表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/290

第77話 都の名前

 玉座の間に到着する


 既に殆んどの将達が揃っていた

 皆早いな……


「レリス、わかってる事を教えてくれ」


 俺は玉座に座る

 ……んっ? なんか前座った時より座りやすい?


「はっ、現在わかっていることはカイナスの5万の軍が国境を越えて、この都に進軍している事、軍の大将はブルムン、副将にパーツ、それと『クラフト』です」

「クラフト……」


 俺はその名前に反応する


「……レリス、これはどう思う?」

「恐らく、今、カイト様が考えた通りだと思いますよ?……つまりチャンスです」

「そうだよな……今の俺達の兵力は?」

「この都に25,000の兵が……マールの兵も動かすなら……もう20,000はすぐに連れていけますね……」

「…………」


 俺は考える

 そうしている間に都に居る兵長以上の将が全員揃った


「諸君! 揃ったな! これから俺達はカイナスからの侵攻を防ぐ!」

『おおおお!!』


 気合いがこもってるな!


「だが……兵は10,000しか連れていかない!」

『!?』


 ざわざわと戸惑う声が聞こえた

 何故それだけなのかって?

 それで充分だからだ!


「さて、俺も出撃するが……他に一緒に来たい者はいるか? オルベリンは一緒に来てもらうからその手を降ろせ」


 俺は即で我こそは!! と名乗りだそうとするオルベリンを制止する


「兄さん! 僕も行きたい」

「よし! 許す!」


 アルス


「僕も行きたいです!」

「よし来い!」

 レムレ


「私もです!」

「そうだな! 来い来い!」


 ルミル


「よし、ここまで! 締め切り!」


 俺はここで止める


「俺とオルベリン、アルスとルミルとレムレ……これだけ居たら充分だ!」


 レルガが不満そうだ


「残る者達にはこの都の防衛を任せたい! 頼まれてくれるな?」

『お任せを!!』


 よし!


「カイト様」

「んっ? どうしたレリス? これから準備してから出発するぞ?」


 もう国境を越えてるのなら今夜にも出撃しないと


「出発の前にこの都の名前をいい加減決めてください、色々と不便ですので」

「あ、そうだな……」


 まだ言ってなかったな


「実は、もう決めているんだ」

「そうなんですか?」


 俺はヒソヒソとレリスに言う


「ふむ、妥当ですね」

「だろ? じゃあ発表するぞ?」

「はい、どうぞ」


 俺はレリスから視線を外して将達を見る


「諸君! この都の名前を発表するぞ!」


 俺は大きく息を吸う


「この都の名は……」


 他の領は領主の家名を首都に名付けていた

 だから俺もそうする

 それに……この名前は果てがないからな

 大きな……大きな海を表す名前だ


「『オーシャン』だ!!」


 こうして……新しい首都はオーシャンという名前に決まった



 ・・・・・・・・


 ーーーアルス視点ーーー


「兄さん!」

「んっ?」


 出発の準備をするために解散となった後

 僕は兄さんに駆け寄る


「もう大丈夫なの? ちゃんと話は出来た?」


 僕がそう聞くと


「ああ、ちゃんと話をしたぞ……もう大丈夫だ」


 兄さんはニッと笑う


「良い雰囲気だったのに、カイナスに邪魔されてな……さっさと帰ってもらおう」

「それだったら兄さんはここに残れば良いんじゃないの?」


 わざわざ領主が出る事は無いよ

 てか兄さんは戦闘には向いてないんだから来ない方が良いんじゃ……


「あ~普段ならそうするが……今回はな、そういうわけにはいかないんだ」

「どうして?」

「んっ? まあそれは直ぐにわかるさ」


 兄さんはそう言うと僕の頭を撫でる


「兄さん……もう子供じゃないんだから……」

「そうだな、だけど俺からしたら可愛い弟に変わりないさ、いいかアルス、カイナスとの戦いでは民や部下を蔑ろにすると酷い目にあうって事がよくわかるからな、しっかりと見ておくんだぞ?」

「?……わかったよ兄さん」


 どういう事かわからないけど

 兄さんが言うなら何かあるんだろうね

 なら僕は兄さんを信じて戦うだけだ!



 ・・・・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


 オーシャンの西門から出る


「…………」


 俺は振り返る

 そこにはオルベリンやアルス

 ルミルやレムレ

 そして10,000の兵


 うん頼もしいな


「カイト様、何故食糧をこんなにも運ぶんですか?」


 レムレが馬を並走させて聞いてくる


「必要だからな」

「明らかに多くないですか? 3……いや4ヶ月分はありますよ?」

「すぐにわかるさ」


 俺はそう答える

 説明しても良いんだが……正直面倒だ

 百聞は一見にしかず……説明するよりも見せた方が早い


 レムレは首を傾げながら後ろに戻る


 さて……ここからならカイナス軍とぶつかる場所は……


「『パレミル平原』か……」


 俺達はパレミル平原を目指す


 ・・・・・・・・・


 ーーークラフト視点ーーー


「…………」


 オレは馬を歩かせてオーシャンの新たな都を目指す


 隣にはパーツ、前にはブルムンが馬で歩く


「…………」


 後ろを見る、兵達が怯えながら歩いている

 オーシャンに怯えてる訳ではない

 彼等が怯えているのは主であるケーミスト様だ


 出発する直前を思い出す


 ・・・・・・・・


『なにぃ? オーシャンの小僧が新たな都を造っただとぉ!? 儂の民が移住しているだとぉ!? おのれあのガキが!! 許せん!』


 怒り狂うケーミスト


『誰か! オーシャンの都を襲って奪え!! あのガキに立場というものを教えてやれ!!』


 そう叫ぶ


『ヒヒ、なら自分が行きます』


 ニヤニヤしながらブルムンが前に出る


『ブルムンか、よし、ならばさっさと行ってこい!!』

『ええそうします、ヒヒ!』


 ブルムンが振り返り


『パーツ君、クラフト、一緒に来てくれ……ヒヒヒ!』


 笑いながらオレ達を指名する


『よいか! ゲルドみたいに負けてきたら……貴様らと兵どもの家族も全員処刑だからな!!』


 ケーミストが玉座の間から出る俺達に叫んだ


 ・・・・・・・・


 家族も処刑……そう聞かされて兵達は震えているのだ

 こっちは5万……簡単にやられるとは思わないが……

 オーシャンの新しい都の情報が全く無い

 外壁はどんな状態か、兵数は何人か

 将は誰が出てくるか

 全くわからない


 普通なら調べてから出るのだが……ケーミストの機嫌が悪く、時間をかけたら処刑されそうだったから調べられなかった


「クラフトさん、どうしたんですか?」

「あ、いや、別に」


 パーツに話し掛けれる


「大丈夫ですよ、いざとなったらブルムンさんが何とかしてくれますから!」


「……そうだな」


 オレは前を歩くブルムンを見る

 彼は普段こそ不気味に笑っているが、意外と頭は回る

 今までもケーミストの機嫌を直して、処刑されそうだった者を何人も救ってきた


 今回もなんとか出来たら良いのだが……


 まあ思うところはもうひとつあるんだが……


「カイト・オーシャンか……」


 どのような人物か……今回の戦いで見極めないとな……












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
[気になる点] 婚約者出て来てからラブコメ路線と言えばいいのかな?戦記モノ、戦争が見たい側としては短く纏められるし外伝書いてやれば?って思った [一言] ラブコメ書きたいの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ