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第55話 ルノマレスにて 1

 1週間後

 俺達はルノマレスに到着した


 道中、1度だけ賊の襲撃を受けたが、問題なく撃退した

 ティールは流石の活躍だったな

 ユリウスもまだまだ荒いが活躍していた

 アルスも参戦しようとしたが……俺が馬車の中で押さえて阻止した


 だってまだアルスは子供なんだぞ?

 人を殺すなんて事をやるにはまだ早い

 成人して……しっかりと覚悟が出来てからやるべきだ

 じゃないと罪悪感やら後悔やらで潰れるからな


「さて、ここでゼルナと合流する筈だが……」


 俺は馬車を降りる

 周りを見渡すが……ふむ、民しか見当たらないな……


「迎えに来るのを待つべきでは?」


 アルスが言う


「そうだな……だが」


 俺はアルスとミルムとユリウスを見る


「正直、街中を見たいんだろ?」


『見たい!!』


 3人は即答した

 やれやれ……


「ティンクはどうする?」

「わ、わたしはカイトさんと一緒に居たいです!」

「そうか? なら一緒に居ようか」


 俺はアルス達を見る


「アルス、ミルム、街中を見てきて良いぞ、俺はここら辺で兵達と待っているからな、ゼルナが来たら兵に呼びに行かせるから」

「わかりました!」


 アルスが返事をして歩きだす

 俺は手を掴んで止める


「待て待て、ユリウスとティールを護衛に連れていけ」


 俺とティンクは兵に護衛させとくからアルスとミルムには将2人を護衛につける


「では行ってきます!」

「きます!!」

「ひゃっほう!!」

「ユリウス様、護衛の役目を忘れずに!!」


 ………大丈夫かなあれ?



「さて、このままボーと待つのも退屈だろ? そこの露天商でも見るか?」

「あ、はい!」


 俺とティンク数歩先の数人の露天商の元に向かう

 3人程兵士もついてくる

 このくらいの距離なら必要ないとも思えるが……一応な


「よぉご両人! 良いのあるよ!」


 露天商の1人が声をかけてくる


「どんなのがあるんだ?」


「香水に化粧品だ! ほらこれとかどうよ?」


 露天商は1つの小さな入れ物を取り出す

 中には赤い……粉? が入っていた


「これは何に使うんですか?」


 ティンクが聞く


「これは目元や顔に使うんだよ! ほらあの女性を見てごらん!」


 露天商が指差す方向を見る


 露出が多い褐色の女性が数人……成る程、確かに目元に赤や青の色が塗ってある

 ……アイシャドウみたいなやつか?


「ほら手を出して! ほらほら!」

「ひゃ!?」


 露出商がティンクの手を取る

 護衛の兵士が剣を抜こうとするのを俺は制する


「こうして……ほらお洒落!」


 露出商はティンクの手首に薔薇を粉で書いた


「へぇ、上手いもんだな……」


 露出商がティンクの手を離した

 そのティンクの手を俺が取る

 ……確かにお洒落……かもしれんな

 白い肌に一輪の赤い薔薇……映えるな


「これって落ちるんですか?」


 不安そうなティンク


「水じゃ落ちないけど、石鹸を使えば簡単に落ちるよ!」


 耐水性はあるんだな……


「欲しいかい?」


 俺はティンクに聞く


「……うーん」


 悩むティンク……


「いえ、使い方を良く理解してませんし……止めておきます」


 そう言って諦めるティンク


「そいつは残念だ」


 露天商は残念そうに言う


「すいません……」

「気にするなティンク……お、香水なんかどうだ?」

 俺は露天商に許可を取ってから1つ手に取り、左の手の甲に垂らす


 あ、爽やかな香りが……結構良いかも


「あ、この香り……落ち着きますね」


「それは『モルネス』の香りだね」

「モルネス?」


 ティンクが聞く


「砂漠にある植物さ、オアシスとかで手に入るのを加工したのさ」

「砂漠の……」

「買うか?」


 ティンクは香水をマジマジと見てる


「良いんですか?」

「良いに決まってるだろ?」

「毎度あり!」


 俺は代金を渡して香水をティンクに渡す


「あ、ありがとうございます!!」


 嬉しそうなティンク

 お洒落とかしてみたい年頃だもんな


「カイト様、どうやら迎えが来たようですよ?」


 兵士に声をかけられて振り返る

 すると、さっきまで俺達が居た場所で家の兵と話しているゼルナが居た


「そうみたいだな、ティンク、戻るよ」

「はい!!」


 俺とティンクはゼルナの元に向かう


「ゼルナ!」

「カイト、買い物は済んだのか?」


 どうやら兵から聞いていた様だな


「ああ、待たせたみたいだな」

「構わない……俺も待たせた様だしな……2人だけか?」

「アルスとミルムが護衛を連れて街中を見ているよ」


 俺は数人の兵に声をかけて探してくるように言う


「何人かはここに待機しててくれ、アルスとミルムが来たら一緒に屋敷に来てくれ……もし2人が直接屋敷に来たら連絡を寄越すからな」

『はっ!』


 こうして俺とティンクはゼルナと一緒に屋敷に向かった



 ・・・・・・・・


 ーーーアルス視点ーーー


 ルノマレスの街は珍しい物がいっぱいあった


 見たことない調味料

 見たことない食べ物

 見たことない服


「うわぉ、凄い露出だ……」


 僕の隣でユリウスが呟く

 ユリウスはすれ違う女性を目で追っている


「ユリウス、兄さんに迷惑になるから止めろ」


 品位が疑われる!


「そんな事言われてもなぁ~」


 因みにミルムはティールと一緒に服を見ている


「アルスは見ないのか? あんな凄まじい露出を見て!!」


 熱弁するユリウス

 てか敬語使わないんだ……

 別に良いけど


「そりゃあ…………こほん」

「はい誤魔化した! このムッツリ!」

「んな!? 違うから! そんなんじゃないから!」


 でも確かに凄まじい露出だとは思う……

 だって殆んど下着姿だよ!?

 ヒラヒラとか有るけど……少しでも激しく動いたら絶対に飛び出る!


「やっぱり見てるじゃないか! 仲間だね!!」

「お前と一緒にされたくない!!」


 少なくとも女性と見たら声をかける様な軟派な人間ではない!!


「いい加減にしなさい!!」


『!?』


 大声が響いた


「……今のはティールの声? ミルムが何か我が儘を言ったかな?」

 僕は呟く


「いつの間に店を出たんだ?」


 ユリウスが首を傾げる


 取り敢えず声のした方に向かう


 ・・・・・・・


「貴方達! しつこいですよ!」

「良いじゃねえかよ! 少しくらい恵んでくれやぁ!!」


 すぐにミルムとティールを見つけた

 何か5人の男に絡まれてるな……ティールはミルムを守るように後ろに隠している


「ティール! どうした?!」


 ユリウスが駆け寄る

 僕も駆け寄る


「ユリウス様、アルス様……この男どもが金を寄越せとしつこくて……」


「お前ら良い御身分なんだろぉ? 高そうなもん着やがって! 俺ら貧乏人に譲れやぁ!!」

「いや働けよ!?」


 ユリウスが言う


「うるせえ! お前らが金を寄越せば良いんだろうがぁ!」


「あ~埒があかないな、ティール……やるぞ」

「わかりました……」


 ユリウスとティールが素手で構える

 剣は抜かない、もし殺したら国際問題になる可能性があるからだ


「ちっ! ぶっ殺せぇぇぇぇ!!」


 男達が襲いかかろうと走り出す


 ドシン!


『!?』


 その時、地面が揺れた

 気のせいじゃない……だってミルムもユリウスもティールも……相手の男達も驚いて周りを見渡しているからだ


 ドシン!


 また揺れた


 ドシン!

 ドシン!


 ドンドン近付いてくる

 そして……


 ドシン!


「あ~豪華そうな服でぇ……子供とぉ……護衛とぉ……間違いないだぁ! 見つけただよ~」


 大きな男が現れた

 物凄いデブだ……

 お腹とかパンパンじゃないか?


 ドシン!

 ドシン!


 大男が僕に近付く


「おめえさん、アルスだべぇ?」

「そ、そうだけど……誰?」

「オラは『チップス』! おめえさん達を迎えに来ただぁ!」


 ボン!

 チップスはお腹を叩く


「なんだこのデブ!!」


 男の1人がチップスに襲いかかる


「ん~?」


 ゴシャ!


 一瞬だった……一瞬で男がぶっ飛んだ


 ドサッ!

 バキィ!


 そして地面に落ちて……骨が折れたような音が……


「止めとくだぁ、おめえさん達じゃオラには勝てぬぇ!」


「ざけんじゃねぇぇぇぇ!!」

『うらぁぁぁ!!』


 残りの4人が突撃してきた


「仕方ないだぁ……おっちゃん! これ借りるだよ!」


 チップスは近くの店の店主にそう言って空の樽を片手で持ち上げた


「馬鹿が!! そんな物でどうにかなると思ってるのか!!」

「思ってるだよ?」


 そう言ってブン! と樽を振った


 バキィ!

 ゴシャ!

 ゴスッ!

 グシャ!


 そんな音がして男達がぶっ飛んだ


 グシャ!


 そして地面に落ちた


「わぉ……」


 ユリウスが男達の様子を見る


「……気絶してら、あんた何者?」


 ユリウスがチップスを見る


「オラはベススの将だぁ! さっきも言ったけんど、迎えに来ただぁ!」


 チップスは答えた


「迎えに?」

「んだ!」

「……どうする?」


 ユリウスが僕に聞く

 まあ、助けてくれたし悪い人じゃ無さそうだし


「着いていこう」


 僕の判断に皆が従った




















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