こたつで緑茶すすりたい
「今日のおやつはスイートカボチャですよ」
「何故カボチャは日本語」
ケロス共和国のとある村にて。
最近定番となった農作業の休憩に出されるおやつを配るイネルティアさんと、つっこむスクナヒコナ様。
スイートカボチャもといスイートパンプキンというのは、要はスイートポテトのカボチャバージョンです。
そもそもカボチャって日本語なのかよと思う人も居るでしょうが、カボチャは日本にはカンボジアを経由してきています。
一説には「カンボジア」から来た野菜とポルトガル人が説明し、日本人がリスニングした結果「カボチャ」になったとされています。
イングレス(ポルトガル語)をイギリスと認識して今も呼び続けているのといい、ポルトガル語が日本語に与えた影響は地味に大きいです。
「ああ、そういえばハロウィンだったか。一週間前が」
「ハロウィンですね。一週間前が」
何故一週間遅れでハロウィンなカボチャが出て来たのか。
……嫌な事件だったね。
「ハロウィンですか。私が子供の頃は外国のお祭りという認識でしたが、いつのまにか広まってましたねえ」
そう言いながらスイートパンプキンをもっしゃもっしゃと食べる、相変わらず元気そうなイサオさん。
ハロウィン自体は明治時代辺りには日本に入って来ていたものの、行事として広く認知されたのは1990年代後半に某ねずみーランドでイベント化されたのと、2000年代のお菓子業界の陰謀による影響が大きいとされています。
つまりはバレンタインと似たようなノリです。
「つまり行事としてはちゃんと根付いていないという事ですか。いいのでしょうかそれは」
「まあいいんじゃね。そもそも元は死者が家族に会いに来るっていう日だからな。日本に根付いたらお盆に帰ったはずの先祖がまた戻ってくることになるぞ」
僅か二ヶ月でまたやってくるご先祖様。
でもハロウィンに先祖をどう迎えるかとかみんな知らないので、戻ってきてもがっかりするかもしれません。
とりあえずカボチャ供えればいいんじゃないかな。
「そんな大雑把でいいのか」
「いいんだよ。信心なんて半分ノリで」
サロスくんのつっこみに、信仰される側なのに何か言ってるスクナヒコナ様。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「立冬なのに暑くない?」
「暑いというほどではないでしょう」
こたつ布団を出したものの、やはりまだ早いのではと悩むアマテラス様と呆れるツクヨミ様。
ちなみにこたつ含む暖房器具の類は、亥の月最初の亥の日。今年なら11月11日に出すと火災にならないとされています。
エアコンとかどうすればいいのかって?
知らん!
「ああ。イノシシって火を免れるとされてるんだっけ。普通にしし鍋とかにされてるのに何で?」
「五行思想では干支の亥が水にあたるからですね。他にもイノシシは子沢山なのにあやかって、亥の子餅を食べて子孫繁栄と無病息災を願ったりもします」
「とよちゃーん。亥の子餅ー」
「まだ亥の日ではありませんよ」
聞いたらとりあえず食べてみたくなるアマテラス様と、冷静につっこむツクヨミ様。
でも多分トヨウケヒメ様なら当日に出してくれます。
「じゃあ亥の日になったらこたつつけて亥の子餅パーティーする」
「パーティーになるほど食べるつもりですか」
謎の決意をするアマテラス様と呆れるツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。