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魔法少女ルミナス  作者: けろ
第2章 魔法少女と新政府

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旅立ち

「手を引いてやる」と言ったその足で、俺はルミナスを連れて、組織が運営する子供たちの集まる施設へと向かった。

もちろん、中にまでは入らない。子供たちがかつての化け物の姿を見て怯えるといけないからだ。俺たちは、敷地の外にある、彼らの姿が遠くに見える丘の上に立った。

窓の向こうでは、かつてルミナスの足に縋りついたあの子たちが、仲間たちに囲まれて笑顔で笑い合っている。

「ここには……俺たちの戦いに巻き込まれて、親を失った子供たちがたくさんいる。俺は、あの子たちの盾になると決めたんだ」

俺の言葉を聞きながら、ルミナスは遠くの子供たちを見つめていた。

やがて、彼女はハッとして自分の頬に触れた。拷問のような大衆の罵声の中でも、もう完全に枯れ果てたと思っていた涙が、再び溢れ、温かく指先を濡らしていたことに驚いていた。

自分が何を壊したのか。その罪の深さを理解すると同時に、壊されたはずの命が、こうして泥の中で必死に、健気に生きようとしている光景が、彼女の壊れた心を優しく包み込んでいく。

「……う、ぐすっ……」

言葉にならない声を漏らし、子供のように泣きじゃくるルミナスに、俺はそっと胸を貸した。

俺のコートを掴み、声を上げて泣き続ける彼女の背中を、ただ静かに抱きしめる。

正義とか、悪とか、もうどうでもよかった。

俺たちがここでどれだけ苦悩しようとも、どうせ放っておけば、世界はまた誰かを正義に祭り上げ、誰かを悪と呼ぶ不毛な戦いを始めるだろう。

もう、そんな終わりのない戦いの中枢に身を置きたくない。お互いに、そんな疲弊しきった気持ちだった。


それから、数ヶ月後。

俺は新政府のトップの座を降りた。これからは、俺以外の人間たちがこの国の舵取りをしていく。

肩書きをすべて捨て、ただの男に戻った俺は、すっかり落ち着きを取り戻したルミナスに語りかけた。

「旅にでも出るか」

「どこに?」

「いろんなところに行こう。そして、人間のキレイなところも、愚かなところも、すべてをこの目で見に行くんだ」

「それって……面白い?」

少しだけ首を傾げる彼女に、俺は小さく苦笑した。

「そんなのは、俺にもわからん。でも、1人で永遠を生きるより、2人のほうが楽しいはずだ。少なくとも、話し相手には困らない」

俺の言葉に、ルミナスは一瞬だけ目を見開き、それから——かつてメディアで見せていた偽りの笑顔ではない、年相応の、穏やかで本当の笑顔を浮かべた。

「うん。……そうだね。」

そして、俺たちは誰にも知られることなく、歴史の表舞台から静かに消えた。

それからの俺たちの足跡は、どんな記録にも、歴史の教科書にも、どこにも残らない。ただ、死ねない身体を持った二人が、今日もこの世界のどこかで生きている。


ただ、それだけの存在になった。

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