来るきっと来る
「一番タケミカヅチ! ジ〇ダイの真似!」
高天原にて。
桜の木の下で盛り上がる天津神の面々と、蛍光灯を光らせながら剣舞を披露するタケミカヅチ様。
どうやら扇風機を爆破したのを反省し、微妙な力加減ができるようになったらしいです。
「どうぞ。母上」
「あら。ありがとうツクヨミ」
一方盛り上がる他の面々とは異なり、静かに宴を楽しむダー〇ベーダーもといイザナミ様とツクヨミ様のゲームだと高確率で闇属性にされるコンビ。
陰と闇は別物だし月も光ってるけど、もっと光ってる太陽と対になってるからね。仕方ないね。
「……」
そしてそんな闇属性母子の隣で正座してプルプル震えてるアマテラス様(光属性)。
今にも泣きそうです。闇の中では光はさらに輝くとか言われてますが、別にそんなことはありませんでした。
「それにしても……異世界との境界を破るのを認めるなんてね」
「!?」
ふと思い出したように本題であろう言葉を漏らすイザナミ様に、ビクッと反応しさらに地震中のように震えだすアマテラス様。
ちなみに太陽ではフレアと呼ばれる水素爆弾の数十万倍の威力の爆発が一日に何回も起こっているので、地震とか日常茶飯事です。よって問題ありません。多分。
「どうしてかしら?」
「え……いや……その……」
ぐりんとエクソシストばりに首を曲げて振り向いたイザナミ様に、同じくぐりんと首を横に反らし言葉を濁すアマテラス様。
完全に蛇に睨まれた蛙状態です。
「母上。その辺りで」
「……そうね。まだ足りない気もするけれど」
「ふぇ?」
しかしツクヨミ様が声をかけるなりイザナミ様の雰囲気がやわらぎ、呆気にとられるアマテラス様。
そんなアマテラス様を見てイザナミ様が呆れたようにため息をつき、ツクヨミ様がおかしそうに笑っています。
「え? どういうこと?」
「心配せずとも、怒ってはいないということよ」
「な、なーんだ」
「叱る必要はありそうだと思ったけれど」
「ひぃっ!?」
怒ってないと言われて気をぬいたアマテラス様を戒めるように、再び睨めつけるイザナミ様。
そしてその後ろで実にいい笑顔で経過を見守るツクヨミ様。
叱られるべきなのはむしろツクヨミ様のような気もしますが、弟妹というのは兄姉を見て親に叱られるのを回避するのが上手くなるものなので仕方ありません。
「今までと違って、門という繋がりを作ってしまえば物質にとらわれない魂はその気があるなら自力で戻ってくるでしょうし。落としどころとしては悪くないわ」
「逆に言えば戻ってきたいと思わなければあちらの世界に定着してしまうわけですが」
「それは仕方ないわ。少なくとも、拉致同然に連れ去られた哀れな魂の迷い子が生まれなくなっただけで良しとしましょう」
「だ、だよねー」
やっべえそこまで考えてなかったと思いつつ、作り笑いで話を合わせるアマテラス様。
本人上手いこと取り繕ったと思っていますが、イザナミ様もツクヨミ様も分かった上でスルーしています。
「それにしても、よくあちらの神々も認めたわね」
「う、うん。そこはゼウスは面白ければ何でもいい感じだし、オーディンはもう全部任せるから好きにしてくれみたいな感じで」
「……よそにはまともな神が居ないのかしら」
他の神族のアレっぷりを聞いて呆れる夫婦喧嘩の八つ当たりで自国民を一日千人ころころする宣言した過去のある女神様。
しかしこれに関しては夫のイザナギ様の対応もアレなので神様はアレな方ばっかりです。
「ともあれ今日は花見なのだから素直に楽しみなさい。こんな日にまで私も細かいことを言うつもりはないわ」
「ほ、本当に?」
「嘘をついてどうするのよ」
上司の今日は無礼講だという言葉ほど信じてはいけない言葉はありません。
しかし本当に今日はこれ以上何か言うつもりはなかったらしく、以後普通に母子での花見を楽しんでいたイザナミ様とアマテラス様でしたが、スサノオ様がオオクニヌシ様を捕まえ一発芸「ちょんまげ」を披露しようとしたところにツクヨミ様のシャイニングウィザードが炸裂。
そのままイザナミ様によるおしおきへと移行しました。
今日も高天原は平和です。




