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第6話 大陸の勢力と山賊と

 

「行ってくるっす~!!」


 サルリラは30人の兵を連れてヌルユ村に向かった



「さてと……」


 玉座でサルリラが出発したという報告を聞いた俺は玉座から立ち上がる



「…………」


「ヘルド、何か意見があるなら言ってみろ」


 オルベリンとルーツは既に玉座の間から出ていった

 残った将はヘルドだけだ


「カイト様……あの小娘に捕縛が出来ると思うのですか?」

「出来る出来ないではない、やってもらわないといけないんだ」

「それに将にするのはいくらなんでも!」

「早いか?先程も言ったが私は有能な者は相応しい立場を与える、アイツはいずれ将になれる実力はあった……早いか遅いかの違いだ」

「しかし……」

「ヘルド……お前の気持ちもわかる……難題を与えたとは言え、新入りが将になるのは面白くは無いだろう」


 俺だって経験はある

 自分よりも後に入社した後輩が自分よりも上の立場になったときの悔しさ……


「だが、わかってほしい……今は1人でも戦力が欲しいのだ……」


 俺はヘルドの前まで歩く


「ヘルド、私は必ず結果を出す、だから今は我慢してほしい……」

「……わかりました」

「ありがとう……」


 ヘルドは玉座の間を出ていった



「ヘルド殿も頑固と言いますか……堅物と言いますか」

「真面目なんだよ、兵達の事を思っているんだ」


 さてと……これからの事を考えないとな


「レリス、地図を」

「こちらに」


 俺はレリスから大陸の地図を受け取る


「…………」


 ここ『ノースブリード』の大陸には15の領主がいる


 南で

『カルナル』

『ベスス』

『リール』

『アレキス』

 この4つの領主が南の領地を争ってる


 西では

『シルテン』

『コイシュナ』

『バルバルバ』

『ロンノール』

『サタヌルス』

 この5つの領主がいる

 この5つの領は同盟を結んでおり、『西方(せいほう)同盟(どうめい)』と呼ばれている


 そして東に

『パストーレ』

『カイナス』

『マールマール』

『ガガルガ』

 そして『オーシャン』

 この5つの領主が争っている


 そして北

 この大陸の半分を手にいれている領主

『ヤークレン』

 領と言うよりは国だな

 実際にヤークレンの当主である『メルセデス・ヤークレン』はノースブリードの王を名乗っている


 名乗れるだけの力が奴にはあるのだ


「はぁ……道は険しいな」


 ヤークレン……いずれぶつかる最大の壁だ……

 今は戦争を起こそうとはしないが……いつか攻めてくるかもしれない……

 ゲームではヤークレン以外の領を制圧して対抗するか

 同盟を結んでヤークレンに挑むかしないと勝てなかった……


「とりあえず東方の制圧が先だな」


『マールマール』

『パストーレ』

『ガガルガ』

『カイナス』


 コイツらに勝たないと未来はない


「…………」


 サルリラ、上手くやってくれよ?



 ・・・・・・・


 ーーーサルリラ視点ーーー



「ふんふ、ふんふ、ふー♪」


「ご機嫌だな新入り」


 兵の1人があっしに声をかける


「だって上手くいったら昇進っすよ!張り切るっす!」


 あっしは元気に答える


「確かにサルリラは強いよな……オルベリン様と打ち合うなんて俺達じゃ無理だ!」

「ちげえねえ!!」

『ははははは!!』


「あっしの昇進がかかってるっす!皆さん!よろしくお願いするっす!!」

「任せな!」

「上手くいったら酒奢れよ?」



 こうしてあっし達はヌルユ村に到着した



「んー山賊の拠点は……ここから南東っすか」


 あっしは渡された報告書を見ながら考えるっす


「討伐なら余裕なんすっけどね……捕縛……うーん……」


 縄はいっぱい必要っすね!


「縄集めたぞ!」

「あとは……あ、眠り薬とか無いっすか?」

「あるぞ?」

「それも集めるっす!」


 眠り薬もあるなら余裕っすね!!


 ・・・・・・・


 山賊の拠点の近くに隠れるあっし達


「彼処が拠点っすね?」

「はい」


 洞窟があるっす


「あの中に百人もいるんっすか?」

「偵察ではそうだと……」

「見張りは……二人っすね」

「どうするんだ?」

「二人なら余裕っす」


 あっしは茂みの中を移動するっす


 そして見張りの近くに移動して……


「っは!」


「うお!?」

「なっ!?」


 ドゴォ!

 ガスッ!


 ドサッ!

 ドサッ!


 見張りの二人を素早く気絶させたっす

 

「おぉ……はええ」

「素手もいけたんだな」

「俺達の出番ってあるのか?」


 ちゃんとあるっすよ?


 見張りの二人を縛って確保するっす


「それでどうするんだ?」

「この眠り薬を燃やすっす」

「眠り薬を?」


 兵達はあっしの指示通りに燃やすっす


 煙が洞窟の中に入っていくっす


「この煙を吸わないように皆離れるっす」


 あっし達は少し洞窟から離れるっす


 煙が洞窟の中に充満するっす


 慌てて外に出てきた山賊は気絶させて確保したっす


「……そろそろっすね」


 眠り薬が燃え尽きて煙も無くなったのを確認するっす


「10人程はここに残っててほしいっす!後の20人はあっしと一緒に来てほしいっす!」


 あっし達は洞窟に入るっす


 中に入ると山賊達が倒れていたっす

 確認するとしっかり寝ていたっす


「寝ているうちに縛るっす!」


 山賊を見つけ次第縛って捕縛するっす

 寝てるから楽勝っす!


「ドンドン進むっすよ!」


 ・・・・・・


 洞窟の奥まで着いたっす


 ここにも十人程寝ていたっす


「捕縛っす!」

「おお!」


 これで任務完了っす!


 あっしが大柄な男に近付いた時っす


「っす!」


 ヒュン!


 あっしは殺気を感じて後ろにのけぞったす


「ちっ!」


 大柄な男が起き上がるっす

 右手には斧を持ってるっす

 左手は斧で傷付けたのか血が流れていたっす


「左手を傷付けて眠らないようにしたっすか」


「てめえら何者だ!!」


「オーシャン領の兵っす!」

「ちっ!兵を動かしたか!パストーレの時は来なかったのによ!」


 男が斧を振ってくるっす


 ぶん!ぶん!


 単調な攻撃だから余裕で回避するっす


「その程度っすか?」

「うるせえ!死にやがれ!!」


 男が突っ込んできたっす


「そんなんじゃ殺してくださいって言ってるようなもんっすよ?」


 あっしは剣を抜いて走るっす


「死ねぇぇぇぇぇ!!」


「よっ!」


 縦に振る斧を回避してあっしは男の右足に剣を突き刺すっす


 ドスッ!


「ぐぁ!」


 男が転けるっす


「確保っす!」


 あっしと数人の兵で暴れる男にのしかかって縛る


「ちくしょぉぉぉぉぉ!!」


 任務完了っすね!!


 ・・・・・・


「ふんふん……」


 洞窟から出たら確保した山賊を兵達で数えるっす


「……あれ?」


 1人が首をかしげるっす


「どうしたんっすか?」


「ちょっと待って……ふんふん……んー?ふんふん……ふんふん……やっぱり1人足りない?」


「えっ?」


 あっしも山賊を数えるっす


 1……10………………99


「あれ?百人じゃなかったすか?」

「正確な数じゃないから99人しか居なかったんじゃ?」

「そんな事あるっすか?」


 偵察をする兵にもこだわりやプライドがあるっす

 正確な人数を数えてるはずっすけど……


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」


『!?』


「こっち!」


 悲鳴が響いたっす

 あっしはすぐに走るっす



「!!」


「いや!離して!」

「大人しくしやがれ!」


 そして見つけたっす

 女の人を山賊が捕まえていたっす

 近くに桶が落ちているから女の人は水を汲みに来ていたんすかね?


「その人を離すっす!」


 あっしは山賊に言う


「だ、誰が離すか!コイツは人質だ!動くんじゃねえ!!」

「ひぃ!?」


 ナイフが女の人の首に当てられるっす


「…………」


「お、おら!剣を捨てろ!」

「い、いや……」


 山賊が震えながら言うっす

 女の人はナイフに怯えてるっす


「…………」


 カチャ


 あっしは剣を地面に投げるっす


「捨てたっすよ」


「ま、まだだ!鎧を脱げ!まだ隠してるんだろ!」

「うぅ……」


「わかったから落ち着くっす」

 あっしは鎧を脱ぐ


 ガチャ


「これでいいっすか?」


「……いや!今度は服を脱げ!」


 まだ警戒するっすか?


「早くしろ!」

「ひぃ!!」


「はいはい」


 あっしは服を脱ぐっす


「お、おい何してんだ!?」


 数人の兵が追いついたっす


「人質をとられたっす、人質の安全のために山賊の言うことを聞いて脱いでるっす」


 パサッ

 あっしは服を脱いで下着だけになるっす


「てめらも動くんじゃねえ!下がれ!!」


 山賊が言うっす


「何を……」

「言うとおりにするっす!」


 突撃しようとした兵を止めるっす

 今突撃したら女の人が殺されるっす

 あの山賊はただでは死なない奴の目をしてるっす

 女の人を平気で巻き込むっすよ


「しかし……」

「あっしは平気なんで下がってほしいっす」

「わかった……」


「へ、へへ……そうだ、言うとおりにしてりゃいいんだ」


 山賊の目があっしの身体を舐めるように見るっす


「おら!それも脱げ!!」


 欲情した目……警戒ではなく性欲の為の要求になってるっすね


「わかったっす」


 あっしは下着を脱ぐ

 産まれたままの姿っすね


「……ごくり、へぇ、良い身体してるじゃねえか」

「そりゃどうもっす」


 あっしは右手で後頭部を掻くっす


「はぁ……はぁ……」

「ぅ、うう……」


「…………」


 山賊の目があっしの胸や下半身を見てるっす

 ナイフが女の人の首から少し離れたっす


「じっくり見ておくっすよ……それが最後の光景っすから!!」


 ヒュン!


「何を」


 ドスッ!ドスッ!


「うぎゃあああああああああ!?」


 山賊が両目を押さえながら後ろに倒れるっす


「確保っす!!」


 あっしは山賊を捕まえるっす


「い、いでぇぇぇぇ!目がぁぁぁぁ!!」

「これで学んだっすか?服や肉体以外にも隠せる場所はあるんすよ?」


 あっしがやったのは髪の中に隠していた針を山賊の両目に投げて刺したっす


「大丈夫っすか?」

「あ、ありがとうございます!!」


 山賊を縛った後に女の人の無事を確認するっす

 怪我はないっすね


「民を守るのは当たり前っす!」


 グッ!とあっしは指を立てるっす


「あー……うん……とりあえず……服着ない?」


 兵の1人が気まずそうにあっしに服を差し出すっす


「そうっすね!!」


 あっしは服を受け取り着るっす

 あー流石に全裸は冷えたっすね!!



 ・・・・・・・・



 ーーーカイト視点ーーー



「以上が今回の報告っす!!」


「……あ、ああ…」



 成る程……そうか……

 監視につけてた兵からの報告とも一致してるから間違いない


「ご苦労だったな……それと……裸になったとは……その、すまなかったな……お前の尊厳を傷付けてしまった」

「何を言ってるんすか?」


 サルリラは不思議そうに俺を見る


「何をって……女性が裸を見られるなんて屈辱だろう?」

「……カイト様、あっしは確かに女っすけど、そんな価値観なんて捨てたっすよ?」

「なに?」

「あっしの裸で民が無事ならそれでいいっす!こんな事になるのを覚悟して仕官したんっすから!」

「己の身など二の次だと言うのか?」

「そうっす!むしろ裸で済むなら余裕っす!」

「…………」


 成る程な……女性としての恥じらいは捨てたと……


「……お前の覚悟はわかった……だが私としては自分の身も大事にしてほしいものだがな……」

「了解っす!よっぽどの時以外は大事にするっす!」

「なら、そのよっぽどの時がこないように私は努力しよう」


 俺は玉座から立ち上がる


「さて!サルリラよ!お前は見事に山賊を捕らえた!……1人失明していたが生きてるから良いだろう!!」


 俺はサルリラに近付く


「これよりお前はオーシャン家の将とする!これからは他の3人と共に私を支えてほしい!」

「お任せっす!!」


 ・・・・・・


 ーーーサルリラ視点ーーー


 カイト様に認められて将になれたっす!!これからも頑張るっす!!


「…………」


 玉座の間を出たらヘルドの旦那がいたっす!


「旦那!あっし将になったっす!これからもよろしくっす!」


 あっしは元気に旦那に報告するっす


「……」


 旦那があっしとすれ違うっす

 ポンッとその時に頭を撫でられたっす


「?」


 旦那にどうしたのか聞こうとしたっす

 だけど旦那は玉座の間に入っていったっす



「…………?」



 あっしは首をかしげるくらいしか出来なかったす



 ・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー



「つまり開拓で?」


「そうだ」


 俺はサルリラと入れ違いで入ってきたヘルドと話す


「今回捕まえた山賊達を利用して未開の地を開拓したい」


 今のオーシャン領には何もない土地がある

 何もない……っていうの少し違うか……村が無いだけで森はあったりする


「森があるなら作物も育つだろう?その地を開拓して村を作りたいのだ」


「村が増えれば人も増やせるってことで」


「あぁ、その責任者をお前に任せたい」

「他の将では?ルーツとかの方が向いているのでは?」

「ルーツは武力が無いからな……もし山賊どもが暴れたら首輪を付けてても勝てないだろ?」


 山賊達には『囚人の首輪』という弱体化アイテムを装備させる……

 ゲームでは捕まった将はこの首輪をつけられる……だから脱走とか出来ないんだよなぁ……


「サルリラはこれから将としてのやり方を学ばせたい……こればっかりは経験だからな」

「ふむ……」


「オルベリンは単純に年寄りだからな……無理させたくないだろ?」

「そうですな」


 1番力強い同意だな


「そんな訳でお前に頼みたいのだが……嫌か?」

「いいえ、是非とも俺にお任せを!必ず立派な村を作ってみせましょう!」

「よし!なら任せた!!」



 これで人口が増えて兵力が増えたらいいなぁ

 まあ食料が増えるからいいか

 あ、その食料を他の国に売れば友好度が上がるか?

 飢饉とかの領に食料を分けて助ければ同盟を結べるかもしれないし……援軍とかも期待できる!


 希望が見えてきたぞ!!



























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