美味しいよね大根の葉っぱ。
今日も高天原は平和です。




