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第65話 オルベリンの訓練

 12月中旬


「んっ……」


 俺はベッドで目を覚ます


「すぅ……」


 隣ではティンクが熟睡している


 ティンクにはベススから帰った後に俺の考えを打ち明けた


 最初はショックを受けていたが……俺が特別に想ってるって事を伝えたら


『だったら……いつかは1人の女性として、妻として見てくれますか?』


 俺がわからないっと言ったら


『でしたら私を好きになってもらうように頑張ります!』


 と答えられた


 それからは添い寝の時も凄くくっついてくるし

 休んでるときもマッサージをしてくれたりと尽くしてくれている


 そんな事しなくてもいいのだがな……


「……俺の気持ちの問題なんだよな……」


 俺は元の世界でも恋をしたことが無かった

 幼少の時は友人と遊び

 中学生の時にやりたいことを見つけたから勉学に励んだ


 まあ、大学で挫折して、夢を諦めたが……

 それからは普通に就職して社畜コースだ


 そんな人生だったから恋愛なんてしたことはなかった


 だから、今、俺がティンクに対して感じているこの感情が恋心なのか……

 それさえ理解できたら……俺は……


「んむ……カイト……さん?」

「あっ、すまない起こしたか?」

「いえ……大丈夫で……」


 まだ眠そうだな……


「まだ寝てろ、大きくなれないぞ?」

 寝る子は育つからな


「ふぁ……キス……してください……」


 ……なんか最近大胆になってきてないか?


 俺はティンクの額にキスをする


「へへ……すぅ……」


 ティンクは嬉しそうに笑うと、再び夢の世界に旅立った


 ティンクの名誉のために言うが、決してティンクが寝坊助な訳ではない

 俺が早起きなだけだ

 まだ、朝の4時だしな……




 ・・・・・・・・・・


「ふぅ……」


 今日も玉座での仕事を終えた俺は庭園で一休みしていた


 テーブルには温かいスープがある

 城のコックが作った醤油をベースにしたチキンスープだ


 正直侮ってた……短時間で醤油を使いこなすなんて予想してなかった


 俺はスープを飲む

 うん……久し振りの醤油の味は、やはりいい


「うん?」


 スープを飲み終えた時に、ふと視線を動かすと

 歩いているオルベリン達が目に入った


 ルミルとレムレ

 それとアルスとユリウスだ


 アルスは元々オルベリンに鍛えられていたからわかるが……

 ユリウスはいつの間に加わったんだ?


「おーい、オルベリン!」


 俺は声をかける


「おぉ、坊っちゃん! 休憩ですかな?」


 俺のところに来るオルベリン


「ああ、そっちは訓練の途中か?」

「これから始める所です」

「そっか……今日は何をするんだ?」

「ふむ、昨日と一昨日で激しく動きましたから、今日は軽い運動程度にしようと思っております」

「ふーん……ちょっと見てみるかな」

「坊っちゃんも参加しますか?」

「見てから決めよう」


 俺もオルベリンについていく事にした


 ・・・・・・・・・


「さぁ、この崖を登るんだ!!」

『おお!!』


 軽い運動って、なんだっけ?


 目の前の崖はかなりの高さだ


 アルス達はヒョイヒョイと登っていく


「え、オルベリン……これってそんな簡単に登れるのか?」

「もう20回は登っておりますから、身体が覚えたのでしょう、崖登りはいい……体力の向上に、咄嗟の判断力も鍛えられますからな」


「…………」


 参加するって言わなくてよかった……


「最初は他の兵も混ざっていたのですが……1週間程でドンドン脱落していきましたな、情けない」


 いや、1週間も良くもったと思うぞ?

 俺なんか1日ももたない! 絶対に!


「ほ、他にはどんな訓練をしているんだ?」


 これで軽いとか行ってるしな


「そうですな、馬に引かれながらの走り込み」


 はっ!?


「重りを背負っての筋肉トレーニング」


 えっ!?


「あとはワシとの模擬戦に……」


 それは……まあいつも通りだな


「それと其々の個人メニューですな」

「個人メニュー?」


「例えば、アルス様なら兵士100人との乱取り稽古で戦いの経験を得て、レムレは歩行時と騎乗時での弓矢の訓練、そんな風に個人の足りない経験や長所を伸ばすメニューです」


 成る程な……

 

「皆、才がありますな、将来が楽しみだ」


 そう言ってオルベリンは愉快そうに笑った


 おっ、皆登りきったか


「あと9往復!」


 オルベリンが叫ぶ


 だから軽い運動ってなんだっけ!?


 ・・・・・・・・


「いつつ……」


 最後の1往復に参加させられた

 普段使わない様な筋肉も酷使したからか身体が痛い


 でも、成る程な……これは確かに鍛えられそうだ……


「カイトさん、気持ちいいですか?」

「ああ、とても……」


 俺は今、自室のベッドの上でティンクにマッサージされてる

 押してくる力加減が心地いい


 それに……


「んしょ、よいしょ」

 フニ……


 ティンクの身体の感触が……うん、柔らかい……


「ティンク」

「はい?」

「今度、一緒に出掛けないか?」

「よろしいのですか?」

「あぁ、視察があるから一緒に行こう……君にヘイナス以外のオーシャン領を見せたい」

「嬉しいです!」


 ティンクは嬉しそうに言った


 ・・・・・・・・


 マッサージを終えて、俺とティンクは眠りにつく


「カイトさん……キスしてください」

「あぁ」


 俺はティンクの頬にキスをする


 これが寝る前の恒例行事になってきた


 本当は口にするべきなんだろうが……

 中途半端な気持ちでするものじゃないと判断した

 だから、額や頬にする


 いつか……するときが来るのかもしれないな……

 その時は多分……それ以上の事をしてしまいそうだが……


 まあ、時間はまだある……ゆっくりと理解していこう




 ゆっくりと…………















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