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犬の異世界日記  作者: ふわふわ骨
獣国編
17/17

17話 努力にも責任が付いてくる

Side:ソフィ・オフカナ 人族 長いウェーブの銀髪

魔闘学園ガーディアン第2位生  現オフカナ家次女(4人兄弟姉妹の末っ子)



今日は朝から大変な事が立て続けに起こりました。

獣人国家レオナルドの首都である獣国レオナルド。その街中で早朝、というか夜明け頃にダンジョンが出現。


当時は宿で寝ていましたが、外の騒ぎで起きました。

流石に寝てすぐの格好で外に出る訳にはいかず、着替えて顔を洗い髪を整えてから外へ。

周りの人々が、「何の騒ぎだ!?」「とうとうあの馬鹿共がぶっ飛ばされたか!?」「ダンジョンが出現したらしい」「マジで!?」と大騒ぎでした。


どれが本当かわからずおろおろとしていましたが、その時に獣王リフォルグラン様達が見えました。

リフォルグラン様達が会話しながら、騒ぎの大きい方へと歩いて行く後ろ姿を見送りました。

会話からダンジョンが出現したのが本当の事らしく、こんなに大騒ぎしている理由がここでようやく分かりました。


そして他の会話から、リフォルグラン様が自らダンジョン攻略へと行くのも分かりました。

リフォルグラン様の武勇は私の国にも広まっており、自国の危機に自ら進んで解決に行く王の姿を私は、凄いと思うと共に王様が率先してダンジョンという危険な場所に行くという事実に、大臣や宰相などの人達が大変胃の痛い思いをしているのでは、と心配になりましたね。


リフォルグラン様の護衛のゴド様・ダルヤ様と、リフォルグラン様の息子のゴウ君が一緒。

ゴウ君も一緒にダンジョン攻略に行くというのを知った時、羨ましさと同時に心配しました。

ゴウ君はガーディアンでは誇張無しに一番強い生徒だと思います。16歳でありながらすでに第6位生と異例の早さの成績を上げているからです。

第9位生まである学園で、すでに第9位生を倒せる程の実力を持っています。が、ゴウ君は第6位生までしか上がれないと学園は言います。


その理由は、ゴウ君が近接戦闘関連にしか秀でていないから、だと。

一つの事だけ極めても強くなれないと、魔闘学園ガーディアンの教育方針が故の壁。

正直言って納得出来ません。全ての人があらゆる事を均等に出来はしないのは、私でも分かっている事です。

近接戦闘だけ得意な人、魔法や弓矢などで戦う遠距離戦闘だけが得意な人は、ガーディアンでは低く見られます。

それだけならまだ何とか納得出来ます。が、何故か数十年前から魔闘学園ガーディアンでは、人族以外はかなり低く成績が付けられています。

逆に人族はおかしいくらいに優遇されているのです。何故でしょうか?

ゴウ君は生徒だけでなく教諭や講師方相手でも勝ち星を挙げられる程の強さを持っているのに。

何故その事実を認めないのか。


・・・だいぶ横道に逸れましたね。

ダンジョンが出現した場所は、バトルギルド【闘士の門】が昨日やっと購入した土地らしく、【闘士の門】の方々も集まっていました。

リフォルグラン様はギルドマスターのコーダル様達と、ダンジョン攻略の話し合いをしていました。

途中冒険者ギルドと魔道士ギルドの対応に、私含めた皆様方が呆れてしまうという事態がありましたが、まあその辺に置いておいて。

リフォルグラン様達がダンジョン攻略の為、ダンジョンの入り口を降りて行きました。


私にはこの後出来る事は何も無いので、いつもの様にこの国の図書館へと、生徒の皆と一緒に勉強へ。

一刻も早く魔法を扱えるようになるため、手がかりを探して魔法関連の本を片っ端から読み漁りました。


私の家、オフカナ家は優秀な魔道士となる素質が高く、人族の中ではかなりの高名な家系です。

が、私は魔法を全く使えません。学園で一番使いやすいとされている魔法ですら発動出来ません。

幼い頃に魔法の才を確認する魔道具では何の問題も無かったのです。が、その後に簡単な基礎魔法を発動しようと何度も挑戦しましたが、結果は一度も反応無し。

以来私は家族として認められていません。

私から挨拶しても無視をされる。あちらからの挨拶を無視したら怒られる。

面と向かって罵られるのは日常茶飯事。


私が何故魔法を発動すら出来ないのか、ガーディアンの教諭や講師方も誰も分からず、私を才能無しという落ちこぼれ扱いで終わらせ、腫れ物扱いで放置される結果に。

私の様な才能無しの烙印を押された者は、人族であろうともガーディアンでは冷遇されます。

少しでも見返してやろうと思い、学園の夏季休暇(注:夏休み)に家へ帰らず獣国レオナルドへと。

人族とは違う価値観や考え方を勉強し、違う視点の見方を得ようと思っての行動です。


図書館での勉強も大体1時間程やって休憩を取ろうかと思っていた時、ダンジョン攻略へ行っていたゴウ君がやって来ました。

ダンジョン攻略が1時間で終わってしまったのでしょうか?

それとも何かトラブルが?

他の皆も不思議そうな顔でゴウ君に挨拶や会話をしています。

そしてゴウ君がここに来た理由を言いました。


「ダンジョンマスターから魔法を教えてもろうての。皆も教わらんか?」


・・・・・・・・・。

正直に、ゴウ君の身に何かあったのかと思いました。

ダンジョンマスターって、厄災や魔王とか、邪神とか言われる存在ですよね?

ダンジョンマスターらしき魔物を見たとか、ダンジョン内で魔物に襲われない奴が居た、など曖昧な噂だらけで、本物のダンジョンマスターを見た者はいないらしいですが。


そんなダンジョンマスターと言われる存在が、あのダンジョンに居た。まだそれは良いのですが、ダンジョンマスターから魔法を教わったって、ゴウ君は何を言ってるんですか?


「あ〜、まずわしが教わった証拠を見せるかのう。皆、一旦外に出てくれぬか?」


ゴウ君に言われ、私達は図書館の外に。

ゴウ君が少し距離を取り、詠唱を始めました。


「闇夜を照らす小さき灯火。【灯火(トーチ)】」


ポッ。という音と共に、ゴウ君の手のひらに小さな火が!?

ゴウ君が魔法を使えた!?

ゴウ君も魔法が使えなかったはず。

本当にダンジョンマスターに教えてもらったのでしょうか!?


「ふむ、ダンジョンの外でもちゃんと使えたのう。これで証明出来たかのう、皆」

「「「・・・は、はい・・・」」」


私も、皆もそう言うしか出来ませんでした。

ゴウ君がくだらない冗談や嘘を言う人では無いと分かっていましたが、すぐさま信じられる話では無かったですし。

分かりやすく証明してくれて助かりました。

私も皆様も魔法を使えるかもしれないチャンス。

ゴウ君に是非ともダンジョンマスターを紹介してもらいたい!


「一応言っとくがの、ダンジョンマスターとは言っても、なりたてほやほやなのじゃよイセは。わしらと同年代、というか15なんじゃ。『あんまり偉い奴扱いはされたくない』と言っておったからのう。それとイセにも魔法に関して調べたい事とかで、皆は実験に協力するという形にして、授業料とか取らないつもりらしいが、良いじゃろうか?」


なりたてほやほや?

同年代!?15!?

私達と同い年か年下!?


・・・・・・失礼な偏見はやめましょう。

年上=偉い

そんな訳ないですし。

年下=能力低い

これも無いです。

分からない事だらけなら、とにかく調べまくる。

分かるまで繰り返すだけです。


とりあえず皆様も魔法を習いたいとゴウ君の提案に賛成。ダンジョンへと。

道中、ダンジョン方面から大勢が暴れている様な音がしてきました。

ゴウ君が「あ〜、ちょっと遅かったかのう」と言って駆け足で騒ぎのある方へ。

私達も駆け足で追いかけました。


到着すると周りには、冒険者ギルドと魔道士ギルドの人達がぼろぼろで倒れていて、バトルギルド【闘士の門】の人達と国軍の兵士さん達がぼろぼろの人達を縛っていて、おそらく治療をしている最中でした。

何故か皆様神聖魔法を使っていて、それで治療していたのですが、治療を受けている方が何故か悲鳴を上げていました。

皆様の会話内容的に、痛みを軽減せずに治療する魔法らしく、それを教えたダンジョンマスターが『コイツら実験台に』と言っていたとか。


そのダンジョンマスターなのですが、ゴウ君が歩いて行った先にいる人。ハウロウ様に横抱きで介抱されている犬獣人。

彼がイセさんでしょうか?

ふくよかな体格の、顔の上半分灰色で下は白の、失礼ながらだらしない雰囲気の人でした。

どこかぐったりとしていて、周りの人達の話では魔力切れだとか。


ゴウ君がイセさんに争いがすでに終わっている事。どうしてわし達を待ってくれなかったのかと詰め寄っていました。

その様な話をしていた所、獣王様とマハガル様がイセさんに、失礼ですが馬鹿な脅し?を仕掛け、イセさんも馬鹿な返しで色々収拾がつかない状態に。


スレイ様が無理矢理止めて、そこからさらにイセさんがスレイ様の発言に怒りだし、コーダル様が止めるという展開に。

イセさんはどうにか堪え、ダンジョン内へと私達を案内してくれました。




そして現在・・・。

草原と青い空が広がる空間で、イセさんはアイテムボックスから大きなベッドを取り出し、ごろごろしています。

草原には沢山のテーブルと椅子、布製の屋根もあり日差しをある程度防いでいます。

全部イセさんがアイテムボックスから出していました。


大きなベッド。2メートルを超えて横にも大きい筋骨隆々のマハガル様が4人大の字で寝転がれる程大きいベッド。

横だけでなく縦にも大きいです。

すごくふかふからしく、イセさんが寝転んだ後飛び乗ったマハガル様が跳ねてしまうくらい弾み、寝ていたイセさんがポーンッと飛んでしまいました。

イセさんとハウロウ様が怒ってました。「「飛び乗るな!」」と。


どうも魔道具らしく、疲労回復や肩こりなども回復出来る、とてつもなく凄いのですが、何故今それを出して寝転ぶのか?

何故?

本当に何故?


「イセ、何故にベッドを出して寝とるんじゃ?」

「精神回復のためごろ寝を選んだ」

「・・・寝転ぶなら草原でいいじゃろ」


ゴウ君が何故ベッドを出して寝てるのか質問してくれました。

精神回復って。まあまだ納得出来ます。が、わざわざ魔道具とはいえベッドを草原に出して寝る意味は?

草原ではダメなのでしょうか?

ゴウ君は草原で寝転べと言って呆れています。


「ゴウ。草原で寝転ぶのと、僕が一から作った疲労回復とか、色々効果のある魔道具で寝るの。どっちか効果があると思う?」

「・・・魔道具のベッドじゃろうな」

「つまりそう言う事だ」

「効果的な方を選んだ結果、ものすごく変な光景を、わしら見せられとるんじゃが、それについて何かないのかのう?」

「今までにない光景を見れたってプラスに考える、て事でどーよ?」

「どーよじゃなかろう」


・・・返しをしっかりしながらも、ベッドから起きようとせずに寝てますね。

マハガル様もベッドでごろごろしてますし。

どうしようかと考えていると、ハウロウ様がイセさんに近寄り、


「イセ。精神回復は良いのだが、ガーディアンの学生達に魔法などを教えるという、ゴウとの約束があるだろう。彼らはそれを待っているのではないか?」


・・・あ!?そうでした!?

あまりに謎の行動をイセさんがとっていたので忘れていました!

ゴウ君が使える様になった【灯火(トーチ)】含めた魔法を教えてもらいたかったんです!


「それだけど、僕はどこまでどれくらい教えれば良いの?学園の教本の中の魔法を、使える様改良したの全部?それはそれで大変な事になるけど。僕の裁量だけで教えて良いものなの?」

「・・・そうだな。確かにどこまで・どれくらい教えれば良いのか、しっかり基準を決めなければ」


・・・?基準?

イセさんとハウロウ様の会話の問題点がよく分かりません。

教本の魔法全てではダメなのでしょうか?


「・・・教本の魔法全部でいいじゃろ?」

「教本の中全部教えるのが一番まずい。今まで分からなかった魔法を使える様になったら、周りの被害とか考えず、思いつかずに使ってしまう人が、絶対にでる。見てる時なら止められるけど、いつも見てる訳にはいかないし、変に制限つけたらこっそりと、人目につかない所に行ってやらかす奴が出る。なかなか難しい問題なんだよ」

「あ〜、なるほど。わしもつい熱中して鍛錬するじゃろうな。今まで出来なかった分止められても、こっそりと練習してしまうのう」

「でしょう?どーするかねぇ」


・・・なるほど。

今まで出来なかった分やれる様になったら、私はずっと練習してしまうでしょう。

その時、周りに被害を出さずに出来るかと配慮出来るでしょうか・・・。

しかしやっと出来る様になって、制限をつけられたら、こっそりとやってしまうかもしれません。

・・・自制出来る自信がないですね。


「ん〜・・・。一応乱暴で簡単な解決方法はあるけど、どうする?」

「どうするもこうするも、まず聞かせてくれんかのう?」

「やらかしたら自己責任で、という事にする。僕は一切助けない!」

「・・・本当に乱暴じゃのう」

「でもこれが一番楽で簡単な解決方法だし。僕がどれだけ丁寧に教えても、どうせ使う人次第だしねぇ。武器の持ち方を教えて、どれに・誰に刃を向けるかは、持ってる人次第ってね」


・・・自己責任、ですか。

力を持ったら責任を背負う事になる。

今まで無かった力を、どう振おうと自分の責任。

誰に教わったか、どうして覚えたか。

そこでなく、使う自分が、振るう責任。

力を求めるなら、背負う覚悟が無いといけないのですね。


「とりあえーず、この事はリフォやコーダルさん達も交えて意見を交換って事で。僕らだけでポンッと決めていい事じゃ無いよ」

「そうじゃのう」

「そうだな、あくまでも意見の一つとしておくべきだな」

「んじゃ、僕もそれなりに精神回復したし、アイス食べよ。ゴウ・ハウロウ、配るの手伝って」


ある程度でまとめ上げ、ゴウ君とハウロウ様、他【闘士の門】の方々も配るのをお手伝いして、アイスを食べる事に。

私も運ぶのを手伝いました。

・・・焦っても進みません。まずアイスを楽しみましょう。



・アイスを食べた後


マハガル「イセぇ、おかわりぃ」

イセ「ダメ」

【闘士の門】の人達「おかわり」

イセ「ダメです」

マハガルと【闘士の門】の人達『おかわりぃ』

イセ「いやだか『おかわりぃ』・・・あの『おかわりぃ』ちょっ『おかわりぃ』・・・・・・」

(イセ、ダッシュで逃げようとするも、走る前にマハガルに捕まる)

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