第60話 食事会準備
城に戻ると侍女達に連行された
どうやらベススの礼装に着替えさせてくれるそうだ
オーシャンから持ってきてたが……暑いだろうって事でベススの礼装になった
「ふむ……」
俺は姿見を見て格好を確認する
……うーん、似合ってるかどうかの判断が難しいなぁ
「胸元の布の意味がわからない……」
サラシとかそんな感じなのか?
取り敢えず部屋を出よう
ガチャ!
「あ、兄さん!」
部屋を出たらアルスが立っていた
「アルスか」
アルスも着替えたみたいだ
俺の服と色違いだな
「お揃いだね!」
「そうだな、他の奴らは?」
「ユリウスとティールは先に会場に行ってるよ、罠とか仕掛けが無いかを確認しておくんだって」
「そうなのか? アルスやミルムの護衛は?」
「オラがやってるだよぉ!」
ドシン! ドシン!
チップスが歩いてきた
「チップス……お前はいつも通りの格好なのか?」
「オラは外で警護が仕事だぁ」
「意外だな、お前も参加すると思っていたが……」
「無くなるだよぉ?」
……今の一言で色々と察した
「わかった、警護頑張れ」
「んだぁ!」
「ミルムもファルンと一緒に会場に向かってるよ」
「そうか……ティンクは?」
「まだ着替えてるんじゃないの? 僕は見てないよ?」
ティンクはまだ着替えてる途中か、確か3つくらい隣の部屋だったか
「……流石に覗いて確かめるのは駄目だよな」
ノックして確認するか?
……急かしてるみたいで嫌だな
「アルス、俺はティンクを待ってるからチップスと一緒に会場に行ってろ」
「うん!」
「カイト様の護衛はいいだか?」
「侍女達も居るし……こんな城のど真ん中で襲ってくるやつも居ないだろ?」
「だども……」
「それにティンクと一緒にルートゥが居る筈だからティンクの準備が終わったら一緒に向かうから」
ファルンと別れてルートゥと合流したんだよな
そんでルートゥはティンクの護衛をしている
「んー、わかっただ! でも気を付けるだよ? 刺客はどこからくるかわからねえからなぁ」
「あぁ」
警戒はしておこう
俺は2人を見送る
・・・・・・・・・
「んー……遅くないか?」
多分10分は経っている
俺の着替えの時間も考えたら、ティンクも着替え終わってもおかしくないが……
何かあったのか?
ノックするか?
「カイト様」
「んっ?」
侍女が俺に声をかけてきた
「先程からこちらで何をされてるのです?」
「ティンクの着替えが終わるのを待っている」
不審だったか?
「そうですか……確認いたしましょうか?」
「いや、急かす事になるからしなくていい」
落ち着いて着替えたいだろうし……
「そうですか、では失礼します」
侍女が去っていく
「ずっと立ってるのもおかしいか……」
俺は侍女を見送ってから呟いた
「かといって何か暇を潰せるものは無いし……」
先に会場に行っておくか?
いや、待った方が良いよな!
一緒に行った方がティンクも安心だろうし!
「そういえばティンクはどんな格好になるんだ?」
頭に浮かぶのは例のビキニだ
……他の奴にあの姿は見せたくないなぁ
他にはなんか服の上に布を巻いてる格好だ
なんか、こう……インドとかの服装のマスク……ニカブって言ったかな? 目元だけ出したあれだ
「まっ、実際に見るまでのお楽しみだな」
そう呟いた時
ガチャ
「………………」
ルートゥが部屋から出てきた
そしてその後に続いて
「あ、カイトさん!」
ティンクも出てきた
「着替え終わったみたいだな?」
俺はティンクを見る
ティンクの格好は華やかっていえばいいのか?
ビキニの上に水色の服を着ている
スカートが少し短くないか?
「ど、どうですか?」
上目遣いで聞いてくるティンク
「可愛いよ、とてもね」
俺は微笑んで答えた
・・・・・・・・・
会場に行くと料理が大量に並んでいた
料理の近くには侍女達が立っている
どうやらバイキング形式みたいだな
食べたいものを侍女に注いでもらう
そんな感じか……取り敢えず始まったらチキンを狙おう
さて、料理は見た
今度は人を見てみよう
恐らくベススの貴族だろうか?
派手な服を着た人達が目に入る
次に……あのステージみたいな所に居るのは……音楽隊か?
楽器を持ってるし……楽器を持ってない女性は踊り子か歌手か……相変わらず露出が凄い
鎧を着ているのは兵士だろうな
そして3人ほど初めて会うベススの将が居る
「カイト様」
ティールが話し掛けてきた
「よぉ、ティール」
ティールも男性用の礼装を着ていた……男装するのが趣味なのか?
「会場を調べましたが、罠等は見つかりませんでした」
「なら安心して食事会を楽しめるな」
「そうですが……どこから刺客が来るかわかりませんから……警戒は緩めないで下さい」
「あぁ、わかった」
これだけ護衛が居れば大丈夫な気もするが……
俺の身を案じて言ってくれているんだ、素直に聞いておこう
「ティール、食事会が始まったら多分色んな人が挨拶に来ると思うから」
「落ち着くまで側で御守りしますよ」
「助かる」
頼りになる!
「…………」
因みにさっきからティンクが静かなのは周りの視線が集中して恥ずかしそうに俺にしがみついているからだ
よしよし、大丈夫だからな?
「注目!!」
ダン!
ゼルナの大声と大きな音が会場に響いた
全員の視線がゼルナに集まる
「我らが主、ナリスト様の挨拶だ!」
そう言って3歩後ろに下がるゼルナ
逆に3歩前に出るナリスト
「皆、今日はよく来てくれたね! 細かいことは言わないよ! この食事会を楽しもうじゃないか!!」
「以上!」
短っ!?
まあいい、こうして食事会が始まったのだった