そこのけそこのけオネエが通る
「先輩。馬が元気すぎて辛いです」
「恋人とかじゃなくて馬なのが色気ないわね」
ガルディア王国の王宮の食堂にて。
特訓に来ていたカオルさんが食堂で愚痴るのを呆れたように見るオネエ。
ちなみにおまえら結婚しろ状態なディレットさんは、カオルさんの隣で目を輝かせながらシーフードピラフをかっくらっています。
「まあ確かに元気良すぎるというか、あれだと戦場でも自分から敵倒しに行きそうね」
「それ普通なんじゃ」
「馬っていうのは本来は大人しくて臆病な生き物なのよ。人間の都合で引っ張りまわすんだから気を使わないといけないの」
「逆に俺が引きずり回されたんですけど」
「気を使わなくていいから楽ね」
そう言うオネエですが、あんな暴走超特急に付き合えるのはオネエみたいな人類なのか怪しい人たちだけなので、辛うじて人間なカオルさんには荷が重いです。
ただし今回はディレットさんを同乗させてガルディアまで来たのですが、カオルさんだけ乗っていた時とは違い、ディレットさんを気遣うように常識的な範囲のスピードに抑えて走ってくれていたりします。
流石ギリシャの神様の馬だな(偏見)。
「というか馬馬っていい加減に名前付けたら?」
「え、でも馬の名前ってどんなのを付けたらいいのか」
「別に深く考えなくてもフィーリングでいいわよ」
馬の名前とか競馬好きな人でもないと即座に浮かんでこないでしょうが、逆に競馬業界だとぶっ飛んだ名前が結構あるので参考にならない可能性もあります。
ネコパンチ。
「じゃあ田吾作」
「それ馬の前で言ってごらんなさい」
間違いなく蹴られる。
そう思ったオネエですが、実際に言ってみたらまさかのOK判定らしく大きく頷いた馬改め田吾作。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「そういえばたまに馬とかがお供えされるけど、生贄呼ばわりされてたから『え? 捌くの?』って凄いビビった」
「確かにそれは紛らわしいですね」
アマテラス様の言葉に頷くツクヨミ様。
生贄というのは神様に捧げる生きた供物のことですが、必ずしも殺すわけではなくそのまま境内で飼われたりする場合もあります。
また神社によってはそういう動物を神事に参加させることもあります。
「というか最近は車とかが普及しちゃってるから、馬とか牧場でも行かないと乗る機会ないよね」
「それもそうですが。そもそも日本では平民が馬に乗れるようになったのは明治時代に入ってからですしね」
「え? そうだっけ?」
騎士と言えば馬なのと同じように、日本でも馬術は武士にだけ許された武芸であり、江戸時代には武士の中でも御家人の一部などは馬に乗ることは許されなかったとされています。
御家人って何かって?
こう将軍に直接謁見できなかったり領地少ない役人的な(曖昧)。
「そのせいか解禁されてもあまり乗馬人口は増えなかったんですよ。他の移動手段がどんどん普及していきましたからね」
「あー一般家庭で馬飼うのとか難易度高いよね。可愛いけど」
ちなみに一般には普及しなかったとはいえ、馬の需要自体は依然としてあり、軍などでは騎兵部隊が第二次世界大戦でも現役で活躍したりしています。
「誰かに私は馬よりポニーがお似合いだと言われた気がする」
「いきなり何言ってんですか」
唐突に何か言い出したアマテラス様につっこむツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。




