表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掌編集   作者: Elnika Flose


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/11

名前のない会話

今日も、シトシトと雨が降っている。

「これだから、梅雨は嫌なんだよなぁ……。」ぼやきながら、バス停までの道を歩いていく。


普段なら、雨の降り始めは土のにおいがするのだが、この季節はそれ以上に泥っぽいにおいがする。

街灯の光が水たまりに滲み、そこに浮かぶ傘の影が、静かに揺れていた。


私と同じ黒い傘を差した人がいる。


「ブルッ」と一瞬、携帯が震える。

ポケットから取り出し、アプリの通知を見る。

「雨がやみます」


もう五分早ければ――そう思いつつ、私は歩みを速める。

やがて、バス停に着く。


先客が振り返ると、目があう。

名前を思い出せないが、学生時代の記憶がよみがえる。

きっと彼だ。何せ、髪型が全く変わっていないナチュラルなマッシュ。


私と同じように、彼も名前を思い出せないのだろう。

初めの一言が出ないけれど、声をかけようとしてくれていた。


私は、まるで鏡に映る自分の様子を見ているようで、思わず笑ってしまった。

それに誘われて、彼も笑う。


「ひさしぶり」――お互いに言葉を交わす。

名前が思い出せないことなんて、どうでもいいよね。


名前を出さずに語った学生時代の思い出は、

不思議なくらい、最近の出来事のように――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ