リアルでほしい特典
今日も今日とて新大陸を目指して海原を走る大型船。
その船にいつものように定期連絡と物資補給のためにローマンさん一行がやってきたのですが。
「そういや未知の大陸ってことは言葉が違うんじゃ」
「今更」
ふと「これって重要な問題では?」と気付き呟いたのに
ローマンさんに一言で斬り捨てられるカオルさん。
大丈夫。作者も忘れてた。
「え? 実際どうすんですか言葉通じないのに」
「漂流した人が身振り手振りで割と何とかなってましたし。そもそも普段貴方は何語で話していますか?」
「そりゃ日本語でってそうだった!?」
自分含む召喚、もしくは逆召喚された人間は翻訳特典がついてたことを今更思い出したカオルさん。
大丈夫。作者も(略
「あ、じゃあ交渉とかはローマンくんが?」
「私がやる予定ですが、最初の接触時にタイミングよくいるとも限らないので、貴方にお任せする可能性もあります」
「何それ聞いてない」
当初の契約には含まれていない業務が追加され戸惑うカオルさん。
でも実際やれと言われたら嫌ですとか言いづらいよね!
「別の大陸の言語には対応していない可能性も考えましたが、新大陸の出身と思われるマカミさんにも通じていたので恐らくは大丈夫でしょう」
「心配してるとこはそこじゃないんだよなあ」
「漂流者を手厚く保護するような人たちなのだから、いきなり攻撃されたりはしないでしょう。何なら私たちが来るまで食料解放して宴やっててもいいですよ」
「それでいいのか」
大丈夫。
人類皆大体美味いもの好き。
「まあ将来大公になるのですから良い経験だと思って」
「大きなお世話だしそんなもんになる予定はねえ!?」
仮にも大公の座を「そんなもん」とか言っちゃうカオルさん。
現大公がアレだからね。仕方ないね。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「もしかして自動翻訳ってとんでもないチートでは?」
「今更」
召喚された日本人についてたので、よく考えずに召喚返しした異世界人にもほいほいつけた翻訳機能が実はものすごく便利だという事に気付いたアマテラス様。
そしてそのアマテラス様の気付きを一言で斬り捨てるツクヨミ様。
でもないと実際困るからね。仕方ないね。
「それこそ同じ言語の話者でもすれ違いが起きるような表現も意図を汲み取って訳しますからね。口に出した言葉に限定されますがテレパシー一歩手前ですよ」
「『何で来たの?』って『何に乗って来たの?』という意味で聞いたら『何でおまえいるの?』的な意味にとられることがなくなるの?」
「大体そんな感じです」
何それ欲しい。
何で外国人さんたちプロフィールを日本語だけで書いてるのに英語で話しかけてくるん?
機械翻訳?
スラング等が妙な翻訳されて面白い日本語になるぞ気をつけろ。
「といいますか、異世界人組には姉上がつけた機能なのに何故仕様を理解していないのですか」
「何となく勢いでやった」
何となくでやったのにちゃんと機能してる不思議。
流石神様だぜ!(投げやり
「というか私たちもゼウスとかオーディンに何で言葉通じてんの?」
「神ですから」
疑問の答えになってない、ある意味存在自体が理不尽な存在。
神様ってスゲー。
今日も高天原は平和です。