第9話 (回想) 俺、魔法武器見せます。それ、チート過ぎ。
題名だけで内容が分かってしまうのは残念ですが、大体のあらすじ(?)だと思えばそうでもないような。
魔法武器。
魔力を固形化して武器の形をとることで、魔法の力が付与された武器を生成する魔法。
ただし、ニーベルングの指環は、魔法武器を生成する道具ではない。
あれは本当に、望んだものが手に入るアイテムなのだ。
俺はよく、好んで刀を使用するが、基本は魔法攻撃である。
魔法の消費MPがいくら高くても、「ルナ・リング」がニーベルングの指環に合成されている限り、俺の消費MPは0だ。
だから俺は魔法を連発できる。
「へぇ。そしたらさ、そのニーベルングの指環がなくなったら、魔法攻撃連発できなくなるの?」
「いや、無くても消費する魔力は変わらない。なくなったら魔法武器を生成するけど、それだと確実にMP消費するからな。なくなると困る程度だな」
俺は友華の質問に即答する。
「そして、なくしたとしても、指を鳴らせば、装備のショートカットウィンドウの設定で戻ってくる」
「ほんと、一記くんってチート過ぎるよねぇ。私も出来るかな、魔力の消費量0で魔法使うの」
「いや、これは幽霊の特権だから友華には無理だよ」
ちなみに、今は彼女に魔法の講義をしているところである。
「あ、そういえばさ。一記くんの魔法武器って何?見せてほしいなー」
友華が椅子の上で足をぶらぶらしながらいう。
「...そう、だな。この際、それもいいだろう。じゃ、庭にいくぞ」
俺はそう言って部屋を出ようとする。
「え、何で外にいくの?」
疑問をもつのも当然だろう。だからこれは予想の範囲内。
「外の方が都合がいいんだよ、俺の魔法武器は」
庭、といっても、人工の山と湖、さらには草原までついているから、お嬢様というのは本当に怖い。
ま、俺の屋敷は大陸一個とその周りの海10海里は私有地だから、人のこと言えないけど。
俺はその草原まで行くと、実体化して、その場に降り立つ。
「友華、これから、俺の魔法武器を見せてやるから、しっかりと目に焼き付けとけよ?」
俺はそう言うなり、深呼吸して気を落ち着かせる。
いける。勘は失っていないはずだ。
俺は自分にそう言い聞かせ、右手を左肩の上までスライドさせる。
そして、一気にその手を右に振り払う。
すると、その手には赤と蒼の二色の炎を纏った、一振りの日本刀が握られていた。
「天地祓流剣。これが俺の魔法武器だ」
天地祓流剣。
赤い炎は八大地獄を、蒼い炎は八寒地獄を、そして、その刀身は現世を示し、その姿は天国をあらわす。
全ての魔力を断ち斬り、全ての物体を灰も残さず燃やし尽くす。
自信の指示により、長さを調節でき、その形すらも自由自在。
炎だけを操ることもでき、作り主の言うことに絶対服従する。
そして、その命令を必ず成し遂げる。
まさにチート武器である。
俺がそう説明すると、彼女は呆れた顔でやれやれと首を振り、
「ほんっと、一記くんってチート過ぎるよねぇ」
と言い放っていった。
天地祓流剣。
当初はテンチフツリュウケンにしようと思っていたけど、こっちの方が自分的にかっこ良かったのでこっちにしました。
》ほんっと、一記くんってチート過ぎるよねぇ
まさにその通りです友華さん。
ちなみに、一記のフルネームは還凪一記です。
友華と名字が違うのは、彼女が養子だからです。(四話辺りで説明)