表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オオカミ人間はこの世界にいないと思っていました  作者: 正宗
1章 オオカミ人間の高校生~転校生は巫女さんでした~
4/4

ばれるオオカミ人間

「んーーーーーはっ、ここは・・・?」


床は畳、周りは和風な作りになっている場所で玲は目覚めた


「俺は一体・・・・・」


「目が覚めましたか?」


声の方向には恵果がいた、そこでようやく玲はさっきまでの状況を思い出す


「さっきの岩の化け物は?」


「大丈夫です、もう倒しましたから、とりあえずお茶でもどうぞ」


玲はお茶を飲もうとする、だが今は何だか飲む気になれず手を止めた


「どうしました?」


「いや、今はいいやてか敬語」


「ああ、御免なさい、でもこっちの方が」


「まぁいいや、それより・・」


玲は大事な事を聞こうとした、どうやら恵果も察したようだ


「ええ、巫女の事ですよね?」


「うん」


恵果は一瞬目を閉じて決心したように話し始めた


「私がいた白雲高校は表向きは普通の高校として名が通っています、私たちもそう聞かされていますから

でも他の人たちが知らない裏があるのです」


「裏?」


「ええ、それはこの世界に存在する魔族を祓うための巫女を育てるという目的で国により作られた高校なんです」


魔族を祓う、聞くと漫画の話?と思いたくなるが玲はオオカミ人間、そして先ほどの戦いを見れば

信じるしか他ない


「人々には基本魔族の存在は公表されていません、知っているのは非常事態に備えて国家公務員もしくは警察官などしか知らない事です、だから玲さんは知らなくても無理はないです」


「ああ、そうなのか・・」


玲は恵果に話を合わせる、恵果は話を続ける


「そしてその魔族を祓うには通常の武器では全く効きません、祓うためにはある特別な力

《霊力》もしくは《魔力》が必要なんです」


「霊力と魔力?」


玲が聞くと、見せた方がいいと恵果は言ってコップの中にあるお茶に手をかざした

すると恵果の手からオーラらしき物が出てる事に気付く玲、その直後お茶はコップから離れ

液体だけの状態で宙に浮き、そのまま恵果の口に運ばれた


「ごくっ・・・・今のは私の霊力をこのお茶に少し与えて私の言う事を聞くようにしました」


「そ、そんな事が出来るのか?」


「ええ、霊力を自由に扱えるように訓練すれば出来るようになります。白雲高校では霊力を操り

魔族を祓えるように訓練をするんです」


「青波もその訓練を?」


「ええ、九歳の頃から訓練しています」


「そんな時から・・」


「訓練が嫌と思った事はありません、友達もいましたし」


「でも普通の生活だってしたいだろ? 何でそんな訓練を」


玲が聞くと恵果は少し辛そうな顔を見せた


「青波?」


「私・・・いえ白雲高校に通う生徒は皆魔族に親を殺されているんです」


「えっ?」


「身寄りがいなくなってしまった私の元にある日政府の人たちが来ました、そして彼らは言いました

巫女になって親の仇をとらないかと・・・私は迷わず巫女になる事を選びました」


俺には姉がいるでも彼女には・・・・玲は何も言えなかった


「自分で選んだ道だから後悔はしてませんよ? さて話を戻しましょうか」


「ああ」


「霊力は人誰にでも備わっている力です、そして反対に魔力は魔族に備わっている力なんです」


「じゃあ普通に人間には魔力は使えないと?」


「一般的にはそうですが、でも時々人の中にも使える人はいます」


「へぇ、どんな人が使えるんだ?」


「よくあるのが体に魔族の攻撃を受けて魔力がそのまま体に残ってしまう事が多いですね」


「そ、そうか・・・」


もしかしたら・・・俺の中にも・・・そう思う玲を知らず恵果は続ける


「色々と余計な事を話しましたね、まぁ簡潔に言えば私は巫女で訓練を受けた事により霊力が扱え

先ほどの事は想定内であるという事です」


「想定内か・・」


普通はビビるぞと言葉を玲は付け足してようやくお茶を一口飲んだ


「その巫女さんが何で天城市に? 今日言ってた狼人間に事が関係してるんだよな?」


「察しがいいですね」


「それぐらい分かるわ」


玲は軽く突っ込みを入れる、すると恵果は立ち上がり手で空中に何か書くように動かした


「何を?」


「盗聴防止の術式です、念のために」


「そんなに重要な事なのか?」


玲は恵果に聞く


「もちろんです、何故なら」


次に出た言葉を聞かなければ良かった・・・そう思う玲だった


「あなたが狼人間っという事は秘密にしなければいけないことですからね」


「・・・・知っていたのか」


「先ほどの襲撃、あの魔力を感知するには私たちみたいに鍛えられていなきゃ人間には聞こえません。

その私でも気づくのに少し遅れたんです、でもあなたは気づいた何故ならそれはあなたが

魔族である可能性が高いことを証明しているんです。」


恵果はそう言って玲の向かいに座ると玲の目を見る、その目には嘘をついても意味がない

もしつこうならすぐにこの場から消されるそう感じるほどに真剣な目をしていた


玲はそれを見てため息をつく


「そうだよ、青波の言う通り俺は魔族・・・ちゃんと言うなら半分魔族だよ。そしてそれは青波の言っていた狼が宿っているだから俺は狼人間だ。」


「・・・やっぱりそうですか」


恵果は目を背ける、それは何を意味しているのか玲には分かる気がした。

だけどそんな推測を言うほど親しくない、玲は何も言わずにいた


長い沈黙を破って口を開いたのは恵果だった


「白雲高校で私にある任務が言い渡されました、それはこの天城市に出現した狼人間を観察する事です。」


恵果はテーブルの上にある自分のお茶を持ち話を続けた


「私たち巫女の世界では狼人間はもうこの世界にいるのかどうか怪しいほどに数が激減していました。」


「そんなになのか?」


「白雲高校が最後に確認したのは今から二十三年前だそうです、でもそんな時にこの天城市でとある事が起きた」


「とあること?」


恵果は近くにあった自分の鞄から一枚の写真を出し、玲に見せた。

そこには一匹の狼が写っている


「これは?」


「これはこの天城市の魔族を統括する立場にあった魔狼(まろう)です。」


「それがどうしたんだよ?」


「とある日からこの魔狼の存在が確認されなくなりました、それと同時にこの天城市に二十三年間感知されなかった狼人間の反応が現れたんです。」


「だから青波はこの天城市に?」


「はい、そして狼人間を見つけ次第観察をしろという命令でした、危険なら抹殺しろとも」


「そうか」


恵果が来た理由が自分だった、それが玲には何だか重くのしかかってくるもし自分が狼人間にならなかったら・・・・


「でも坂上君がそうだと分かった時私は思いました、抹殺する必要はないなと」


「・・・それは何故?」


「だってあんな良い友達を持っているじゃありませんか、今日一日居ただけでも私には分かります。

だから私はあなたを抹殺したりしません。」


そこまで見られているのは少しこそばゆい感じがしたならない玲である。


「これからはあなたを観察する事にします、今日襲ってきたゴーレムの事もありますし」


「そっかじゃあ」


玲が何かを言おうとした時、恵果はそれを遮った


「ただしもし坂上君が狼の力を使った時それが危険だと判断すれば私は殺しますからね?」


それを笑顔で言う恵果に少し不気味さを覚えた・・・・・・

明日から気をつけよ、そう思う玲であった











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ