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第17話 魔導師を締め上げました

 リンターロが、拘束された魔導師の頭を覆ったローブを掴んで取ると、白髪のやせほそった老人だった。

 顔色や肌の色もよくなく、パッと見で、アンデッドみたい?


「おい、お前が裏で反乱者たちを操っていた魔導師なのか!

 名前は? なんでこんなことをしたんだ!」

とリンターロが詰め寄ったけど、それを無視した魔導師が、ドンちゃんをにらみつけて、

「なぜだ。なぜ、もう魔王が生まれ変わっているのだ……」

と声を絞り出す。

 そして、シーラをにらみつけると、

「なぜ、ここに聖女がいるんだ!」

と叫んだ。

 そして、ドンちゃんに向かってさらに叫ぶ!


「魔王、お前は魔王だな!

 光り輝く、ドラゴンの幼体! 『あの方』がおっしゃっていた通りの姿だ!

 まだ、生まれ変わるまで数か月の期間があったはず!

 それに、人間とはもう何十年も交流を絶っていたはずだ!

 そのまま、魔王の森で朽ち果ててもおかしくなかったはずなのに!

 なのに、どうやって、いつの間にか聖女を呼び寄せて、生まれ変わりの儀式を行ったんだ!」

とわめき散らした。

 こいつ、なんでこんなに事情に詳しいんだ?


 そんな魔導師に、リンターロが再び問い詰めた。

「言えっ! お前がこの反乱の黒幕なのか!

 ドラゴンが生まれ変わるタイミングを狙い、ドラゴンを亡き者にして、自分たちが魔王の森を乗っ取ろうとしていたんじゃないのか!」

 そう言われた魔導師は、心外そうな表情で首を振って、

「そうではない! そうではないのだ!

 魔王が、ドラゴンが我々の王などではなく、我々を監視する『神の手先』だということを、『あの方』が教えてくれたのだ。

 魔王、お前こそが、裏切り者だ! 我々はお前を許さない!」

と、ドンちゃんに向かって叫ぶ!


 あの方……? さっきから言ってる「あの方」って誰よ?

 すると、ドラゴンの声が頭に聞こえてくる。

『魔導師よ。確かに私は神の命によって、お前たち闇の一族を管理するように言われている。

 だがそれは、「光の力」からお前たちを守り、この世界が完全な闇の世界になってしまうことで崩壊することを防ぐためなのだ。

 私が大事に思っているのは、お前たち、魔王の森の住人たち、闇の一族たちだけだ』

 と、頭の中に語り掛けたてきた。


 だけど、魔導師はドンちゃんをにらみ返して、

「嘘だ! 嘘だ! けっして騙されないぞ!

 お前は、俺たちを自分の栄養分ぐらいにしか思ってないんだろう!

 だから、魔王が生まれ変わる前に聖女を殺して、生まれ変わりを阻止したかったのに……。

 だからこそ、ブゴニア国で反乱を引き起こし、グンペーイ王国に混乱をもたらし、その隙に、聖神会ごと聖女候補を皆殺しにする計画だったのに……」

と悔しそうに、ペラペラとしゃべる。

 えっ、聖女を殺す!? そんなことを考えていたの?


「なのになんで! もう魔王が生まれ変わっているんだ! そして、聖女がここにいるんだぁ!」

と、また同じことをわめき散らした。


 それで、なんとなく「それは……」とみんなの目が私のほうに集まると、魔導師がハッと何かに気づいた様子で、

「お前か! お前は異世界転移者だな! これはお前が手引きしたことなのか!

 余計なことをしおって! この借りはきっと返すぞ!」

と怒り出すと、闇の力で二人の拘束を解いて、その場から逃げ出そうとした!


 黒いローブが広がり、魔導師が飛び立とうとした! そのとき!

 シーラちゃんの体が光に包まれて、手から光の力を出して魔導師に向かって当てる。

 すると、魔導師の体がその場から動けなくなり、そこにゆっくりとドンちゃんが近づく。

 そして、「ドンちゃんクリーナー」が発動し、魔導師は「そ、そんな……」と言いながら、白い灰の姿になって灰になったのだった。


「あーあーあー、バカやろう!」

と魔導師に吹っ飛ばされたリンターロが起き上がってきて、あわてふためく。

「黒幕の正体の話を聞く前に、魔導師を滅ぼすやつがあるか!」

「す、すみません。急に逃げようとしたので、あわてて止めただけなんですけど」

と、シーラ。


 それに対して悪びれる様子もなく、

『黒幕がこんな弱くて間抜けな奴なはずがない。大丈夫だ、どこか他の場所で隠れているだろう』

とリンターロに答える、ドンちゃん。


「いや、だったら! なおさら生かしておいて、黒幕の正体を吐かせないといけなかっただろう!」

『うるさいなー。魔王である私に反逆したんだから、私が処分して何が悪いんだ』

と、二人がもめだしたところで。


 ドレイクが、「リンターロの言うことはもっともだが、まずはこの争いを終わらせよう」と言って、その場をなんとか収めた。

 ドレイク、王様みたいにふるまうのが、すっかり似合ってきたなー。


 それで、国境で戦争しているブゴニアの軍隊に、城を占拠して反乱の首謀者たちを捕らえたことと、戦争をやめて自分たちの負けを認めるように、使者を送った。

 それから数日のうちに、今回の反乱が終わった。

 魔導師がいなくなった後は、なんで反乱を起こしたのかみんなわからなくなって、戦意を喪失してしまったらしい。

 そして、捕まえた反乱の首謀者の夫婦を連れて、今度は正々堂々とブゴニア国内を通って、グンペーイ王国に帰国することになったのだった。


 こうして帰国の途に着いた私たちだけど、そうしたら行く先々で大人気!

 なにせ、ブゴニア国で王様が行方不明になったものだと思っていたら、いつのまにか無事に帰国してて、いつのまにかブゴニア国の都に現れて、反乱の首謀者を捕まえて反乱を鎮圧したもんだから、「奇跡の王」と呼ばれて、各地で大歓迎を受けたんだけど。


 ドレイクは、もちろんのその主役で、毎日酒池肉林の大騒ぎで、女の子も取っ替え引っ替えだったけど、護衛&愛人として付き添うユリアンが大のお気に入りのようで、ずっとといっしょにいる。アツアツだねー!


 その人気っぷりを見ながらこそこそと、

「リンターロ、これなら国に帰っても、王様の影武者として、そのまま国を統治して王妃様や貴族たちと渡り合えるんじゃないかな?」

「ああ、ヨーコ。まさかドレイクに王としての資質があるとはな。この行動力やリーダーシップなら、なんとかなるかもしれない」

なんて話をしていたんだけど……。



 帰国の途について数日後、途中で立ち寄ったお城の中、特別に用意された寝室で。

 首に短剣を突き刺されて、血まみれになって死んでいるドレイクが、発見されたのだった。

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