表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/290

第70話 ティンクの誘惑

 焔暦145年 1月


 視察を終えてヘイナスに帰ってきた俺達は年末年始の挨拶やパーティーを(おこな)った


 去年もやったやつだな

 あの時はまだ慣れてなかったティンクも、今ではすっかり打ち解けた


 うん、良いことだ、実に良いことだ


 それとヘルドがサルリラと結婚することを仲間に話したりしていた


 ルーツは視察の帰りに寄った時に話したから知っているって顔だ

 レルガとティールは驚いていたが祝福したし

 ルミルやレムレも祝福していた

 ミルムが感極まったのか


「サルちゃんおべでどぉぉぉ!!」


 っと泣きながら祝っていた


 アルスやユリウスはそれを楽しそうに見ていた


 因みに結婚式は3月にやるそうだ

 既に一緒に暮らしてるのだから、今すぐでも良いんだけどね……

 まぁ、何か祝いの品を用意したいから猶予があるのは助かる


 ヘルドにもサルリラにも弱小領地時代から助けられて来たんだ

 精一杯祝わないとな!

 ……迷惑にならないように気を付けよう


 ・・・・・・・・・


 そんな俺だが……今、修羅場です


「カイトしゃ~ん♪」


「お、落ち着け俺……」


 ティンクがワインをブドウジュースと間違えて飲んでしまった

 普通のワインなら苦味とかで解るのだが……

 今回用意したのは酒造り職人の自信作!

『とても甘いワイン』だった

 ぶどうの甘味を最大限に引き出した逸品だった


 とても甘いのである、ブドウジュースよりも……

 だからワインと気付かずにティンクはグイグイ飲んでしまって……


ぎゅ~ひてくだひゃい(ぎゅ~してください)♪」


 完全に酔っている

 凄く甘えてくる

 自室まで戻ったが……ほんと、勘弁して欲しい


 普段も添い寝の時は密着してくるが

 今はそれ以上の密着だ

 何て言うか……身体の側面にくっついてくるのと、身体全体にくっついてくる違いがある


 これがとても俺の煩悩を刺激する


 ティンクはちゃんと成長している、色んな意味で

 だから、その、胸とかね? スッゴく柔らかいの……


 フニュって感じで触れてきていて……ああ! 考えるな!


「ティ、ティンク! は、早く寝なさい!」


 俺の理性が勝ってるうちに、この子を眠らせないと……取り返しがつかなくなる!


「や~♪」

「や~っじゃなくて!」


「む~」

 むくれるティンク


「……暑い」

「へっ?」


 急にティンクがそう言うと服を脱ぎ出した


「おま!? ちょ!? ティンクゥゥゥ!?」

「暑いよぉ……」


 そう言ってティンクは俺の制止を振り切って裸になった


 酔っぱらいってとんでもないことするよね!?


「ティンク! 服を着なさい!」


 俺は眼をそらす

 今のティンクの裸を見たらヤバい

 絶対にヤバい!


「カイトひゃん? どおひたんでひゅか?(どうしたんですか?)


 ゴソゴソと音が近づく


「こっちを見てくだひゃい!」

「うぉっ!?」


 頭を捕まれて、無理矢理ティンクの方に向きを変えさせられた


「カイトひゃん♪」

「ティ、ティンク……手を離してくれないか? お、俺にも限界ってものがあるんだぞ?」


 俺は眼を閉じようとするが……瞼がティンクの親指に押さえられて閉じれない……瞬きも出来ないんだけど!?

 俺の視線は強制的にティンクに向かう


 ティンクの身体を見てしまう


 傷が癒え、健康的な身体になったティンク

 胸も少し膨らんできているのがわかる

 今、俺はティンクの全てを見ているのだ


「良いんでひゅよ? 我慢なんかしないでくだひゃい?」


 そう言われて……気が付けば


「…………」

「っ!?」


 ベッドの上でティンクを押し倒していた

 あれ? どうしてこうなった?

 まさか、ここで俺は初めてを経験するのか?


「ティ、ティンク……」


 まだ俺の気持ちは整理できてない

 こんな状態で交われば必ず後悔する!

 それがわかっているのに……わかっているのに!!


「ティンク……」


 俺は……俺は!!


「……………」


 んっ?


「ティンク?」


 急に静かになった?


「すぅ……すぅ……」


「ね、寝てる……」


 こ、ここまで誘惑しておいて!?

 それは無くない!?


 ・・・・・・・・


 翌日……


「あ、あれ? なんでわたし裸なんですか?」


 ティンクが目を覚ました


「……おはよう」


 俺は椅子に座った状態で挨拶する

 流石に今のティンクと添い寝したら、俺は獣になる気がしたから椅子で眠った……身体が痛い


「あ、カイトさん……あの……わたしは?」

「あ~、簡単に言うとブドウジュースとワインを間違えて飲んだティンクを自室に運んだら、暑いって言ってティンクが自分で裸になった」

「ふぇ!?」


「そんで、そのままティンクが寝たから、俺も休んでさっき起きた所だ」


 俺を誘惑したのは黙っておこう


「そ、その……ごめんなさい……」

「気にしないで良い、俺もベススで酔っ払ったし」


 お互い様だ

 でも本当に危なかった……もしティンクが眠ってなかったら……


「あぅぅぅ」


 恥ずかしそうに俯くティンク

 俺はティンクが元気になるまで頭を撫でることにしたのだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ