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第75話 ティンクの決意

 ーーーティンク視点ーーー


「わたし、()けられてますよね?」


「唐突ですね」


 屋上で景色を眺めながらわたしは呟いた

 ヤンユさんが答えてくれる


「最近、カイトさんが眼を合わせてくれないんです……態度もなんか素っ気ないと言いますか……わ、わたし嫌われてしまいました?」


 カイトさんに好かれたいと色々したのが逆効果になってしまったのでしょうか?


「確かに……最近のカイト様は様子がおかしいですが……」


 2人で考える……


「お義姉様ー!!」

「きゃあ!?」


 後ろから抱きつかれる


「ミ、ミルムちゃん!?」

「久し振りー!」


 ミルムちゃんは嬉しそうにわたしの周りをくるくると回ります


「ミルム様! 危ないですから!」

「ふ、2人共……元気過ぎませんか?」


 城の中からルミルちゃんとティールさんがやって来た


「皆さん到着したのですね!」


 わたしはミルムちゃんの頭を撫でる


「うん! さっきついたの! さっきまでヤンユに案内されてお風呂入ってたの!」


 わたしはヤンユさんを見る


「他のメイドに着替えなどを任せたのですが……」


 ヤンユさんは忙しいから仕方ないですね、今はわたしに付き添ってくれてますが……この後もお仕事がある筈です



「それで? ティンク様とヤンユさんはここで何をされてたので?」


 ティールさんが聞いてきます


「少し、景色を眺めていました」


 わたしは答えます


「城内でも護衛は付けた方がよろしいかと思いますが?」


「それなら大丈夫です」


 わたしはティールさんの後ろを指差す


「?……小屋?」


 ティールさんが振り向く

 そこには小屋があります


「屋上にも警備を配置しているので、兵の休憩所として建てたそうです」


 そう話していると


「あ、じいじが出てきた!」


 小屋からオルベリンさんが出てきました


「むっ? おお、ミルム様、到着されましたか!」


 駆け寄ってきたミルムちゃんを抱き上げるオルベリンさん


「うん! じいじは何してたの?」

「ワシはティンク様の護衛をしてましてな、小屋には…………花摘に寄ったのです」


 今、何て答える凄く悩みましたね

 生理現象なんですから仕方ないと思いますが……やはり言いにくいですよね、わかります


「お花があったの?」

「そ、それよりミルム様は何故ここに?」


 誤魔化しましたね?


「お義姉様とヤンユがここに居るって聞いたから来たの! お兄様は忙しいから後で挨拶するの!」


「ほほお、そうですか!」


 オルベリンさんがわたし達の所に歩いてきました


「ふむ、これだけ女性が居るなら、ワシは必要ありませんな?」

「えっ? じいじどっか行くの?」

「やって来た兵達の鍛練でもしようかと思いましてな……よろしいですかな?」


 オルベリンさんがわたしを見ます


「あ、はい! 大丈夫です! オルベリンさん、ありがとうございました!」

「いえ、奥様は坊っちゃんの大事な方ですからな、ではワシは失礼します」


 オルベリンさんが屋上から飛び降りました


 ……えっ?


「えぇ!?」


 わたしはオルベリンさんが飛び降りた場所に駆け寄り、下を見ます


 そこにはオルベリンさんが落下していって……


「はっ!」


 地面に近付いたところで壁を蹴り、木に掴まってから着地してました

 ……あの人、本当に人間なんですか?


「成る程、こういう逃走手段があると身体を使って証明したのですね……出来る人間は殆んどいないと思いますが」


 ティールさんがわたしの隣でそう言いました


 ・・・・・・・・・


「ティンク様、彼女達にも相談してみませんか?」

「あ、そうですね!」

「相談?」


 ルミルちゃんが首を傾げます


 わたしは3人にカイトさんに避けられてる気がする事を相談しました


「お兄様がお義姉様を? ないない! だってお兄様はお義姉様大好きだもん!」


「私もカイト様がティンク様を嫌うとは思わないですね……カイト様がティンク様を見ているときの目は優しく感じましたし」


 ルミルちゃんが言います


「私は良くわかりませんが……何か嫌われる様な事をした覚えがありますか?」


「えっと……その……」


 わたしはヤンユさんを見る


「…………」

「えっ? なに? ヤンユ? なんで私の耳を塞ぐの?」


 ヤンユさんがミルムちゃんの耳を塞ぎます


「実はカイト様に好かれようと色々してて……それが逆効果かもしれないと思いまして……」

「……因みに何をされていたので?」


 ルミルちゃんとティールさんがわたしを見ます


「えっと、主に二人っきりの時に……密着したり膝枕をしたり……それと」


 わたしは今まで試したことを次々と言いました


「…………ふむ」


 ティールさんが考えます


「……うーん」


 ルミルちゃんも考えます……そして


「あの、御二方はまだ交わってないって事ですか?」


 ルミルちゃんは恐る恐る聞いてきました


「え、えっと……はい」


 わたしは正直に答えます


「……御二人が結婚したのっていつですか?」


 ティールさんが聞きます


「焔暦144年の4月ですね」


 ヤンユさんが答えます


「2年前ですか……つまり2年前ずっと……んんん?」


 ティールさんは頭を抱えます


「2年前間……カイト様は何もしなかったのですか? キスとか……」

「えっと……最近はおでこやほっぺにしてくれますよ?」

「…………」


 ティールさんが考える


「うーん、我慢強い、意気地無し、同性愛者のどれかですかね?」


「最後は無いと思いますよ?」


 ヤンユさんが言います


「あ、もしかしたら……」

「ヤンユさん? 何かわかるの?」


 ルミルちゃんがヤンユさんを見ます


「ティンク様のヤークレンでの扱いが関係あるのでは?」

「わたしのですか?」


 なんでしょう? 確かに酷い扱いでしたが……オーシャンに来てからはそんな事も忘れられるくらい幸せですよ?


「ほら、性教育で……」

「あ、あぁ~ありましたねそんな事も……」

「性教育?」


 ティールさんがわたしを見ます

 わたしはヤークレンで受けた性教育の話をしました


「両親が目の前でって……いや無いわぁ」

「メルセデスって変態なんですか?」


 ティールさんとルミルちゃんが言います

 やっぱりおかしいですよね?


「それでこれが何の関係があるんですか?」


 わたしはヤンユさんを見ます


「恐らくカイト様はティンク様が……その、性行為に不快感を持っていると考えられているのでは? 嫌われたくないから手を出さない可能性が」

「わたし気にしてないんですけど……」


 寧ろカイトさんにならなにをされても……きゃ♪


「そう言えばティンク様に負担がかかるからっとも言ってましたね……」

「えっ? 負担ですか?」

「はい、子作りも妊娠も出産も……幼いうちはティンク様の命が危険だからと」


『…………』


 耳を塞がれてるミルムちゃん以外の3人でヤンユさんを見ます


「理由……それじゃないの?」


 ティールさんが言いました


「いえ、これはティンク様を抱かない理由ですので、避ける理由ではありませんよ」


「それもそうですけど……」


 うーん……話が進みません


「……いっそ押し倒したらどうですか?」


『!?』


 ルミルちゃんが言いました

 えっ? ルミルちゃんがそんな事を!?


「サルリラさんもヘルドさんがなかなか手を出してくれないから押し倒したって言ってましたし」


『…………』


 今のは……うん、聞き流しましょう


「でも押し倒す……てのは極論ですが、ここで悩むよりも直接聞いた方が良いですよ? 寝床は共にしてるんですよね?」


 ティールさんが言います


「は、はい……」


「ならその時に当たった方が良いですよ、砕けたら……その時は励ましますから」


「わ、わかりました!」


 この数日……ずっと悩んでいましたが……

 そうですね! もう、ぶち当たってみます!!


 …………余計避けられるようになったらどうしよう
















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