酔っ払いってみっともないよね→酒!飲まずにはいられないッ!
「ふっふっふ。来ましたねついにこの時が」
「ええ。ようやく準備が整いました」
ケロス共和国の小さな村にて。
何やら農作物を備蓄している倉庫の中で顔を突き合わせているイサオさんとフィデスさんの実は同い年コンビ。
いい歳こいて何を企んでいるのか両者ともに不気味な笑顔が浮かんでいます。
「……何をやっているんだおまえら」
「おっと、君はダークエルフの……誰でしたっけ?」
「ヘタレリーダーでいいのでは?」
「アルカだ! 別に覚えなくてもいいがヘタレはやめろヘタレは!」
そんな二人を見つけて声をかけたものの、ヘタレ呼ばわりされて怒鳴るヘタレリーダーことアルカさん。
もうダークエルフはみんな農業に夢中になって復讐とか忘れていてリーダーですらないので、ただのヘタレでいいと思います。
「何を見ているかと思えば米か?」
「ふっふっふ。ただの米ではありませんよ。これは酒米です!」
「そうか。じゃあな」
「最後まで聞いてよ!」
「いい歳こいて縋りつくな爺!?」
「いい歳こいて復讐とか言ってた人が何言ってんですか」
あ、これ面倒くさいやつだと思い撤退しようとしたアルカさんでしたが、恥も外聞もなく足にしがみついたイサオさんによって逃亡は阻止されました。
基本説明したがりな人なので話を聞かないと拗ねます。
「それで、酒米というからには酒を造るのか?」
「その通り! そもそも私たちがこの村に来た目的こそこの米を使ったお酒なのです!」
「まさか実際には製造には至っておらず酒米すら作っていないのは予想外でした」
「俺たち酒のついでで連行されたのか」
衝撃の事実に呆れるアルカさん。
でもどうせその内暇になったアスカさんによる襲撃があったのは間違いないので、この村に来るタイミングがズレるだけで結果は変わりません。
「まあその辺りは中心人物だったアスカさんがお酒に興味がないのだから仕方ありませんね」
「しかし今は違います。我々三人で何としてでも酒造りを成功させるのです!」
「いつの間にか仲間にされてる!?」
つっこみはいれるけどあっさり仲間に入れてもらえて実はちょっと嬉しいアルカさん。
ダークエルフはめんどいのしかいないのか。
「しかし流石のイサオも酒造の経験はないのでしょう?」
「専門ではありませんでしたからね。個人でやろうにも日本では勝手に酒を造ることが禁じられていましたし。その点異世界なら酒税法なんて関係ないのでやったもん勝ちです」
梅酒などの果実酒ならばともかく、普通の酒を造るには酒類製造免許というものが必要になるわけですが、その取得条件が日本酒の場合年間に最低60キロリットル製造することなど結構ハードルが高いです。
そしてイサオさんは異世界ならやりたい放題だと言っていますが、異世界に酒税法に該当する法律がある場合は当然勝手に作るのは違法になるので異世界に行く予定がある人は気をつけましょう。
「あ、ちなみに最初にできたものはスクナヒコナ様に献上するので」
「当然ですね」
「当然だな」
イサオさんの言葉にあっさり納得する日本の信仰には理解のあるエルフコンビ。
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「私清酒は好きだけど焼酎は苦手なんだよね」
「その姿で言うと犯罪にしか聞こえませんね」
意外に酒の好みにはうるさいらしいアマテラス様とつっこむツクヨミ様。
お店で飲もうにも身分証明書の提示を求められたらそんなもんねえので自宅飲みしかできないアマテラス様です。
「そういえば姉上は子供舌の割には酒に強いですね」
「んっふっふ。神なら酒くらいグイっといけないとね」
子供舌はスルーして酒豪部分をアピールするアマテラス様。
なんだかんだ言って一番好きなのは梅酒なあたりが正に子供舌です。
「でも私つまみってあんまり食べないんだよね。でも〆にラーメン食べたくなるのは何でだろう」
「簡単に言えばアルコールを分解するのに必要な栄養素がつまってるからですね」
飲酒後にラーメンを食べたくなる理由については、塩分が不足するため、アルコールが満腹中枢に作用する、アルコールを分解するのに必要な成分が多いなど様々な理由があるとされていますが、中でもよく言われるのはアルコールの分解により糖分が不足し炭水化物が欲しくなるというものです。
いずれにせよアルコールの分解はともかくカロリー的な意味では間違いなくオーバーキルなので、健康に気を遣う人は大人しくしじみの味噌汁でも飲んでおきましょう。
酒を飲んだ後だけでなく二日酔いにも効きます。
「え、二日酔いでしじみの味噌汁飲むとかおっさん臭い」
「なら二日酔いにならないようにしてください」
全国のおっさんに酷いことを言うアマテラス様と正論叩きつけるツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。




