第758話 クロ殿下とスバル殿下のダンジョン経営計画
細かい点、修正しました<(_ _)>
「海だ~!!」
と、言ってもエストレラ王国東部のマリーン領にある海岸ではない。
南部連合王国の北東部の青嵐県にある、
エメラルドグリーンの美しい温かい海だ。
季節は夏。
海にはぴったりの時期だ。
「で、困ったことって何なの?スバル」
素晴らしい絶景のエメラルドグリーンの海の前で、
俺は南部連合王国の第4王子で、
ここ、青嵐県に小領地を抱える友だちのスバルと再会していた。
「いや・・・こんな海の目の前で言うことでもないんだけど・・・」
「いやいや、美しいものを見ながらだと、何でも話せそうな気がするじゃん」
「・・・そうかな・・・ありがとう。
・・・実は、青嵐県にはたくさんのダンジョンがあって、
常々そこにもぐってレベル上げをしたり、レアアイテムをゲットしたり、
仲間のレベル上げに付き合ったりしているんだけど・・・
それはギルド非認定のダンジョンなんだ・・・
しかも・・・青嵐県にはギルドが無い」
「それじゃ・・・ゲットしたレアアイテムの売却とか、
クエストの受注・発注はどうしてるの・・・?」
「実は、隣の桃雲県に行くしかなくって・・・。
南部連合王国では、南部にある白雲県に
ギルド専用都市があるんだ。
青嵐県は昔の貧しさ、食糧難で白雲県や、
白雲県をバックに添える南部連合王国ギルドから、
度々の妨害で、青嵐県ギルド設置申請を却下されていてね・・・」
そ・・・そんなことが・・・
因みに、桃雲県は南部連合王国の北西部に位置している。
「ギルドが設置できないから、俺が冒険者登録するときなんて、
ダンジョン登録なんてまたのまた夢」
「それじゃぁ、どうやって冒険者に・・・?あ・・・ひょっとして桃雲県で?」
「そう。登録そのものを桃雲県で行っていたんだけど・・・
白雲県からの度々の妨害行為や年齢も理由に許可されなかったんだ。
ただ、買取りくらいなら、
登録者のお使いということでも許可されるんだけど・・・。
それすらも王都でも桃雲県でもはじかれていたんだ」
そ・・・そんなことって・・・
異世界転生してにっちもさっちも行かないとか・・・
詰みまくりだよなぁ・・・
「そこで、アデスとの入れ替わり作戦を実施してみた」
まぁ、南部連合王国の第5王子であるアデスさんと
スバルは結構似てるし、親しくないと見間違うほどで。
双星の王子とまで称されるほどだ。
「冒険者としてギルドにマークされていた俺は、
いつの間にかアデスと入れ替わっていたんだ
そして、アデスに数々の嫌がらせと妨害を行った
ギルドはアデスの実兄であり、南部連合王国の第1王子・
ルドルフ王太子の顰蹙を買い、
また、アデスの想像を絶する報復に息も絶え絶え」
一体、何やったんだ、アデスさん。
あのひと、へらへらしてるけど、
割と容赦ないし、実際に嫌がらせされたんなら、
白雲県への物資輸送をストップとか、経営悪化させるとか平気でやりそう。
あれ・・・でも、似たような話、どこかで聞いたことがあるような・・・?
「そこでアデスは南部連合王国ギルドへ謝罪がしたいのならと、
桃雲県ギルド本部へ俺の冒険者登録を要求したんだよ
こうして、8歳にして俺は冒険者となったんだ」
「8歳か・・・スバルはすごいね。
その頃から依頼をじゃんじゃんこなしてたの?」
「いや・・・無事、ギルド登録はしたんだけど、
今度は年齢を理由に仕事を取らせない作戦をとったんだ。
一切の買取り拒否っていうね」
それは、ひどいな・・・せっかく採取しても、
買取してもらえなかったら、意味がない・・・
「けど、その頃、偶然にも俺はヴェイセルさんと出会ったんだ。
そして、ヴェイセルさんは俺に言ったんだ・・・」
―俺の使命は、全てのロリショタっ子の笑顔を守ること!
そのためには・・・どんなことだってして見せるっ!!!―
「結局ロリショタコンかいいいいぃぃぃっっ!!!」
「まぁ、そこがヴェイセルさんだから」
「うん・・・そだね」
最近は、スバルもヴェイセルのノリがわかってきたらしい。
まぁ、それでもスバルにとって、
ヴェイセルはまだまだ憧れの存在ではあるらしいが。
「暫く俺は、南部連合王国を離れて、ヴェイセルさんの紹介で、
南方の小国連合やシルヴァリー共和国で腕を磨くことになったんだ。
無論、転移は自在に使えるから、
一度ヴェイセルさんと現地に赴いて、
頻繁に青嵐県とそれぞれの国を行き来してた」
おぉ・・・さすが。スバルは精霊の加護持ちではないけれど、
スキルとして転移魔法が使えるんだもんね。
因みに、小国連合は南部連合王国の南西に位置する島国で、
こないだ訪問したシルヴァリー共和国は、
小国連合から更に西に進んだ場所にある。
「時にはヴェイセルさんと共に仕事をして、
ヴェイセルさんに紹介してもらった当時からSS級冒険者だったシュアンさんや
サウメさんとも仕事を重ねる日々を過ごしたんだけど・・・」
シュアンさんは、雑種と呼ばれる獣人族で、
狼耳ににたケモ耳しっぽの寡黙なお兄さん。
サウメさんは気の強そうな魔族のお姉さんだ。
スバルの冒険者活動は順調そうに見えるけど・・・
また何か問題が起こったのかな・・・?
「各国のギルドにも最強ギルド都市である
白雲県から、南部連合王国として圧力がかかっていたらしい。
けど、SS級冒険者のバディとして仕事を請け負っている俺に不当な報酬、
評価を授ければ、もしもの時にSS級冒険者に来てもらえなくなる。
だから、そんなバカげた要求をする
南部連合王国のギルドはすっかり顰蹙を買ってしまったんだ」
ま、普通に考えればそうだよなぁ・・・
むしろ、自分たちの国にSS級冒険者が来てくれなくなることを、
考えていなかったんだろうか・・・。




