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犬の異世界日記  作者: ふわふわ骨
獣国編
12/12

12話 出来るからこそ、やらないを選ぶ

Side:イセ 犬獣人

魔導士 一応ダンジョンマスター 



・・・疲れた・・・。

マハガルとリフォが【灯火(トーチ)】であんな火柱を作るとは思わなかった。

でかいのになるかなー、とか考えてたけども、想像を軽く超えてきた。

そしてさらっと魔力操作を覚えたのもすごい。

ちょっとは苦労する2人の顔を見れるかなーとか考えてたから、損した気分だなぁ〜。

あ、もうサングラスやめよ。


他の皆さんも各々の感覚で魔法を制御して、魔力操作で火力や大きさを変えられるようになっている。

早いな。【ドリームライフ】で初めて発動した時は、僕上手く維持出来なかったのに。

あー、いや。魔力に関しては、ゴウ以外の人は魔力が多いし、SP・気力とは似て異なる操作感だから、すぐに順応出来たのかな?

ゴウは今、魔力切れでぐったりと項垂れている。

マナポーションをあげてもいいけど、体が魔力切れに慣れた方がいいしなぁ。


他の人はまだ余裕があるので大丈夫そう。

レベル高いと僕じゃわからない感覚があるだろうし。

深く考えるべきなのか否か。


「さーて、色々あったがそろそろ本題にはいろうか」


ちょっと考え事してたら、リフォが本題に入ろうと言い出した。やっとか。

リフォ達に会って、ブルウィことやらか神を爆破して、サンドイッチ食べて、魔法式を作って。


これらを色々の一言にまとめていいのだろうか?

まっ。いいか。話を進めよう。


「本題って、このダンジョンの事?僕の事?」

「両方で、まずダンジョンについてだな。俺たちは街中で出現したダンジョンを危険視して攻略しようと、ダンジョンに入った。外から感じた『魔物の気配はしないし、一番下に1人の気配だけ』という違和感があったし、時間かけるのはよくねえって判断だ。あと『行けば分かんだろ』て感じで攻略し始めた」


あ〜、街中に入り口出来たらしいし、危険視は当然。早く対応しないと危ないよね。

何があるか分からない未知のダンジョン。

魔物の気配無しで底に1人だけの気配。

時間かけても良くない結果になるかも、という判断になるよね。

『行けば分かんだろ』は王様として正しいかは知らないが。


「で、ダンジョン攻略に来て、特に何も無く、一番下でやらか神と何やらやってた僕を見つけたと」

「おう。というか本当にやらか神と何話してたんだ?教えろよ」

「僕をダンジョンマスターにした事と、ブルウィじゃないやらか神共が、神としての仕事をせずに好き放題やらかしてるって話し。そのアホ共をしっかりと仕置きする為の証拠集めの為に、DPを集めて魔力に変換して、広めて欲しいって」


ざっくり説明だが、詳しく教えるのはまだ後。教えて巻き込む事をしたくないし。

あれを見られた後だから、手遅れかもしれないが。

リフォ達に説明してたら、ハウロウさんが手を挙げて聞いてきた。


「イセ。魔力を広めるのと、証拠集めがどう繋がるんだ?ブルウィも一応神ではあるのなら、この世界のどこでも観れるのではないのか?」

「どうもこの世界ストアラルは今、魔力がガンガン減ってるらしいんですよ。ある程度安定して残ってるこの大陸の、獣国レオダルフ辺りしか観れないらしいんです」


ブルウィに説明された事をそのまま言う。

変に隠すとバレるだろうし、不信感で何されるか分からない。

聞かれた事だけ正直に、聞かれなかったら言わなければいい。

聞かれてないことで怒られる言われはないし。


「はーん、なるほどな。つまりはダンジョンってのは、DPを貯めて魔力に変換する為の物って訳か?ここ以外のダンジョンもそうなのか?」

「ん〜。それは分かんない。ダンジョンマスターなりたてほやほやの僕に聞かれても」

「そりゃそうか」


リフォの質問に答える。

なりたてほやほやダンジョンマスターの僕に、この世界のダンジョン全て同じかって聞かれても困る。


リフォとのやり取りを見てたダルヤさんが手を挙げる。


「イセ君。君がダンジョンマスターなりたてなのはいい。今後この国の真下にダンジョンがあるのもいい。このダンジョンを訓練用のダンジョンとして使わせてくれるなら「嫌です」・・・え?」


ダルヤさんの言葉を遮り言い切る。

キッパリと嫌だと。

言われるだろうと思ったし、絶対に嫌な事だから、キッパリと言うと決めていた。


「訓練用だろうとこのダンジョンの防衛の為だろうと、僕は魔物を生み出したりしたくない。生命を作り出したくない。もちろん出来るのは出来る。だからこそ、そんな事をしたくない」

「・・・何故?」

「魔物とはいえ、命は命。僕も肉は食べるし、狩りだってする。けれど悪戯に命を奪うことはしたくないし、やらせない。強くなるだけの為に命を奪う奴は、たとえリフォやマハガル並みの強者だったとしても、必ず仕留めにかかる」


はっきりと、真っ直ぐにダルヤさんを見て言い切る。

僕は絶対魔物を、生物を作り出さない。そう言い切った。

僕はそれは生命の冒涜だと思っている。

生命を作り、それを物の様に差し出して、皆さんに認められる。


それをしたら、()()()()()()()

()()()()()()()()


「・・・分かった、イセ」


リフォが僕に、この場にいる皆さんに向けて言う。


「お前がそれを望むなら、俺はそれで構わねえ。そこまではっきり自分の意思を言えるのなら、それを受け入れるぜ」

「王・・・!」

「ダルヤ。すでにイセは十分すぎるほどに俺らに対して、色々やってくれてんだろ?飯出してくれて、魔法使える様にしてくれた。魔法についての知識もな。これ以上俺らがイセに何か求めんのは、大人としてどうなんだ?まずこれらの事に褒美をやるのが先だろ?」

「それは・・・、そうですね・・・」


ダルヤさんがリフォに何か言いかけたが、リフォの言い分に同意した。

ご飯に魔法の知識。

僕が提案したのもあるが、すでに僕はリフォ達にそれをしている。

褒美はともかく、それらに対する対価を払う。

大人として、文明を持つ者として、等価交換をするべきだとリフォは言っている。


まあ、等価って言っても、僕が納得できる物ならいいんだけど。

ご飯はともかく、魔法の知識は僕が一から作り上げた訳じゃ無いし、褒美をもらうつもりはない。

しっかりこれも言うべきだな。


「ご飯はともかく、魔法の知識は僕が一から作ったものじゃ無いから、褒美はもらうつもりはないよ。最初に開発・発明した研究者たちが受け取るべき名誉を、横取りなんて真似したくない」

「ほーう。ま、お前がいらんと言っても、この国っつーか、この世界にとってとんでもねー事実を教えてくれたのに、何もしねぇってのは出来ねぇぜ?しっかり受け取ってくれねえとこっちも人として、王族としての立場とか色々あるからな」

「あ〜。そう言うのもあるのか。めんどい・・・」


これでも王様だもんなぁ、リフォ。

というかダルヤさんとゴドさんも王様側だもんね。

コーダルさん達はこの国の貴族だし、ちゃんとやらなきゃいけない事がある。

しなかったら、その立場を下される。

僕がいらないと言っても、リフォやコーダルさんを貶めようとする奴らにとっては、突くための材料になるだけ。

・・・ムカつくな、それ。


「じゃあ、僕自身の自由を保障してほしい。何をやるにも僕が自分の意思でやれるという保障を。もちろんそれ相応の責任とか、自由という権利のための義務や労働を惜しむつもりは無いから。王族だからとか、国だからとかの理由で、ダンジョンの力を前提に命令しないで。特に軍事面で。もちろんとんでもない事態とかなら話は別だけど」

「ん〜、自由か〜。ダルヤ、ゴド。どう思う?」


僕の提案にリフォがダルヤさんとゴドさんに意見を求める。

1人で決めないのは以外だな。「いいぞ」と言うかと思った。


「いいと思う」

「私も良いですが、コーダル様達の意見も・・・」


ゴドさんはさらっといいと言ってくれた。

ダルヤさんも賛成の様だが、コーダルさん達の方を見て、意見を聞きたいらしい。

というかコーダルさん達【闘士の門】の所有している土地にダンジョンが出来てしまった。

これはさすがに「僕は悪くない」なんて言えない。

いや、うん。やらか神もといブルウィが作ったから、「僕は悪くない」と言ってもいいんだろうけど、迷惑かけたあのアホに責任とか賠償求めても、ちゃんとするか分からん。

もっと問題が増える可能性が大。


「あ、あのー。【闘士の門】としてはどうなんですか?あのアホのやらか神ブルウィが作ったダンジョンだからと、責任逃れするつもりは無いですが・・・?」

「いや、イセ君が作った訳じゃ無いのは分かっているから、イセ君1人に責任をとれとは言わない。しかしながら、その事を知らない人達1人1人にいちいち説明するのも面倒だろう?形だけでも何かしないといけないだろうな」

「ですねぇ・・・。説明するのもいいけども、納得しない人が絶対出ますね。僕に「責任をとれ」と言って、絞れるだけ搾り取るって事をやろうとするのも出てくるかも、いや絶対出ますね」


そんな奴らに協力する形が一番やだ。

勝手に「ダンジョンマスターが協力した」とか言い出したら、皆さんが止めてもそいつらの組織ぶっつぶれるまでやりまくるだろうし。

どうしたものかな?


「そうかぁ?イセが俺らに対してよぉ、そんなつもりなかったって言えばいいだろぉ?」

「それで解決出来たら困らないっての」


マハガルが変なこと言い出したから、ちょっと呆れながら答える。


「イセがお詫びっつーか敵対したくねぇって感じでよぉ?何かしらの方法でそれを証明するって形にすりゃあいいだろぉ?ダンジョンマスターと和解って形に出来りゃあぁ、リフォ達も面子や体裁保てるし俺らの方の問題も色々解決出来るだろぉ?」

「・・・・・・おおぅ・・・・・・」


ま、マハガルからこんな提案されるとは思わなかった・・・。

ガッチリ肩を掴んで脅迫して、サンドイッチもぐもぐ食べて、【灯火(トーチ)】で火柱上げてたマイペースな食いしん坊じゃなかったのか!?


とか考えてたら、マハガルが後ろから両肩をガシッと掴んできた。


「おいぃ。なんか俺に対して失礼な事考えてたろぉ?」

「・・・・・・あ、あぁ・・・。マイペースな食いしん坊だったはず、だって考えてた!考えてました!」

「正直なのはいいなぁ〜。否定はしねえがぁ、馬鹿にしてるのかぁ?」

「うん」

「素直なのも考えもんだなぁ!」


ひいぃ〜!?どうしよ〜!?

どっどうにかしないと!?


「待て、マハガル」


どうしようか頑張って考えてたら、ハウロウさんがマハガルとの間に割って入ってくれた。


「イセが素直すぎるのも悪いだろうが、イセの思うお前への印象がそうだという話だろう?イセが魔法を使った後、教えろと肩を掴み脅迫して、そのあとサンドイッチを食べまくっていた。それ故にイセの思うマハガルは、マイペースの食いしん坊だった。というだけの話だ。それは受け入れろ」

「・・・わーったよぉ。んで、どうすんだぁ?コーダルぅ、俺の提案はよぉ?」


ハウロウさんの説得?で落ち着いてくれたマハガル。

素直に、正直に生きるって決めたけど、ちょっと焦りすぎたな。

まだ慣れてない生き方。もっとスローペースで慣れるべきかな。


反省していると、コーダルさん達がマハガルの提案について意見を交わしていた。


「マハガルの提案は良い。が、どんな内容で和解とするかだな」(コーダルさん)

「このダンジョンの所有権ってどーよ?」(ビシャルさん)

「それはこちら側が貰い過ぎますね。それにすでに魔法関連の知識を教えてもらっています。その事が大きいので、むしろこちら側が何かを出さなくては、釣り合いが取れません。何を渡すかしっかりと決めなくてはなりませんね」(スレイさん)


う〜ん・・・。魔法関連か・・・。

こっちじゃとんでもない事実らしいし、僕が今考えてる以上に大きい事か・・・。


・・・・・・・・・ん?

待てよ?

そもそも僕の知識が合ってるか、まだちゃんと分かって無いよね?

・・・これ使えるかな?


「あのー。魔法関連というか、こっちでは魔法文字など合ってるか、僕自身まだ不確定なんですけど、それらを確かめる為に皆さんに教えて、調査をしたいという体でいけませんか?これなら和解の案として魔法関連はあまり大きいものにはならないのでは?教えた本人である僕が知りたいから、知識を求める魔道士で探究者という事で、皆さんに調べる為の材料として教えた、というのでいけるのではないかと」

「・・・なるほど。イセ君は、ダンジョンマスターにとっては和解の為の材料でなく、自分の興味を満たす為の行動だとする訳ですか。こちらとしてはありがたい提案ですが、よろしいのですか?交渉の材料を手放す真似など、そちらに得は無いのではないですか?」


僕の提案にスレイさんが答えてくれる。

確かに交渉の材料として使えなくする事は僕にとって得はないように思えるだろう。

けれどそれを捨てて、別のものを得る事はできる。


「僕自身。つまりはダンジョンマスターにとっての得を得られれば、構いませんよ。【闘士の門】にとっては、僕1人と交渉という形より、ダンジョンマスターという存在との交渉を成立させた。その様な形の方が周りの感じる印象や影響が大きいかと」

「・・・ただの魔道士と取引よりも、ダンジョンマスターという危険な相手と対等に渡り合える間柄。確かに後者の方が聞こえは良いですね。ですが、イセ君が考えている以上に、ダンジョンマスターという存在は危険視されております。例え対等であると伝えたとしても、危険である・危険かもしれないというだけで、イセ君を始末するべき。という話になるでしょう」


まあ、だよね。

どんなに危険じゃないと言っても、聞かない人はいる。


ダンジョンマスター=僕=危険


そういう風に『今までそうだったから』ってだけで決めつけられたくないが、それだけじゃ聞かないよな。

特にリフォ達王様側とコーダルさん達【闘士の門】側を敵対視してるアホのギルマス共は。

ん〜。一応の考えを言ってみよう。


「文句言う奴らはほっとけばいいですよ。王様相手に面と向かって噛みつける度胸が無いから、ちまちまネチネチ鬱陶しい行動言動しか出来ないアホの奴らを、相手するだけ面倒でしょう。ダンジョンマスターが危険か否かを証明する気もないです。ダンジョンマスターって一面だけしか見ない人の評価なんて、どうでもいいですし。僕は僕らしく皆さんとやり合うだけですから」

「・・・・・・・・・・・・」


スレイさんだけでなく、皆さん全員が僕の発言を黙って聞いてくれていた。


・・・・・・・・・・・・。


ずっと見られると恥ずかしいんだけど・・・。

あの、なんか、言ってくれないかな!?


「・・・・・・イセ君がそういう方針でいくなら、【闘士の門】としては構わないが、良いのか?後から『やっぱ変えます』と言っても遅いかも知れないぞ」

「変える気はないですよ。僕は僕らしくやる。それは変わらないです」


コーダルさんの問いに答える僕。

僕は僕のままやり合う。

変えないと決めた。


「よし。魔法関連の問題はイセの提案でいいだろう。他のものに関しての礼とか要求を決めようぜ」


リフォが魔法関連は僕の提案の、『ダンジョンマスターの興味・探究心』という案で行こうと言う。

周りを見て、特に反対の人はいないと分かる。


「・・・ですね。魔法関連の解決案はそれで良いかと。次は・・・」


ダルヤさんもリフォの発言に同意して、次の話に進もうとしている。

しっかりと決めなきゃいけないことはまだまだある。


・・・ダンジョンマスターになったばっかりの僕が、この世界でどうやるか。

正直大変とか言う話ではない。

生死に直結する問題だ。

イセはダンジョンスキルで魔物を生産しません。

魔物を使役などはします。

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