これから毎日城を焼こうぜ
「ほっと。つきましたよ。これでもう日本です」
「え? これで?」
都内の某所にある床に魔法陣が描かれた地下室。
その魔法陣が眩く光ると、次の瞬間そこには複数の男女が現れていました。
最近になってようやく保護された日本人、アズサさん御一行です。
あと話には関係ないけどまほうじんって一発変換だと魔方陣になるから誤字りやすいよね!(三敗
ちなみに魔方陣は正方形に数字を被らないように並べて、縦横斜めどこのラインを足し算しても同じ数になる並びのことだよ!
「なんか実感わかないなあ。あ、でもコンクリートかなこれ?」
「華がないですよね。もう少し見た目に気遣えばいいものを」
「おまえは気遣い過ぎだ。無駄を省いたが故の美というものもあるぞ」
そうローマンさんを嗜めるのは、今回異世界の門を開くのを担当したグラウゼさん。
カガトくん? まだ休暇中扱いなので学校行ってます。
休暇中なのに学校とか一般学生なら「は?」となりますが、異世界で社畜してたカガトくんは一般人な生活を満喫しています(ただし見えないところに護衛あり)。
「お世話になりました。ローマンさんも今までありがとう」
「何。貴方のような美しい人とお話しできるだけで役得というものですよ」
「あー。そう誰にでも優しいと婚約者さんに怒られるよ?」
そしてなんかいつの間にか気安くなってるローマンさんとアズサさん。
一応同年代だからね。自然な流れだね。
それはそれとして爆発しろ。
「じゃあってうわ!?」
改めて外に出ようとしたところで、突然周りに電撃のようなものが走りアズサさんが悲鳴をあげます。
「これは……異世界召喚だな」
「帰ったばっかりなのに!?」
まさかの帰って五分で再召喚。
グラウゼさんは呑気に分析していますが、アズサさんからすれば気が気ではありません。
またあの変態王みたいなのに召喚されるのかと戦々恐々です。
「タイミングが良すぎる……というよりは、日頃から頻繁に召喚をしていたということでしょうか?」
「まあ予想されていたことではあるな。あの王は未だにこの娘に執着していた様子だったのだろう?」
「そうなの!?」
どうやらまだあの王様が自分を探していたことは知らされてなかったらしいアズサさん。
殴って逃げたのになんで執着されてんのと少しパニクってます。
「この場合どうすれば?」
「逆に考えろ。異世界に召喚されそうなら異世界の任意の場所に自ら行けばいい」
「じゃあ帰りましょうか。すいませんアズサさん。帰郷は延期で」
「ええ!?」
アズサさんの日本帰還土壇場での延期。
これも全てあの変態王の仕業なんだ。
「せ、せめて家族と会うとか!?」
「この瞬間にも引っ張られそうなのを私が止めているのだぞ。諦めろ小娘」
「そんなぁ!?」
今回に限ってはうっかりミスもやらかさない冷静なグラウゼさんにより異世界に連れ戻されるアズサさん。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「やはり処すべきでは?」
「ステイ」
お、出番だなと立ち上がるアマテラス様と座らせるツクヨミ様。
もう面倒くさいからアマテラス様が城ごと燃やして終わりでいいと思うんですけど。
「いいわけないでしょう。人間たちで対処できそうなのですから出しゃばらない」
「えー。でも確かに異世界召喚自力で防ぐとか、あの吸血鬼やるね」
「異世界の門を開く魔術を習得していましたからね。その辺りの対策もしていたのでしょう」
ローマンさんと並び初登場の様子からは考えられない有能さを見せるグラウゼさん。
相手が天敵(アマテラス様)だったからね。仕方ないね。
天敵じゃなくても出力で圧倒的に負けてそうですが。
「つまり私は凄い!」
「いやまあ実際凄いですけれども」
グラウゼさんが凄い=それにあっさり勝った私もっと凄いという子供理論を発動させるアマテラス様。
なのに何故この作品のアマテラス様はこんなに残念可愛いのでしょうか。
「再召喚を見越して対策をしてたのですから、次の手も考えているはず。しばらくは見守りましょう」
「大丈夫かな。中心人物があの二人で」
「大丈夫でしょう。多分」
ツクヨミ様でも断言せずに多分とつけちゃうローマンさんとグラウゼさん。
今日も高天原は平和です。