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第89話 カイナス戦 決着

 ゲルナルに到着した


「酷い有り様だな……」


 中に入って最初に思ったことがこれだった


 民がガリガリに痩せている

 しかし、お腹だけポコッと出ている

 なんだろう……昔の日本画とかで描かれた餓鬼みたいな感じな体型だ


「これって本当にギリギリな状態じゃないの?」


 アルスが言う

 お前もそう思うよな


 何人かの民が俺達を見るが……反応が弱い

 希望なんか無いって顔だな


 んじゃ、その顔をやめさせるかな



「俺達は城の方に行くから、君達は炊き出しを頼んでいいか? 動く元気が無い民も居ると思うから持っていってやれ」

『はっ!!』


 兵達に命令する

 食糧や道具はちゃんと運んでるから、直ぐに取り掛かってくれるだろう


「ヒヒ、それじゃあ城に行きましょう」


 ブルムンの案内で俺と将達で城に向かった


 ・・・・・・・


「坊っちゃん! ご無事でしたか!!」


 城に着くとオルベリンが駆け寄ってきて俺を持ち上げる

 高い高いするのやめーや!?


「あーオルベリン、数日ぶりだからとはいえ、これはやめてほしいのだが?」

「むっ! 申し訳ありません!!」


 オルベリンが俺を降ろす

 やるならミルムあたりにしてくれよ頼むから



「さて、状況は? ケーミストは捕らえたのか?」

「はっ! ケーミストは捕らえ、現在は牢に入れております! 『出せ出せ』と喧しいですがね」

「そうか、良くやってくれた!……ゲルドは?」

「ゲルドなら玉座の間で玉座を交換しております」

「交換? なんで?」

「いやそれが……玉座がケーミストに合わせたサイズですと坊っちゃんには横に大きすぎましてね……それにあの豚が座っていたのに坊っちゃんを座らせたくなかったので」


 後半がメインの理由だな……


「なに? ケーミストってそんな横にデカイの?」


 実物はまだ見たことないんだよな


「ええ、とても醜い姿です……正直坊っちゃん達には見せたくありませんな」


 そこまで言うか……


「よし、取り敢えず玉座に行こう、話はそれからだ」

「はっ! ではこちらに……」


 オルベリンを先頭に俺達は玉座の間に向かう


 ザッザッ

 そんな揃った足音が響く


 チラリと後ろを見る

 アルスとブルムンを前にユリウスとティール

 ルミルやレムレ

 そしてカイナスの将がついてくる


 …………本当に勢力を拡げたな……

 3年……3年でここまで来た

 あと少しで東方を制圧できる


 そろそろ先の事を考えないとな……

 西方か南方か……

 ベススと協力して南方を取るのが現実的かな?


 そう考えてる間に玉座の間の扉が見えた

 うん、普通の扉だ……よくあるちょっと豪華な感じの…………普通ってなんだっけ?

 まあ、金ぴかよりはマシだよな! あれ趣味悪いし!


 ギィィィィと扉が開く


 中に入ると


「お疲れ様です、カイト様」


 ペコリと1人の男が俺にお辞儀する


「ああ、お疲れ様…………んん?」


 俺は挨拶を返して玉座に向かう途中で男をまた見る


「え、えっと?」

「どうなさいましたか?」


 男が俺を見て首をかしげる


「いや、えっと……えっ? ひょっとして……ゲルドか?」

「そうですが? 小生にどこかおかしなところが?」

「嘘だろお前!?」


 俺が知ってるゲルドはこう……ちょっとしょんぼりしたような見た目で!

 隈とか凄いんだぞ!?

 そんな堂々とした雰囲気は無かった!!


「何があったの? イ、イメチェン?」


 いや、髪型とか変わってないけど……


「何も変えてはおりませんが? 敢えて言うなら……吹っ切れたっと言いますか……」

「そ、そっか……」

「小生の事よりも……さあ玉座にお座り下さい、交換は終わっておりますので」

「あ、ああ……」


 ヤバい……雰囲気で凄い印象が変わる……人間って怖いね



 俺は玉座に座る


 すると将達が一斉に膝をついた


「…………」


 う、うん……慣れてきたつもりだったけど

 人数が多いからか圧倒されるな……

 な、何か言うべきだよな?


「これで……カイナスは正式にオーシャンの領地になったって事だよな?」

「はっ! そうなります!!」


 オルベリンが答える


「よし、やる事は色々あるが……先ずはシメないといけないよな! 諸君! 勝鬨をあげよ!!」


 将達が立ち上がる


「この戦! 我等の勝利だ!!」

『えい! えい! おおおおおおおお!!』


『おおおおおおおお!!』

 叫び声が外からも聞こえてきた


 こうしてカイナスとの戦は終わった

 マトモに戦ってないけどな!

 時間を掛けて準備したんだ……作戦勝ちってやつかね?




 カイナス 民救援戦


 オーシャン軍

 圧勝





 ・・・・・・・・・


 さて、戦は終わったがやる事は山積みだ


「先ずはカイナスの食糧問題から始めよう」


 俺はカイナスの将達を見る


「誰かカイナスの農業の記録は録ってないか?」

「それならワテに任せてもらいまひょ」


 グラドスが紙の束を取り出す

 持ってたのか?


 俺は束を受け取り内容を見る


「不作不作とは聞いていたが……これは酷いな」


 食糧の自給率が……ほぼ0%って感じだ

 そりゃあ、オーシャンに買いに来るわ

 てかよくここまで酷く出来るな


「これを普通にするには1年……いや2年はかかるか?」

「そんなに早く出来るので!?」


 パーツが叫ぶ

 えっ? そんなに驚くこと?


「オーシャン領から人員と食糧を少し入れて……畑とかを耕していけば……まあ来年には微々たる量だが食糧……作物は手に入るだろう」


 土が生きてたらだけどな……最悪土も運び込むか?


「それでも自給出来るのなら万々歳ですよ!」


 ……そこまで言うか?


「出来れば直ぐになんとかしたいが……カイナスの民には暫く我慢してもらうしかなさそうだな……」

「飢え死にの心配が無くなるのなら既に満たされてると言えますよ、ヒヒヒヒヒ!」


 ブルムンが言う

 ハードルがかなり低くなってない?


「早速だが、働ける民には働いてもらおう」


 俺は兵に指示を出す

 民が働ける状態なのか……それが重要だよな……

 飢え死に寸前だったんだ……今は満腹でもマトモに動けるか……


「では、次の話をしませんか?」


 オルベリンが言う


「次……ケーミストの処遇か?」

「はい、どうなさいますか?」

「……取り敢えずゴルースと一緒にここに連れてこい」

「畏まりました」



 さて、ご対面といきますかね





















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