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転生争奪ロワイヤル~チートが欲しけりゃ勝ち残れ!  作者: 北田 龍一
プレシーズン

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14/29

ゲーム仕様ハンドガン

ゲームは一度目の『制限エリア』縮小を終え、現在生存中の参加者は47名。半数以上が脱落し、ゲームは序盤を終え中盤に差し掛かっていた。

 次に指定された『制限エリア』は、今制限されたエリアのほぼ中心に、二回り縮まっていた。その縮まった円に向けて、参加者たちは我先にと進んでいく。しかし空間が狭まり、誰もが目指すと言うことは……それだけプレイヤー同士が会う事も増える。


「考えることは同じか……!」


 互いに敵なら、目があった相手は敵でしかない。41番は後ろから迫る車両に向けて、『Aタイプアサルトライフル』を叩き込む。

 人と比べれば的は大きい。複数の薬莢が地面に飛び散り、乾いた音を鈴のように鳴らすが、銃声にかき消され耳には届かない。一マガジン分を打ち切った銃器は、やかましい火薬音を終わらせたが、敵の車は健在だった。

 再装填リロードに入ろうとした41番は、その判断を危険と断じる。すぐに銃器を収納し、素手になった彼は大急ぎで右側に飛んだ。

 猛然と突っ込んでくる車両は、明らかに人を引き殺す狙いを持っている。ゲームで遊んでいると忘れそうになるが、アクセルベタ踏みで衝突されれば人は死ぬ。転生トラックならまだしも、今はその転生の権利を得るためのゲーム中だ。


「また狙ってくるか……!?」


 相手に轢かれれば当然脱落だ。険しい顔で銃器を握り、弾を込めつつ木を盾に位置へ陣取った。また突撃してくるようなら返り討ちにする腹だが、しかし……車はそのまま通り過ぎて行った。移動を優先したらしい。たまたま目についたから、あわよくばの撃破を狙ったのか?


「全く……心臓に悪い」


 だったら最初から狙わないでほしい。ゲーム的には違反でも何でもないが、中々恐怖を煽る光景だった。日常的に見てきた車が、殺意を込めた鋼鉄の塊となって迫る景色……五感が普通に残ったままでは、足がすくみそうになったものだ。

 とはいえ、弾幕を浴びせる判断が出来ただけ、41番は冷静だった。呆然と立ち尽くして轢かれた参加者も、それなり以上に存在する。


「どっかに民家残ってないかな……隠れたい」


 気疲れした様子の41番は、そろりそろりと『次の制限エリア』内部に進みつつ、エリア内部の家を欲する。

 まだまだ生き残った敵に怯えながらも、41番は着々と生き残りを賭けて動き続けた。


***


 37番は涙目だった。どうしてこんなに、ついていないのか。

 最初に降りた地点は物資がしょっぱく、とてもじゃないが戦えなかった。何か拾おうと団地に降りれば襲撃され、何とか最低限の物資で抜け出した。そこまではいい。

 しかし『制限エリア』の一部、倉庫群を見下ろせる丘の上に陣取り、苦手な狙撃をし続けていたら……様々な所から弾丸が飛んでくるようになった。37番は『一発も当てていないのに』である。


「そんなに恨まなくてもよくね!?」


 と言われても……人間、一方的に攻撃されると腹が立つものだ。それが安全圏からであれば余計に苛立つ。銃撃戦系のゲームにおいても、狙撃手は恨みを買いやすい傾向がある。『芋砂』と蔑称のネットスラングが生まれるほど、嫌われる事が多い。

 今では37番が、ちょっと丘から顔を出すだけで敵の弾丸が飛んでくる。しかも狙撃銃ならともかく、他の銃器でも適当に撃ち込んで来るのだ。その恨みようは、言葉より雄弁な弾幕が物語っている。


「どーするかなー……移動した方がいいのかなー……」


 幸い『次の制限エリア』には侵入できているし、絶好の狙撃ポイントに陣取れている。有利なポジションを手放すのは抵抗があるが……このままいても微妙な所だ。

『敵に位置を知られている』『敵の位置を知っている』というのは、バトルロワイヤル・ゲームにおいて重要な要素だ。

 一対一の場面が珍しいバトロワにおいて、横槍や『漁夫の利狙い』は必ず起こる。敵の位置や配置を知っておけば、不意打ちを防いだり、敵同士争わせてから狙ったりと……とれる戦略が違ってくる。逆に敵に位置を知られていれば、追い込まれてしまう危険も多いのだ。

 迷う37番に対して、何かの走行音が聞こえてくる。倉庫の反対側から迫る物音へ、『Bスナイパーライフル』を構えて向けると……


「げ! 車こっちに来てんじゃん!」


 荒れ地を走る一台の車に、37番はぎょっとした。迷いなくこちらに迫る鉄の塊に、まずは一発ライフル銃を発砲。甲高い一発の銃声が、車の正面に突き刺さった。

 既に何発か弾痕のある車体に、新しい穴が一つ追加されるが、全く止まる気配がない。さらに連射速度は最悪で、手動排莢ボルトアクションを挟んで二発目を放つが、手ごたえが薄すぎる。

 そうこうしている間に、どんどん車が迫ってくる。五発の装填数分を打ち切ったが、煙が少し上がるだけだ。再装填リロードした上で、さらに五発弾丸を打ち込めるとは思えない。


「……やるしか、ない!」


『Bスナイパーライフル』を持ち替え『Bハンドガン』を装備する。両手で小さな拳銃を構え、37番は弾丸を叩き込んだ。

 たった六発で何ができる……そう思い込んだ相手は、全く気にせず突っ込んで来る。しかし『銃撃戦系のゲーム』を知っていれば、この判断の危険さを悟れただろう。

 確かに、現実においてハンドガンは予備の武器、持ち運びやすいサブの武器でしかない。

 だが――ゲームバランスの名の下に、ゲームの拳銃は時に、現実以上の力を発揮する……!

 二発目の弾丸が車体を貫いた瞬間、車が黒い煙を吹き始めた。車が大きな損傷を負った合図だ。ぎょっと顔を変える相手にかまわず、37番はリボルバー銃を放ち続ける。

 反動は激烈だが、相手が車なら外さない。37番は吠え、一発一発弾丸を放っていく。


「うおおおおおおっ!」


 六発目が着弾した瞬間、車は大破炎上し爆散。ついですぐにキルログが流れる。自分が撃破した相手は24番。激しく燃え広がる炎と、凶悪なパワーを誇る『Bハンドガン』を37番は見つめていた。


「すげぇ……こんな火力高いのか」


 一部の銃撃戦ゲームでは、ハンドガンが異常に強い場合もある。あくまでこれはゲームだ。現実基準で考えると、時に痛い目に合う。しばし呆然としていた37番だが、すぐに弾を込めなおして……その時顔が渋くなった。


「リロード遅っそ……」


 一発ずつ丁寧に弾を込める37番。強力なパワーを引き換えに、この銃は装填数とリロードに難がある。しかしその武器に救われたのも事実だ。複雑な思いを胸に、37番は場所を移す事に決める。今の爆発で、ほぼ全員の参加者に位置がバレてしまったから。


「上手い事、やるしかないか」


 丘を下り、視線を切りながら別の場所に移っていく37番。

 そのころ丘下広がる倉庫群では……激しい戦闘が繰り広げられていた。

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