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異世界召喚が多すぎて女神様がぶちギレました【連載版】  作者: 湯立向日/ガタガタ震えて立ち向かう


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食の評価基準=米に合うかどうか

「久しぶりですねフィデス」

「久しいなイネルティア」


 ケロス共和国のとある村にて。

 里帰りしようにも知り合いの殆どが移住していたというまさかの事態により「じゃあ頭の固い爺連中いないじゃんヒャッホー!」と喜んで異世界に戻ってきたイネルティアさん。

 他のエルフたち同様この村に居つく気満々です。


「済まなかったな。イサオを事故で召喚してしまったのは我ら全員で事を起こした結果だというのに、おまえにだけ責を押し付ける形になってしまった」

「いえ。中々快適なところでしたよ」


 むしろ貧乏くじどころか当たりくじだったと思ってるイネルティアさんですが、詳しく話したら「何それズルい」とか言われそうなのでいかにも気を使ってるような返し方をしています。

 でも当の日本人なイサオさんの手によって次々と異世界の文明レベルでも適用可能な技術が投入されているので大体バレてます。


「それにイサオを召喚した甲斐はあったのでしょう。楽しそうな生活を送っていると聞きましたよ」

「確かに森で変化のない暮らしをしていた時とは比べ物にならないな。農業には慣れてきたが、イサオとスクナヒコナ様の指導で次々と新たな作物を育て見たこともないような食事にありつけている」


 そのせいで収穫物が中々カオスな事になってきている今日この頃。

 そしてたまに商人が来ては高値で作物を買っていくので地味に村の経済が潤っています。


「ではこれは不要だったでしょうか」

「それは……豆か?」


 イネルティアさんが取り出したものを見て首を傾げるフィデスさん。


「これは大豆です」

「大豆と聞いて!」


 イネルティアさんが発言するなりどこからともなく走ってきて横滑りしながら停止するイサオさん。

 相変わらず老人とは思えないアグレッシブさです。


「大豆ですね? こちらの世界のなんか大豆っぽい豆ではなくて本物の大豆ですね!?」

「そうです! あちらで長い年月をかけて品種改良された大豆です!」


 久しぶりに会ったのに挨拶もなしに大豆を手にしてはしゃぐイネルティアさんとイサオさん。


 品種改良の歴史というのは馬鹿にできるものではなく、例えば最近の野菜は数十年前のそれと比べると明らかに甘くなっています。

 他にも大豆ならば収穫の際に莢から実が弾け飛ばないように改良されていたりと、人間の都合がいいように長い年月をかけて変化させているのです。


「これなら今までより質のいい味噌と醤油が……いえ、私もそっちの経験はあまりありませんしやはり試行錯誤を重ねなくては……!」

「そう思って大豆が収穫できる頃にはご家庭でも簡単にできる味噌と醤油手作りキットを送ってもらう予定です!」

「最高じゃないですか!」

「ええ……」


 手を取り合いグルグル回りながらテンション爆上げなイネルティアさんとイサオさんに対し、完全に置いてきぼりでドン引きしてるフィデスさん。

 今日も異世界は平和です。


・

・

・


 一方高天原。


「味噌と醤油があれば日本人は何処でも生きていけると言っても過言ではないのでは?」

「過言……でもないかもしれませんねえ」


 何か言い始めたアマテラス様に反論しきれず納得してしまうツクヨミ様。

 実際海外に長期間滞在しなければならない場合持っていきたいものを日本人に聞いた場合、高確率でインスタント味噌汁が含まれていたりします。


「まあ味噌汁は便利な食べ物ですからね。大抵のものは具材になりますし人体に必要な塩分も豊富。戦国の世には芋の茎を味噌で煮込んで作る芋がら縄という携帯食もありましたし」

「あ、それ知ってる。煮込んだら味噌が溶けて芋がらもそのまま食べられるんでしょ」

「よく知ってましたね」

「真似しようとしたらトヨちゃんに止められた!」

「……」


 何で出陣予定もないのに兵糧食作ろうとしてんだとつっこもうとしてやめるツクヨミ様。

 大体ノリでやってるのでつっこむだけ無駄です。


「でもその後トヨちゃんが芋がらの味噌和え作ってくれたけど結構美味しかった」

「珍しいものが出てきたと思ったら姉上のせいだったんですかアレ」


 そもそも芋がらどっから持ってきたんだとはもう面倒くさいので言わないツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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