表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

207/528

貧乏神を押し付け合ってリアルファイト

「……むう?」


 日本の安達家にて。

 リビングで問題集を広げ何やら悩んでいる未来の警察官なマカミさん。

 余程悩んでいるのか耳は垂れ下がりもふもふ尻尾が忙しなく動き回っています。


「どうしたんですかマカミさん」

「エルテか。いや、この数学の問題なのだが」


 そんなマカミさんを発見し質問する学校帰りのエルテさん。

 どうやらマカミさんは警察官の試験に備えて勉強していたようですが。


「すすむくんの徒歩での移動速度が時速1300キロメートルになるのだが、人間の子供がそんな速度で移動することは可能なのだろうか」

「子供じゃなくても不可能ですから計算ミスを疑いましょうよ」


 ものすごく下らないことを真面目に考えていたマカミさんにつっこむエルテさん。

 人間が生身で音速を越えたらどう考えても死にます。


 一応成層圏からパラシュートでダイビングし落下速度が音速を越えても着地に成功した事例はありますが、宇宙服を着ていたからこその成功でありどっかの聖闘士でもない限り死にます。


「もしかしてマカミさん数学苦手ですか?」

「ああ。ただ覚えればいいだけのものと違って計算というのになれていないからな」


 そういうマカミさんですが、まったく馴染みがないであろう地理やら歴史を覚えるだけで済むと言ってのけるあたり地頭の良さが伺えます。

 桃太郎〇鉄がなければ即死(赤点)だった。


「私はむしろ歴史に出てくる人名とかまったく頭に入って来ないんですけど」

「そうか? 一度聞けば大体は覚えられるが」

「どんな頭してるんですか」


 得意分野の違い故に互いが理解できないマカミさんとエルテさん。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「数学って社会に出て何の役に立つの?」

「勉強嫌いの学生の言い訳みたいな発言をしないでください」


 アマテラス様の発言を嗜めるツクヨミ様。

 実際神様に数学が必要なのかはそれこそ神のみぞ知るので分かりません。


「世の中何がどう繋がっていて役に立つか分からないものですよ。例えばシャーロックホームズというお話がありますね」

「ああ、名探偵の」

「彼の推理の肝は数学や化学に基いた科学捜査です」

「マジで!?」


 世界一有名な探偵と言っていいホームズですが、彼の推理は足跡の歩幅から身長を予測したり灰を調べて煙草の銘柄を突き止めたりと正に科学捜査の先駆けともいえる手法だったりします。

 さらに驚くべき点は、ホームズの話が書かれた時代にはまだ科学捜査というものは確立されておらず、むしろホームズを参考にして科学捜査が発展したとすら言われていることです。

 創作の探偵だからと言ってピ〇ゴラスイッチみたいな事件ばかり解決してるわけではないのです。


「得た知識に意味があるかどうかは本人にそれを使う意思があるかどうかだと思いますよ。勘というのは無意識に経験から判断しているとも言われていますし、知識が多くて困ることはありません」

「だからツクヨミは無駄に知識が多いんだね」

「明日から私は姉上の疑問には何も答えないので自分で調べてください」

「ごめんなさい!?」


 にっこり笑顔で言い放つツクヨミ様を見て「やべえこれ静かにマジギレしてる」と察して慌てて謝るアマテラス様。

 今日も高天原は平和です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらの作品もよろしくお願いします。

スライムが倒せない
 とある田舎の村の少年レオンハルトは「冒険の旅に出たい」という夢を持っている。
そのため手始めに村の近くに出没したスライムで魔物との戦いの経験をつもうとしたのだが……。
コメディーです。
― 新着の感想 ―
月「知識が多くて困ることはありません」 日「だから無駄な知識が多いんだね」 ↑絶対しっかり聞いてない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ