てっきりモアイを崇める日なのかと
「よくもまあ自分を囮にするなんてことを思いついても実行する気になるわね」
「まあグラウゼさんが居れば大抵のことは何とかなりますし」
「ふっ。当然だな」
フィッツガルド帝国の帝都にて。
何やら紙束を渡しながら言うオネエに、実はすっげぇ恐かったけど外には見せないローマンさんに、ドヤ顔のグラウゼさん。
ヤダこの空間濃い(いつものこと)。
「でもあの国の異世界召喚の資料を探すって、私よりも専門の人間に任せた方が良かったんじゃないの? 私潜入任務なんて初めてだったし、魔術の知識なんてないんだから、抜けがあるかもしれないわよ」
「そもそもあちらの文字を読める人間がまだほとんどいませんし、万が一があったときに自力で逃げ出せる人にしか任せられませんでしたから。それにどのみち王との話はしなければならなかったので、本命ではなくあくまでついでですよ」
「はーつまり私が失敗しても大して痛くなかったってことね」
どうやら玉座の間でグラウゼさんが大暴れしてる隙に、異世界召喚の資料を探し出していたらしいオネエ。
オネエみたいな目立つ人間にスニーキングミッションとか向いてなさそうに見えますが、仮に見つかっていたら物理的に目撃者が消えていた可能性もあるのでむしろ見つからなくて幸いでした(向こうが)。
「今回はそういった資料がある場所の目星がつけば御の字。彼の王が力尽くでは願いはかなわないと冷静になってくれればよし。そうならなければ改めて……ですね」
「今更冷静に交渉して来たら逆に怪しいと思うんだけど」
「こいつならばそこまで考えてのことだろう。どうせ向こうが交渉の態勢に入っても、足元をすくうために幾重も策を練っているに決まっている」
「おや。グラウゼさんにそこまで評価されていたとは恐悦至極」
「ふん。どちらかというと呆れているのだがな」
「仲いいわねぇ」
ローマンさんの言葉にあからさまに不機嫌そうに返すグラウゼさんですが、どう見てもツンデレなので微笑ましく見守るオネエ。
おっさんのツンデレとか需要あるのかよとか思われそうですが、ツンデレの代表キャラとして某異星人の王子とか出てくるので多分あります。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「え? イースターってイースター島が発祥のなんか異国情緒あふれるお祭りじゃないの?」
「まずイースター島は全く関係ありません。いや名前自体は関係ありますが」
なんか驚いてるアマテラス様に、冷静につっこむツクヨミ様。
イースターはキリストが処刑から三日後に蘇ったことを記念する復活祭であり、イースター島の名前はヨーロッパ人が初めて島を発見したのが復活祭の日だったことに由来します。
まあとりあえずタマゴ型のお菓子食べときゃいいんじゃね?(いつもの日本人)
「あれ? 兎もいるって聞いたけど?」
「イースターバニーは主にヨーロッパ西部のものですね。イースターエッグを兎が運んでくるとされていて、イースターエッグと一緒に兎のぬいぐるみやお菓子が並べられることもあります」
「へー兎のコスプレするわけじゃないんだ」
「むしろどこから仕入れて来たんですかその知識」
なんとかしてキャラ差分を増やしたいソシャゲがイースターも強引に取り込んでるからね。仕方ないね。
「……そういえば最近シロウサギ見てないけど大丈夫? ツクヨミちゃんと様子見てる?」
「大丈夫ですが。姉上のヤタガラスと違って、シロウサギは別に私の眷属とか神使ではありませんからね」
「兎なのに!?」
「シロウサギは思いっきり地上の兎でしょうが」
勇者もどきの襲撃がなくなり出番もなくなったシロウサギさん。
きっと魔王様に可愛がられてただのペットと化しています。
「じゃあやはりツクヨミの神使は猫にすべきでは?」
「久しぶりですねそのネタ」
どうやらまだ美少女戦士計画を諦めてないらしいアマテラス様に呆れるツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。