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転生争奪ロワイヤル~チートが欲しけりゃ勝ち残れ!  作者: 北田 龍一
プレシーズン

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22/29

共存か、戦闘か

 誰かが、自分のいる建物に侵入してきた……はっきりと41番は、そのことを理解した。

 扉が開いたからではない。その段階ではまだ『玄関の扉が開いただけ』だ。様子を伺っているだけかもしれないし、ただ開いて立ち去る可能性もある。

 侵入を確信したのは、足音だ。

 土を踏み、草をかき分ける微かな擦れた音が、タイルを踏む硬質な音へ変わった。トッ、トッ、と小さく聞こえる歩行音は、ほどほどに警戒しながら進んでいる様子が分かる。


(ど、どうするー……?)


 静かにショットガンを構えて、階段を睨む41番。散々ハンドガンを撃ちまくった以上、二階に41番がいるのはバレている。いつ乗り込まれても良いように、銃器を構えたままじっと耐える。しかし足音は下で動き回るだけで、階段を上ってくる感触がない。これはまさか……


(共存ムーブか? ここは有利な位置だし、無理に奪い合う必要もない……のか)


 ――全員が敵のバトロワで、戦闘を行わない場合もある。

 階や部屋がいくつもある建物の場合、一部フロアや階層を、まるでルームシェアのように使うことがある。

室内は見通しが悪く、無理に攻め入れば『角待ちショットガン』を食らう危険もあり、争いが長期化すれば『漁夫の利』を呼び込みかねない。ならば下手に戦うよりも、一時的に共存を選んだ方が良い場合もある。戦闘は勝利に必須行動ではあるが、やみくもに戦えば良い訳ではない。


(でもこれは……こっちから仕掛けないとまずいかもな)


 二階にいる41番は考える。

 出口は一階に二か所ある。階段を降りて出ていくことはもう出来ないが、ここから抜け出す方法はある。二階から出るには、ベランダからゆっくりと降りれば大丈夫だ。ゲームによっては『高所から飛び降りると、落下ダメージを受ける』が、今回のゲームは三階までなら無傷で済むようだ。


「けど……絶対背中から撃たれるよな……」


 下の足音を聞きながら、41番はその未来を想像する。今示されている『制限エリア』を凌げても、次の『制限エリア』で民家が外れたら……家から出ようにも一階の相手が邪魔だ。先に二階から飛び降りようものなら、背中を見せた自分を敵は見逃さないだろう。今の選択肢はあって無いような物だ。

 しかし41番は迷った。もし次の『制限エリア』でこの家が入った場合、ルームシェア状態は非常に強い。二階にいる41番は、一階にいる相手を警備員代わりに出来る。ここで撃破すべきかどうかは、後の『制限エリア』次第な所が大きい。


(選択するべきか……)


 選択肢1 このまま下の敵と同居する。

 この場合、三人目の敵が距離を詰めてきた時に強い。下の敵に戦闘を任せ、長引くようなら途中から乱入。両者を倒して物資を奪い取れれば、非常に理想的な立ち回りができるだろう。次の『制限エリア』もここが入った場合、かなりの強いポジションを得られる。

 だが……『制限エリア』が外れてしまった時、この選択は一転してリスク択となる。

 移動しなければならないのに、確定で敵とかち合う事になるのだ。しかも下にいる敵側が、有利な状況で。


 選択肢2 下の敵に強襲を仕掛けて撃破する。


 階下の敵を排除すれば、ひとまずの安全を確保できるだろう。『制限エリア』の縮小は運だが、次の『制限エリア』に入っていても、入っていなくても、どちらに転んでも困らなくなる。

 が、これもやはり安全な選択ではない。銃声を鳴らせば『漁夫の利』狙いの敵が寄ってくる危険がある。そもそも勝負を仕掛けて、こちらが返り討ちに合う可能性も含まれていた。

 結局の所……どちらにも理があり、どちらにもリスクがある。無難な方法など存在しない。出来るのは思索し、選択し、行動を起こす事だけだ。幸運を祈っても良いが……運に身を委ねるかもまた『選択』の一つだろう。


「……やれるか?」


 仕掛けるなら今だ。エリアの縮小を見てからじゃ遅い。参加者の人数が狭まってからでは、漁夫の利狙いがより起きやすくなる。

 幸い二階に陣取っている分こちらが有利だ。仮に漁夫の利狙いが来たとしても、挟まれるのは下の敵。すぐに41番が窮地に立たされることはない。が、その場合下の敵が入れ替わるだけで、41番の置かれる状況は変わらないかもしれない。

 いずれにせよ……今の状況を変えるには、早期決着がベストだろう。他の敵が横やりを入れる前に、手早く決着をつける必要がある……


(様子見もいいけど……やるか!)


 もしかしたら気付きも生かせるかもしれない。41番は『Aショットガン』を装備し、足音を殺して階段へ向かう。くの字に曲がった階段の中腹まで、そろりそろりと歩いていく……

 曲がり角、見えない視界の先で、微かな音が聞こえる。意を決して顔を出すと、下の敵も『Bアサルトライフル』を構えていた。どうやら相手も、こちらを排除しようとしていたらしい。思わぬ形で出合い頭。動揺は一瞬で、名刺の代わりに弾丸を交換する。

 連射される『Bアサルト』と、一回の発射で弾丸をばら撒く『Aショットガン』の銃声が交錯した。一発撃つ毎に排莢コッキングが必要な『Aショットガン』は、やはり室内戦で非常に強い。

 引き金を引いてすぐに隠れれば、排莢コッキング動作の隙を晒さずに済む。撃って、隠れての繰り返しがやりやすい。リロードも一発ずつ行う仕様だが、室内の睨み合いにおいては利点になりうる。

 勝てる。と胸の内で言い聞かせながら、41番は一回の敵と銃撃戦を演じ始めた。

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