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何故食べようと思った

「酷い目におうた」

「お疲れ様です」


 都内の某ホテルにて。

 ベッドにうつぶせて寝そべり魂が抜けかけている魔王様と、備え付けの急須でお茶を入れながら労うアスカさん。


 ちょっとマッド入った医者たちによって角がどうなってるのか徹底検査された魔王様でしたが、結局何か新たな発見があるでもなく骨折り損のくたびれ儲けとなりました。


 ちなみにその角が邪魔なせいで魔王様は仰向けかうつ伏せでしか寝ることができません。

 まだ慣れてない頃に寝返りをうとうとして首がグキッといったのは魔王様とミラーカさんだけの秘密です。


「削れないどころか傷すらつかないって本当に凄いですね」

「傷がつかんでもあんなゴリゴリされたら頭に響くっちゅうねん。それはそれで頭にどうやって固定されとんねんとレントゲン撮ったら靄かかったみたいに見えんし。胸部レントゲンは普通に撮れたのに何で頭だけ見えんねん!?」

「不思議ですねー」


 何で見えないのかと言えば魔王様の角から出てる不思議パワーのせいです。

 決して作者すら頭蓋骨どうなってんのか分からないせいではありません。

 見せられないよ!


「というか仮に頭蓋骨の奥から生えてるなら衝撃くわえると脳がヤバくないですか?」

「何で終わってからそんな恐いこと言うん!?」


 今更アスカさんから命の危機があったのではと言われ涙目になる魔王様。

 でもやる前に言われるよりはマシだと思われます。


「そもそも事前に気付いとったら断固拒否するわ!?」


 魔王様渾身の咆哮。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「彼岸花って綺麗なのに何でそんな縁起の悪い名前なの?」

「お彼岸頃に咲くからで別に彼岸自体に悪い意味はありませんよ」


 この時期になると田んぼで咲いてる彼岸花を思い出し疑問を口にするアマテラス様と即座に返すツクヨミ様。


 彼岸自体は元々は仏教用語であり、単にあの世という意味だけではなく煩悩を脱して悟りの境地に至ったことも指します。

 曼殊沙華という別名も元はサンスクリット語であり、天上に咲く花を意味し仏教では吉兆とされるおめでたい花なのです。


「え? じゃあ縁起悪いって単なるイメージだけなの?」

「まあ毒があるので食べたら死ぬという意味で彼岸花だという説もありますし、墓場によく生えてるので死人花なんて別名もありますね」

「どっち!?」


 自分で説明しといてすぐさま逆の情報を入力しアマテラス様を混乱に陥れるツクヨミ様。

 末弟とは別ベクトルにいじめっこです。

 ちなみに墓場の周りに生えているのはモグラなどの害獣が寄りつくのを避けるために植えたからだとされおり、決して死人の養分吸って生えてくるとかいうわけではありません。


「あとは飢饉の時の非常食になるので食べられないようにあえて地獄花など恐い別名にしたという説もありますね」

「え、食べるの? 毒あるのに?」


 彼岸花の中で食用になるのは球根部分ですが、食べるにはまず皮を剥きすりおろします。

 しかしその後は煮込んでから七回流水ですすぐだの、いや煮込むのはすすいだ後だよだのと情報が錯綜しており、どれが正しい調理法なのか分かりませんでした。


 というか彼岸花を食べようとしている人をSNSで発見し、このお話の更新直前にも調理がリアルタイムで進んでいるので、後日勇者によって正しい調理法が分かるかもしれません。


 ……え? マジで食べるの?


「……人間の食に対する熱意って凄いね」

「命がかかってますからね」


 そういうツクヨミ様ですが、むしろ美味いというだけで命かけて食ってた食材もあるという人間の業の深さ。

 今日も高天原は平和です。


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