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犬の異世界日記  作者: ふわふわ骨
獣国編
16/17

16話 何が地雷かなんて分からない

獣人国家レオナルドは国の名前。

獣国レオナルドは獣人国家レオナルドの首都です。


Side:スレイ・アムル 白獅子獣人

コーダルの執事  色々出来る仕事人



・・・イセ君がリフォとマハガルの馬鹿な脅し?に抵抗すると言い出し、ハウロウはイセ君を2人から守る様に立ち回る。


何馬鹿をやっているのですかね。

しかもこんな大通りで。

まあ、すでに色々大騒ぎの最中なのですが。


冒険者ギルドと魔道士ギルド。2つの組織の者達をボロボロにして、さらにその者達を回復魔法の練習台に。

そんな時にリフォとマハガルが「回復魔法に飽きた」と言い出し、イセ君に【魔球】を教えろと詰め寄る。

イセ君が2人に教える事にしっかりと理由を言って拒否していましたが、2人が「教えねーなら体で挟む」と馬鹿な脅しを言い出した。

そしてイセ君が「意地でも教えねー!2人に挟まれ続ける道を選ぶ!」と言い出した。


何を言っているですかね3人共。

ハウロウは馬鹿2人からイセ君を守ろうと抱えたまま回避しながら3人を説得していますし。


「お前ら一旦落ち着け!?イセも考え直すんだ!」

「やだ!僕は2人の思いを受け止めるって決めたんだ!さっさと来いやあ!」

「その覚悟受け取ったぜ!つー訳でハウロウ!イセを寄越せえ!」

「邪魔してんじゃねえぞぉ!」

「させるかぁ!」


ぎゃーぎゃーと争う4人。ちょっと頭痛が・・・。

はぁ・・・。つい溜め息をついてしまいますね。

馬鹿な光景を見ながらも、コーダル様の安全の為の警戒は怠れません。


・・・とりあえずあの争いを止めますか。


ビシィッ!


「え!?」(イセ君)

「む!?」(ハウロウ)

「んお?」(リフォ)

「おぉ?」(マハガル)


イセ君・リフォ・マハガルを捉えた青白く細い魔力の糸。【魔力糸(マジックストリング)】で3人を上手く捉えられましたね。


アムル家の血統魔法【魔力糸(マジックストリング)】は発動中魔力を消費することで魔力製の糸を生み出し操る魔法。

消費魔力は発動中自由に増減が可能で、増やせば強靭になり、その気になれば本気のリフォとマハガルを数秒は止められる自信があります。が、かなりの魔力を消費しなければ実行不可能なんですよね。


これもイセ君が詳しく見れば変わるものがあるのでしょうかね。

リフォとマハガルは簡単に千切って拘束を解きましたね。


「・・・あのー、スレイさん?何故僕まで縛ってらっしゃるので?」


少し考え事をしていると、イセ君が捕えられた事を疑問に思ったらしく、質問してきましたね。


「それは君にも説教する為ですが?」

「え〜・・・?僕がリフォとマハガルの脅しに抵抗するって言った事にですか?」

「ええ。一応はリフォルグラン様とコーダル様と取引・交渉の約束を取り付けたダンジョンマスターが、そのリフォルグラン様とマハガルの馬鹿な脅迫に、抵抗するのは良いのですが、明らかに自分の欲望を満たす為に言ったでしょう、貴方は」

「何が悪いって言うんですか」

「強者とこの国だけでなく、他国にも知れ渡っているリフォルグラン様にマハガルが、ダンジョンマスターに脅迫したのは2人が悪いとしても、それを自分の欲望を満たす為に抵抗するって何を言っているんですか。そんな人物がダンジョンマスターなんて、他国だけでなくこの国の重鎮方も信じてもらえませんよ。この国でダンジョンに住む為の許可を得たいのなら、もう少しきっちりダンジョンマスターらしくしてください」


イセ君がダンジョンマスターなんて信じてもらえないでしょう。

少なくとも2人相手に馬鹿騒ぎをしていては。

イセ君は自分が弱いと自覚しているはずなのに、何故ここまで自分の欲を優先して行動出来るのか不思議です。

一歩間違えれば死。良くて牢獄行きになるのは分かっているはず。

何故演技でもダンジョンマスターらしく振る舞えないのか。


「・・・・・・」


・・・?

私のことを不愉快だと言う顔で見ていますね。

何故でしょうか?


「スレイさん。一応聞きますがどういうつもりで言ってます?」

「・・・・・・?どういうつもり、とは?」

「・・・ダンジョンマスターらしくって何ですか?」


・・・・・・。

彼は何を言っているのでしょうか?

ダンジョンマスターらしくとは何か?

・・・とりあえず質問に答えましょうか。


「ダンジョンマスターとはダンジョンを自在に生み出し、魔物を生み出し操る存在。厄災や害悪、魔王に邪神と扱われる事も多い存在です。最も私もダンジョンマスター本人に会ったのは、君が初めてですが」

「・・・・・・」


私の回答に無言で返すイセ君。

・・・・・・何故殺気を私に向けているのですかね。


「つまり、スレイ。あんたは俺にそうしろと。厄災振り撒く害悪、魔王らしくやれと。そういう事か?魔物を、生き物を生み出し命令しろと?」

「・・・は?」


いや、何を言い出しているのですか?

私はただ・・・。


「俺さあ、ダルヤさんだけでなく、あの時いた人達に言ったつもりだったんだけどなぁ〜。魔物を、生き物を作るつもり無いって。言ったはずなんだけどなぁ〜。そっかそうか〜あ」

「いや、そんなつもりは・・・」

「コーダルさんの面子とかそういうの重んじるのは良いとして。その為なら俺が嫌だと言った事すらやれと。こっちで伝わる厄災振り撒くダンジョンマスターらしく振る舞えと。わかったわかったわかりましたよ」


多少動かせる右腕でアイテムボックスを開いたイセ君が、中から抜き身の小太刀を取り出し、【魔力糸(マジックストリング)】に刃を向ける。

・・・君のステータスでその程度の刃物を使っても切れは・・・。


ふわ・・・。


「・・・・・・・・・は?」


・・・何が、起きた?

小太刀の切先が【魔力糸(マジックストリング)】に触れた途端に、まるで煙の様に糸が霧散した!?

何故!?


周りの方々も驚きの声を上げています。


「へぇ。血統魔法も【霧散の小太刀】でどうにか出来るか。俺の力じゃこれ以外どうにも出来る気しなかったから、通用して良かったな。それじゃあ・・・」


自由になったイセ君が私を見ながら、


「ダンジョンマスターという厄災らしく、あんたからやらせてもらおうか」


・・・殺気は本物。

加減などせず私を殺る気ですね。

イセ君を殺す訳にはいかないですが、殺気に対して軽い気持ちで相対する訳にも・・・。


「待った、イセ君」


コーダル様!?

私とイセ君の間に入られた!?


「退いてくださいコーダルさん。俺の狙いはスレイだけなんで」

「退くわけにはいかないなイセ君。スレイの物言いにも落ち度はある。しかしイセ君も少し早とちりしている所もある」


イセ君を落ち着かせるような声色で話すコーダル様。

すぐ側に行くべきなのですが、コーダル様の邪魔になりますね。

すぐに守れる体制で待機しておきましょう。


「スレイはイセ君にダンジョンマスターらしくしろと言ったが、魔物を作り出せと言った訳ではなく、こんな大通りで馬鹿な真似をしないでくれ、という意味で言ったのだ。それは分かってくれ」

「・・・・・・」

「アイツらの事で少し興奮し過ぎているぞ。俺達を思って怒ってくれてたのは分かっている。けれど、お願いだから落ち着いてほしい」


コーダル様の言葉で考え直したのか。

アイテムボックスから鞘を取り出し納刀するイセ君。

目を閉じ大きく息を吐くと、


「分かりました。ちょっと飛躍しすぎました。まだ僕まともに考えれる程冷静じゃ無いみたいです。色々落ち着くまでダンジョンで待ってますね」


深く一礼した後、ダンジョンへ歩いて行くイセ君。

戻る際、アイスボックスの中のアイスを配る様にお願いして。

ハウロウとマハガル、ビシャルもついて行き、ゴウ様含めた生徒達と【闘士の門】のメンバーも大体半分程一緒についていきました。


皆様を見送りましたし、コーダル様へ礼を言わなくては。


「コーダル様。ありがとうございます。しかし、危険な真似はお控え願います。もし彼が魔法で攻撃していた場合、怪我をしていた可能性がありました」

「スレイ、礼は良い。彼のやる事なす事に苛つきもあったのだろう。けれども、彼はここに誘拐されて来て、しっかり落ち着く前に俺達と色々あったのだ。多少ふざけて精神回復をしていたが、結局限界が来てただろう?やらなきゃいけないと頑張っているイセ君だが、不安と焦りで色々情緒が不安定なんだろう。そこにスレイの意図していない発言と分かっていても、彼にとっての逆鱗となるような言葉を言われて、つい早とちりや飛躍して受け取ってしまったのだろう。俺や獣王様の事を考えてくれた発言なのはありがたいが、もう少し彼の精神的な負担を考えるべきだったな」

「ええ。彼の言動などに苛ついて、その事を失念しておりました。今の彼はついさっき誘拐されて、ダンジョンマスターとなった。私が彼の立場になった時、すぐに落ち着いて行動できる自信は、正直なところありません。だというのに私の理想的な行動を彼に押し付けておりました」


コーダル様はもちろん、貴族や獣王のリフォへあの様な態度で接し続けるのは、流石に認められません。

そういう態度が必要な時や場所ではやる、とは言っていましたが。


リフォ・マハガル・ハウロウの3人がイセ君の事であんな馬鹿をやってしまったので、我慢ならず口や手を出す選択を選びました。


「ある程度冷静になったら、イセ君も謝るだろう。その時はスレイも謝るのだぞ」

「はい。しっかりと」

「では、俺達も仕事をしっかりとやろうか。イセ君も頑張るのだから、俺達だけさぼると何をされるか分からんしな」

「・・・確かに何かしらやってくるかもしれませんね」


色々やらかしたブルウィを爆散した事実がありますし、しっかりと仕事をしてないと思われたら何をしてくるか。

私ならともかく、コーダル様相手でも何かする可能性は大。

まあ何かしたらその時は加減せずに仕置きしますがね。


【闘士の門】の本部、獣国レオナルドの闘技場へと戻る私達と【闘士の門】メンバー。

ここに残り片付けなどを行うメンバーと国軍の兵士達とリフォ達にも別れを告げて、ダンジョンに関する書類や他の貴族達への説明会議の為の準備をしなくては。


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