試してガッ〇ン(合点するとはいってない
「クリスマスパーティーをやろうと思うのだが」
「いきなり何を言っておるんじゃおぬし」
安達家にて。
最近めっきり寒くなってきており、こたつに入り背中側にはストーブという完璧な布陣で何か言い出したグライオスさんとつっこむリィンベルさん。
ストーブの近くには可燃物は置かないようにしましょう。
「子供たちが向こうに帰ってしまってからどうもアダチに元気がないようでな。エルテのやつも構ってくれる人間が減って家にいる時間が減ったし、ここらでパーッと騒いでやろうかとな」
「エルテが家にいる時間が減るのは歳を考えればある意味健全な変化じゃが、それよりも落ち込んでおるのかアダチは」
腹黒紳士と見せかけて、実は寂しがりやな安達さんの様子に呆れるリィンベルさん。
もしエルテさんに反抗期が来たら、安達くんはショックのあまり内閣総辞職してしまうかもしれません。
その前に最近出番のないつっこみのお兄さんこと月込くんからつっこみが入り、外務大臣な柳楽くんが上手いことなだめすかすでしょうが。
「それで何とか子供たちを呼べないかとな。グラウゼとリィンベルなら内密に連れてくることもできるだろう」
「おぬしただでさえ法やら何やらを整備中のこの時期に、そうホイホイ門を開く魔術を使うわけにはいかないのは分かっておるじゃろうに」
「何。バレなければいいのだ」
そう堂々と言ってのける流石の俺様元皇帝様なグライオスさん。
部下だったインハルト侯やデンケンさんの苦労がしのばれます。
インハルト侯はともかくデンケンさんは性格的にむしろ煽って楽しんでいそうですが。
「まあやってはみるが。以前とは違ってアダチ以外も今は要職に就いとるんじゃからスケジュール調整が大変そうじゃのう」
「まあそこは別に当日でなくても都合がついた日でいいだろう」
そうして安達家の老人二人により計画が始まる安達家クリスマスパーティー。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「チーズティーとかいう合体事故起こしたみたいな飲み物の名前を聞いたんだけど」
「名前だけではなく実際にありますよ」
こたつに入ってほうじ茶を飲みながら言うアマテラス様と、こたつから頭だけ出しているぶちを撫でながら返すツクヨミ様。
最早完璧にぶちがツクヨミ様の飼い猫と化しています。
「タピオカミルクティーと同じく台湾発祥の飲み物ですね。そしてタピオカミルクティーと同じく鬼のようなカロリーの飲み物でもあります」
「台湾どうしちゃったの?」
まさかの台湾からの第二の刺客に台湾人の正気を疑うアマテラス様。
でも多分台湾人からしたら「おまえら(日本)に言われたくねえよ」状態です。
「ピザやグラタンに使われるようなチーズを連想するから違和感があるのだと思いますよ。菓子にもチーズは使われるのですから、クリームの代替と考えればありなのでは?」
「あーそれならありえる……のかなあ?」
ちなみに味自体は甘じょっぱくハマる人はハマるそうですが、やはり好みが分かれ駄目だという人もいるそうです。
しかも前述したようにカロリーが高いので、一部からは「悪魔の飲み物」と呼ばれています。
「よし、試してみよう!」
「試すのは構いませんがハマって飲み過ぎないように」
相変わらず好奇心の塊なアマテラス様と、チーズティーのレシピを調べてトヨウケヒメ様に渡す準備をするツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。