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第48話 凱旋

 ヘイナスに帰って来た


 門に近付くと兵士が門を開けて出迎える


 そしてマールと同じように民に歓迎される


「…………」


 俺は手を振ったりしながら進んだ

 うーん……まだ照れるなこれ



 そしてヘイナス城に到着する


「帰って来たって感じだな……」

「そうですね」


 ヘルドが答える


 城門が開く



「お帰りなさいませ、カイト様」


 レリスが待っていた

 いつもお前ここにいるな……

 んっ? なんでそこの兵士は倒れてるんだ?


「あぁ、ただいま……なあ、そこの兵士は何故倒れてるんだ?」

「カイト様の帰還を外壁からここまで全力疾走して報告に来たので、力尽きたようです……メイドがそろそろ水を持ってくると思いますので気にせずに」

「そ、そうか……」


 えぇ? そんな原始的な方法で報告してたの?

 望遠鏡があるんだから、専用の旗を振るとかにすればいいのに……

 今度提案しておくか……


「レリス、報告だがガガルガは落ちた、もう知ってたか?」

「噂は流れてきましたよ、オーシャンがガガルガを落としたと、つい先日ですがね」

「そうか、その噂の通りだ、ガガルガは落ちた……それでレルガをガガルガに暫く滞在させるからな、そしてこの2人を連れてきた」


 俺はユリウスとティールをレリスに見せる


「ティールですか……かなりの戦力を手にいれましたね……そちらの子供は?」

「ユリウスだ! もう成人しているから子供扱いするな!」

「あぁ、バルセの甥ですね……少し口の利き方がなっていませんね」

「なに!?」

「はいはいそこまでそこまで、レリス、挑発するな……ユリウスもこんな挑発に乗るな!」


 俺は喧嘩が始まりそうな2人を止める


「ユリウス、ティール……自由に城を見てきて良いぞ、後で俺の家族やオルベリンとかに紹介する」

「わかりました」

「よっしゃ!」


「ヘルド、サルリラ、2人の案内を頼んで良いか?」

「任せてください!」

「了解っす!」


「よし、任せたぞ! さて、レリス……今回の戦の報告をするから城に入ろう」

「そうですね」


 俺とレリスは玉座に向かう

 本当はティンク達に会うべきだが……先に報告を済ませたら後はゆっくりできるだろ?


 ・・・・・・・・・


 ーーーユリウス視点ーーー


「ガガルガと比べたら少し小さいですね」


 僕は感想を言う


「お前な……」


 ヘルドが僕を呆れたように見る

 ティールはサルリラに連れられてどっかに言った

 お風呂とか部屋とか言ってたから女性用の施設の案内でもしてるんだろうなぁ


「ところでオルベリンは何処だ? 一度会ってみたかったんだ!」

「俺が知るわけないだろ? メイドにでも聞けよ」

「それもそうだな……お、丁度良いところに!」


 僕はこっちに向かって歩いてくるメイドに駆け寄る


「すいませ~ん!」

「はい?」


 …………おぉ!!

 なにこの子! 可愛らしいじゃないか!


「お嬢さん、貴女の名前を教えてくれませんか?」

「えっ? おじょう……? レ、レムレですけど?」


 レムレちゃんかぁ! 可愛らしいね!


「レムレちゃん! 僕はユリウスと言います、ユリウス・ウィル・ガガルガ! 今日からここで働く将です! それでこの城の案内を君にお願いしたいんだけど……良いかな?」

「えっと……この荷物を運んだ後でもいいです?」

「勿論!!」

「じゃ、じゃあまた後で……あ、ヘルド様! お帰りなさいませ!」


 レムレちゃんがヘルドに挨拶する


「レ、レムレか、頑張ってるな、くくく!」


 なに笑ってんだこいつ?


 レムレちゃんは城に入っていった


「あんな可愛い子が居るとは……恐るべし!」

「そ、そうだな……ぷっ!」

「なんでさっきから笑ってるんで?」

「き、気にするなっ!」


 少ししてからレムレちゃんが戻ってきた


「お待たせしました、では案内しますね!」


 レムレちゃんが僕の隣を歩く

 背は僕より少し小さいかな?


「レムレちゃんはなんでメイドをやってるんだい?」

「えっ? メイド服しか服が無かったからですね」

「へぇ~」


 メイドしかやらせてもらえなかったと?



 あれ? ヘルドの奴、いつの間にか居なくなってる!?


 ・・・・・・・


「ここが庭園ですね」

「へぇ、綺麗な所だね」


 しっかりと手入れされてる

 んっ? 椅子とテーブル? ここでお茶でもしてたのかな?


「ここでは良くティンク様やミルム様がくつろがれてますね」

「ティンク様にミルム様?」

「カイト様の奥様と妹様です」

「えっ? カイト様って結婚してたのか!?」


 初耳だぞ!?

 僕とあんまり変わらない歳なのに……


 ・・・・・・


「こちらが訓練場になります」

「ここが……へぇ」


 結構しっかりしてるね

 これは楽しみだ


 んっ? 誰だ?

 男がこっちに来るぞ?


「レムレ! 弓の練習に付き合ってくれ!」

「あ、その……」


 男がレムレちゃんに声をかける


「どうした?」

「その、この人の案内をしなくちゃいけなくて」

「……誰だ?」


 男が僕を見る


「ユリウス・ウィル・ガガルガだ!」

「ガガルガ?……あれ? ガガルガの人間? なんでここにいるんだ?」


 失礼な奴だな


「今日からここで働くんだよ、お前こそなんだよ!

 レムレちゃんに随分と馴れ馴れしいな!」

「ちょ!? ユリウス!」


 レムレちゃんが慌てながら僕を見る

 大丈夫! 君は守るから!


「……アルス・オーシャンだ」

「……オーシャン?」


 あれ? ひょっとして……


「カイト様の弟様です!」

「嘘っ!?」


 あんま似てないな!?


「そんな驚く事か? そんなことより」


 アルスが僕を見て、レムレちゃんを見る

 

「レムレ()()()?」

「あ、やっぱり気になりますよね?」


 アルス様とレムレちゃんがなんか話している


「……こほん! あ~ユリウス?」


「はい?」

  アルス様が僕を見る


「レムレをどう思ってる?」


 そんな事を聞いてきた


「えっ? 可愛いメイドちゃんだと思うけど?」


「あー……そっかぁ……」


 アルス様が目を伏せる

 ?


「あのー」


 レムレちゃんが僕の隣に来る


 そして一言……


「僕、男だからね?」




 ………………えっ?



「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 ・・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「んっ? なんだ今の叫びは?」


 レリスに報告を終えた俺は廊下を歩いていた


 ……そこに


「お兄様!! お帰りなさい!!」

「っと! ただいまミルム」


 俺は前から走ってきたミルムを受け止める


 やれやれ、元気だな


「えっとね、えっとね! ……あれ? 何を話そうとしたんだっけ?」


 おいおい……


「ミルム様ー!! どちらですかぁ!!」


 ミルムを探す声


「ミルム、呼ばれてるぞ?」

「えー、お兄様と遊びたい……」

「また今度な?」


 俺はミルムの頭を撫でる


「はーい! あ、そういえばね! お義姉様の耳がね!」

「ミルム様! お稽古の時間ですよ!」

「はーい!」


 ミルムは教育係の女性に連れていかれた


 ……ティンクの耳がどうしたの?



 ・・・・・・・・


 メイドに聞いたらティンクは自室に居るらしい

 てな訳で自室に行ってみる


 扉を開けて中に入ると……


「…………」


 ベッドの上で毛布にくるまった物体が居た

 窓の方を見ているようで……

 なに? なにしてるの?


「……はぁ……カイトさん……会いたいな……」


 そんな呟きが聞こえた


 なに? 寂しくて温もりを求めてます的な?

 とりあえず驚かせてみるかな……


「…………」


 俺は足音を殺してゆっくりと近付く

 そして……


「そい!」

「きゃあ!?」


 布団を剥ぐ

 現れるティンク


「カ、カイトさん!?」

「ただいまティンク!」


 驚くティンク、俺は微笑む


「カ、カイトさぁぁぁぁん!!」

「おっと!」


 抱きつかれた

 そんなに寂しかったのか?


「よしよし」

 俺はティンクの頭を撫でる


「し、心配してました!」

「そうか、この通り無事だぞ!」

「はい……はい!!」


 ティンクが落ち着くまで頭を撫でる


 サラサラした髪の感触

 触り心地いいな……


 ・・・・・・・・


 ティンクが落ち着いたから俺もベッドに腰掛ける


「ふふ♪」


 俺の膝の上に乗るティンク


「さて、ティンク……色々と話をしたいところだが、先ずは13歳おめでとう」

「ありがとうございます!」


 嬉しそうなティンク


「それでプレゼントを用意した、受け取ってくれるか?」

「プレゼントですか?」


 俺は小箱を懐から取り出す


「えっと……こうですか? あ、開いた……!?」


 ティンクが小箱の中を見て驚く


「あの、カ、カイトさん! こ、これって!」

「んっ? 指輪」


 サーリストでは婚約指輪とか結婚指輪とかの風習は無い

 だけど特別な贈り物としての意味はある


「喜んどくれるかと思ってさ」

「嬉しいです……凄く嬉しいです!!」


 ティンクは満面の笑みだ

 良かった、凄く喜んでくれたな!

 パーフェクトコミュニケーションだ


「うわぁ……うわぁ……」


 指輪をまじまじと見ているティンク

 俺の視点からはティンクのうなじや耳が見えるわけで……

 そういえばミルムがティンクの耳がどうとか言ってたな……

 見た限り変わった所は無いはず……

 ちょっと触ってみるか?

 

 俺はティンクの耳たぶを触ってみる


 プニ


「ひゃぁん!?」

「うぉ!?」


 甲高い声がティンクから出た

 赤くなりながら俺を見るティンク


「あー、すまん……」

「い、いえ……」


 ティンク……耳弱いのね……



 その後は俺とティンクは雑談した


 俺が居ない間はティンクはミルムと寝てたそうだ

 ヤンユは?って聞いたら


「ヤンユさんだと……その……女性としての自信が……」

「?」


 なんの事かわからないが、まあなんか理由があるのなら仕方ない



 その後、ティンクを連れて玉座の間でユリウスやティールに紹介した

 ミルムやアルスも呼んで紹介したのだが……


「なんだ? アルスはもう知り合ってたのか?」

「色々ありましてね」


 アルスが苦笑している

 何があったんだ?


 まあいい、その後、夕食を済ませて部屋で休む



「♪」

「…………」


 寝るときにティンクがいつもより密着してきた

 いつもは腕に抱きつくのだが……今は身体に抱きついてきてる

 まあ寂しい思いをさせたからな……うん、構わない


 ただ……


 プニ

 フニ


 まだ幼いながらも女性だと認識させられる温もりや柔らかさが……

 た、耐えろ! 耐えるんだ俺!!



 理性で野性を全力で抑え込みながら……眠りについた

















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