再会
来ていただいてありがとうございます!
ロッティー様との面会が終わると、ラーシュ様が待っていてくれた。
「もう、いいの?」
「はい。……私は……ずっと友達になれてなかったみたいです……」
その後お城で事情を聴きたいと言われて、私の目から見た今回の顛末と時の聖地でのことをお話してきた。私が時の聖地から帰って来てから、ずっと要請があったみたいだけどラーシュ様が止めておいてくれたの。体調が万全じゃないからって。ラーシュ様は優しい。前の時、湖に落ちた私を助けに来てくれたのもラーシュ様だった。どうしてあの場にいたのかしら。尋ねることはできないけれど、ラーシュ様が優しくて正義感に溢れた方なのはよく分かる。知り合いとはいえ、あんな冷たい湖に飛び込んでくれるなんて普通できないわ。今日も口は挟まないけれど、心配してずっとついていてくれたもの。ラーシュ様には頭が上がらない。
「お嬢様、お手紙が届いておりますよ」
春の花の演奏会の練習から帰った私にサーラが少し嬉しそうに渡してくれたのは、久しぶりの方からの手紙だった。
「まあ!マーガレット様からだわ!」
マーガレット様ともお手紙をやり取りしていたんだけど、ここの所は隣国アップフィール王国での高等学校の卒業準備でお忙しいらしくて、少し間が空いていたの。お手紙嬉しい!
マーガレット様は隣国に帰った後、高等学校に編入して学園生活を送っていた。クレソニア様はマーガレット様を追いかけて行ってお二人は夏には婚約を結んだの。クレソニア様は公爵家のお仕事をしながら、ちょくちょく隣国へマーガレット様に会いに行っているんですって。マーガレット様の卒業を待って結婚するって聞いていた。
「え?こちらへいらっしゃるの?嬉しいわ……えっと何時かしら……え?明日?!」
手紙を読んで驚いた。マーガレット様がこちらの国へ来るのは確かに明日の日付になっていた。手紙にはクレソニア公爵家へお世話になるから、会いたいと書かれていたの。
「ずいぶん急な話だね」
手紙の内容を伝えると、ラーシュ様もとても驚いていた。
「そうなんです。でも久しぶりにお会いできると思うと嬉しくて!」
「…………良かったね」
ラーシュ様はとても優しく笑ってくれた。
「はい!クレソニア様とご一緒に花の聖地の街へいらっしゃるそうなんです」
「では、この屋敷へお招きしてはどうかな?」
「いいんですか?ラーシュ様!」
「うん。今は定期演奏会の練習で忙しくてここを離れられないし、この屋敷の方が花の宮に近いからね」
「ありがとうございます!ラーシュ様!!」
私は王都のクレソニア公爵家へ手紙を書いて送った。二日後には返事が来て物凄く驚いたけど、マーガレット様とのお茶会の約束をしたの!
歌の練習は楽しい。お茶会の準備も楽しい。ウキウキしながらサーラと一緒にお菓子やお茶を選んだり、お皿や茶器やクロス、そして飾るお花を考えたりして、あっという間にマーガレット様が来る日になった。
「お久しぶりですわね!リファーナ様!」
「マーガレット様!ようこそおいでくださいました!!」
久しぶりの再会に思わず抱き合ってしまった。ちょっと涙が出てしまって恥ずかしかった。マーガレット様、お美しくなったみたい。それにどことなく大人っぽい。そう伝えると、
「二年ぶりですものね。精霊の歌姫様もさらに綺麗になっててびっくりしましたわ!なんていうか……そう!精霊様みたいになられてるわ」
「そんな……恐れ多いです」
「いいえ!捕まえておかないと空へ舞い上がって行ってしまいそうだわ!グラソン様もご心配でしょうね」
「もう!マーガレット様ったら。さあ、こちらへどうぞささやかですが、お茶とお菓子をご用意してますから」
「ふふふ!今日はたくさんおしゃべりしましょうね!」
マーガレット様と私は笑い合った。そばにいたサーラも終始にこにこしていて、マーガレット様はお茶やお菓子を喜んでくれて、お茶会はとても和やかで楽しい雰囲気で大成功だった。たくさん、たくさん笑った気がする。
「私、しばらくこちらに滞在します。またお会いしましょうね」
「はい!今度はクレソニア様もご一緒に」
「ええ!グラソン様ともお話したいわ。楽しみ!!」
夕方近くになってマーガレット様は迎えの馬車に乗って帰って行かれたの。次の約束ができて私はとても嬉しかった。
「良かった……。リファーナが楽しそうで……」
夕食の後、いつものように居間でラーシュ様とお茶を飲んでいたら、ラーシュ様がホッとしたように笑った。
「ラーシュ様……」
「オルコット嬢には感謝しないとだね。きっと心配して来てくれたんだろうね」
「え?」
「今回の件は恐らくクレソニア様からオルコット嬢の耳にも入っていると思うよ」
「あ……」
そうか……そうだったんだ……。こんなに急にこちらへ来るなんて不思議に思っていたけれど、私のことを心配して来てくれたんだ……。
「良い友人がいて良かったね」
そういえば、ハリエット様からも、クララ様やパンジー様からも頻繁にお手紙が来るようになっていたんだっけ……。それってもしかして私を心配してくれて……?私からは何も事情をお知らせしてないけれど、何らかの形で聞いているのかもしれない。
「はい……。私には素敵な友人がたくさんいます……」
泣いてしまった私を、ラーシュ様は無き止むまでずっと抱き寄せてくれていた。
ここまでお読みいただいてありがとうございます!




