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花見(花を見るとは言ってない)

 花見。

 奈良時代ごろに始まったとされる今では定番の行事ですが、当時は花見をするのは貴族だけであり、見るのも桜ではなく梅だったそうです。

 平安時代になると梅よりも桜の人気が高くなり、その後次第に武士の間でも花見が行われるようになりましたが、庶民の間に広がったのは徳川八代将軍吉宗が桜を植え飲食店を開かせて庶民に花見を推奨したのが始まりとされています。


 ちなみにこの吉宗さんはかなり好奇心旺盛だったらしく、中国から絵を取り寄せようとしたり、ベトナムから象を取り寄せて江戸に象ブームを巻き起こしたりしています。

 日本人今と大差ねーな。


「花見で酒が飲めるぞ」

「年がら年中飲んでいるだろうが貴様は」


 昼間から酒瓶を持ちだしているグライオスさんと、呆れた様子のグラウゼさん。

 花より団子ならぬ花より酒状態です。


「酒が飲めるというのならさっさと花見とやらに行けばいいだろう」

「それがなあ。今日は他の者は皆用事があるとかでつれんのだ」

「だったら一人で行けばいいだろう」

「寂しいではないか」

「いい歳こいて拗ねるな」


 酒瓶もって縮こまるグライオスさんを見てますます呆れるグラウゼさん。

 安達くんといいこの家には寂しがり屋のおっさんが多いようです。


「そこでわしは考えた。今のうちに場所を確保して夜桜見物に皆を誘おうと」

「そうか。頑張れ」

「そこでおぬしには場所を探してほしいのだが」

「昼間から吸血鬼に働けとか鬼か貴様」


 そう言う割には割と最近昼間でも活動しているグラウゼさん。

 吸血鬼的には大変生活リズムが崩れた状態です。


「おまえさんは無理でも、ほら、猫たちの情報網があるだろう。あれで穴場が分かるのではないか」

「貴様そういうことには知恵が回るな」


 グラウゼさんのお猫様網はますます発展しており、猫たちの活動範囲内に限定すれば諜報員も真っ青な情報収集能力を誇っています。

 でも情報自体は結構偏ってます。猫だから仕方ないね。


「まあ聞いてはみるが、期待するなよ」

「おう。期待させてもらおう」

「話を聞け」


 呆れながら言うグラウゼさんが指を慣らすと「何か用かおっさん」とばかりに「にゃー」と鳴きながら庭に現れる白猫。

 今日も日本は平和です。



 一方高天原。


「まず姉上を岩戸に押し込みます」

「何で!?」


 冒頭から姉を監禁しようとするツクヨミ様とつっこむアマテラス様。

 別にツクヨミ様がついにシスコンの上にヤンデレに覚醒したわけではありません。


「高天原で宴会をするなら姉上の岩戸籠りは外せないイベントというか鉄板でしょう」

「そんな鉄板知らないよ!? というかそれ私だけ途中まで仲間外れになるじゃん!?」

「しかしアメノウズメもはりきっていますし」

「私の魅力でアマテラス様もいちころです!」

「魅力関係ないから!? それのせいで私レズ疑惑出てるんだから!?」


 脱ぐ口実ができたぜヒャッハーとばかりにはしゃぐアメノウズメ様と焦るアマテラス様。

 しかし以前も書きましたが、アメノウズメ様が日本最古のストリップ状態になったのは激しく踊って衣装が乱れたからであって、この作品のように痴女だったわけではありません。


「まあ冗談は置いておくとして」

「冗談だったの!?」

「冗談だったんですか!?」


 相変わらず無表情でジョークを飛ばすツクヨミ様につっこむアマテラス様とショックを受けるアメノウズメ様。

 でもどうせアマテラス様とか関係なく脱ぐので問題ありません。


「冗談に決まっているでしょう。花見のために日食起こしてどうするんですか」

「ツクヨミ真顔で冗談言うから冗談かどうか分かりづらいんだよ」

「嘘をつくなら四月一日は外すと前に言ったじゃありませんか」

「言ったけども!?」


 まさかの有言実行に驚くアマテラス様。

 やはりツクヨミ様は鬼畜……!


「それにスサノオが来るのでどうせ本当に引き籠るでしょうし」

「何でスサノオ呼ぶのー!?」

「呼ばなくても勝手に来るんですよ」


 弟の来訪に本気で嫌がるアマテラス様。

 そもそもツクヨミ様何で高天原に常駐してんだとかつっこむのは今更です。


「あと今回は母上も来るそうですよ」

「……嘘乙?」

「いえ。これは本当です」

「……」


 続いて母親参戦と聞き完全に固まるアマテラス様。

 その脅威度はスサノオ様の比ではありません。


「……岩戸籠る」

「させませんよ」


 冒頭で自分で押し込めると言っておきながら引き籠ろうとするアマテラス様を捕獲するツクヨミ様。

 今日も高天原は平和です。

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― 新着の感想 ―
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