たまにはラノベ読む時間が必要なお年頃なんです
「ゆいー!今日カラオケいく?」
「行きたかったけど今日金欠だからやめとくー!ごめんまた誘って!」
「り!んじゃ、また明日ねー!」
大学からの帰り道、友達と別れてからあたしはふぅ、と1つ息をついた。
勉強に部活にてんてこ舞いだった高校時代から一変、大学は友達と遊んで遊んで遊びまくる毎日。
友達はみんな遊ぶの大好き、いつも一緒…みたいな感じだからあたしは全然自分の時間が取れずにいた。誰にも話したことがない、あたしのひそかな趣味。それは…ラノベを読むこと!
「今日はこの前買ったの読もっと!」
友達には嘘ついて誘い断っちゃったけど最近ほんとに読めてなかったからつい、ね。
あたしは足取り軽く、それこそスキップでもしそうな調子で帰路を進む。
「ん?なにあれ」
冬の帰り道は綺麗な夕焼け。
そんなオレンジの光景の中に、不自然に光っている等身大の物体を見つけた。
田んぼの横にぽつんと置かれた自販機の横。つまりあたしが立ってる真っ正面にあるんだけど…こんなのさっきまであった?
「え〜なんかラノベに出てくる転移ゲートみたい!素敵〜!」
あたしは興味と好奇心100%で触れてみる。
触れた瞬間だった。
「え!?ちょ、まって!!!!」
その光に触れた手が抜けない。どれだけ踏ん張っても、抜けるどころかどんどん底なし沼にはまったかのようにずぶずぶと自分の体が飲み込まれていく。
「だ、だれか!!だれか助け…」
あたしは必死に助けを呼ぼうとしたけど、叫ぶ間も無く光に全てを飲み込まれた。