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ハーレムですわっっ。デキちゃった婚ですわっっ、どやっ。大宇宙ハーレム奇譚、キバとユキノのハーレムあれや、これや、だぜ。  作者: トウフキヌゴシ
第一章、ユキノハーレム

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第十二話、デビルズコレクター

 キバたちは、休暇を終えて”エリンステーション“に帰っていた。


 ユキノ達は、”エクストラコールド“で、隣の宇宙ステーションに仕事をしに行っている。

 ユキメ族が作る、”永久凍土装甲“は、熱エネルギーを吸収して自身のエネルギーに変える。

 

 あらゆる熱量兵器を無効化した。


 恒星に落ちても、十分は耐えると言われている。

 破格の性能故に、高級な装甲材として流通している。

 その性能と見た目の美しさに人気はとても高い。(氷山の青だ)

 しかし、大体二年に一回、装甲内に溜まった余剰エネルギーをユキメ族が除去する必要があった。


 ユキノは隣のステーションにある、豪華客船の”永久凍土装甲“のケアに来ていた。

 


 いつもの酒場だ。

 キバが店員をしている。


「ついて行かないんだね?」

 監察官がキバに言った。

――ユキノ君のスキル、熱量奪取ヒートテック()

――僕の予想が正しければ、ユキノ君の相手はキバ君にしかできない


「どうしてなんだい?」

 ユキノには、ユキメ族の恋愛色である、桜色が瞳だけではなく全身に出ている。

 これはそうそうないはずだ。


「監察官……」

 酒場の親父が何か言いたそうに声をかけた。


「そうだな……」

 キバが、胸ポケットから一枚の写真を取り出す。


「これは……」

 家族写真か?


 軍の礼服姿のキバの隣に、着物姿の優しそうな女性。

 その周りに、女の子が三人写っていた。

 大きい子で、小学一年生くらいか。


「……700年か」

 キバが写真を愛おしそうに撫でる。

 キバの中では、写真を撮ってから一年もたっていないのだ。

「はは、まだ気持ちの整理がつかなくてな」

 寂しそうに笑った。


 結婚して子供もいたのか 

「……すまん」

 監察官が頭を下げた。 


「いや、宇宙軍艦乗りは、生還を期待されてないから」

 故に、二人以上子供を作らないと、軍艦に乗せてくれない。

 確実に人口が一人減るからだ。

 遺書も書いている。


「…………」

 過酷な、地球人類の宇宙開拓時代に、監察官は無言で思いをはせた。


 ビイイ、ビイイ


 しんみりとした空気を切り裂くように、ブレスレットコマンダーから音がした。


「緊急通信です」

 オマメさんだ。


「緊急支援要請っ」


 キバと、監察官のブレスレットコマンダーから、ホログラフが出る。


「たっ、助けてくれ」

「姫さんがっ、()()()がっ」

 ヤマの対刃対化学兵器に耐性がある、ハイパーケプラー製の侍女服の所々が、()()()()()


「デビルズコレクターに襲われたっ」

 所々に白い肌を覗かせた、ヤマが大きな声で叫んだ。



「ダイブジャンプ」

 監察官の宇宙船が一気に、隣の宇宙ステーションまで飛ぶ。



 攻撃型、宇宙戦闘艇”ピグマリオン“

 監察官の宇宙船だ。

 流線型の戦闘機に、ボールジョイントされた左右エンジンブロックが美しい。

 エネルギーコアには、圧縮されたブラックホール。

 メタリッカ星系の第一惑星と第二惑星のように、単独で惑星を圧壊させることが可能だ。



「無事でいてくれ」

 ”ピグマリオン“の操縦席で、キバが祈った。


 ”デビルズコレクター“とは、一言で言うと”スライム”だ。

 種族名は、“シェープシフター”。

 元々は大変弱い種族だったが、体内の化学物質合成能力と擬態能力により厄介な存在になった。

 知能は高いが、一般的な倫理観は通用しない。


 擬態するときの参考のために、生物を収集する習性があった。 

 気に入った生物の体内に、麻酔薬や保存液を撃ち込み、生きたまま保存するのだ。


 “デビルズコレクター”と言われる所以である。


「わかったかい」

 監察官は、キバに説明した。

 スライムに打撃は効かない

 でも、キバ君の“スペースカラッテ―”なら、なんとかなるかもしれない


 大慌てで、宇宙ステーションに、入港。

 ヤマと合流した。


 場所は、豪華客船の整備ドッグだ。

 その一角に、警察が非常線を張っている。


「こっちだっ」

 溶けた侍女服。

 毛布を被っているが、ちらりと見える白い肌が痛々しい。


「あれは、」

 氷の像?


「ユキノ君だっ」

「ユキメ族の冬眠状態だよ」

 監察官が言う。

 ユキメ族は、命の危険があるときに、自らを凍らせて身を護る。


「キニイッタ、キニイッタ」

 その周りを、スライムが覆い包もうとしていた。

 しかし、触れた所から、凍りついていく。


「スライムには、拳も銃もきかないんだっ」

 ヤマが悔しそうに叫ぶ。


 警察も周りを封鎖するだけで手が出せない。 


「くそっ、どうすりゃいい?」

 キバだ。


「……キバ君、キバ君のスペースカラッテーなら……」

 

「!? 銀河的・功夫ー(ギャラクティッククンフ―)、気功かっ」

 キバがスッと背筋を伸ばし立った。


 コオオオ、スウウウ


 呼吸を整える。


「エモノ、エモノ、アツメル、アツメル」

 “シェープシフター”が小さくつぶやいている。

 

 ピタッ


 呼吸が止まった。


「ハッッ」

 キバが鋭い声と共に“シェープシフター”に拳を突き出した。


 パウッ


 ビチャア


“シェープシフター“の体が、砕け散った。


「通った」

「宙軍中野学校式、格闘術、”鎧通し“っ」


 フウウウ


 キバの残身。


「沸騰している!?」

 監察官が驚きの声を上げた。

 ダークマターを使用し、拳にのせた超振動。

 ”シェープシフター“の体内は、まるで電子レンジで加熱されたようになった。


「ユキノオオオ」


「駄目だっ、ヤマさんっ」

 抱き着こうとするヤマを、監察官は必死に止めた。


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