第45話 戦を終えて
翌日
「じゃあ、2人共後遺症とかは無いんだな?」
「はい、我輩もレルガも傷が癒えれば問題ないです」
俺は医務室でメビルトとレルガと話していた
「…………」
「それなら良かったのだが……なんでレルガは凹んでいるんだ?」
「大した活躍が出来なくて、カイト様に合わせる顔がないと……」
「気にしなくて良いんだがな……これからも戦はあるんだから」
次で活躍すればいいだろ?
「また機会をいただけるので?」
レルガが呟く
「当たり前だろ?」
戦以外にもやってもらうことは多いんだからな?
「それで、メビルトはもう動いても良いんだな?」
「はい、我輩は傷も塞がってきましたので問題ないと……戦闘は禁止されてますがね」
「だろうな……レルガはまだ安静なんだな?」
俺はレルガを見る
「はい、申し訳ありません」
「気にするな、丁度いいしな」
「?」
レルガが首をかしげる
「明日、俺達はマールを経由してからヘイナスに戻る、レルガには一月ほどガガルガに残って、様子を見てもらいたい」
「監視ですか?」
「監視って言うか……監察と言うか……しっかりと働けているか見てもらいたい、環境が変わるわけだしな」
ユリウスとティールを連れていくんだから何か不便に感じることもあるだろうし
「それで人手が足りないとか、何か問題があれば教えてほしい、人を送ったり対策をするから」
「わかりました」
「落ち着いたらヘイナスに帰って来ていいからな?」
「はっ!」
・・・・・・・・
メビルトとレルガと別れて俺は玉座の間に向かう
「ここはもう少し増やせないか?」
「でしたら……」
そこでは玉座に座るバルセがユールと内政の話し合いをしていた
「よぉ」
「あぁ、カイト殿」
バルセが玉座から立ち上がり礼をする
因みにバルセには俺の事を『様』と呼ばなくていいと言った
色々理由はあるが、1番の理由は俺が慣れないからだ
なんかね? ぞわぞわしたのよ
「明日俺はヘイナスに戻る」
「畏まりました」
「それで質問と指示とあるのだが……今、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です」
バルセが玉座を空ける
座れって事か
俺は玉座に座る
「先ずは質問だ、ガガルガはヤークレンとどうやって同盟を結んでいたんだ?」
「小麦です」
「小麦?」
あの、どこにでもある小麦?
「ガガルガの小麦は質が良いのですよ」
ユールが言う
「……そうなのか?」
違いがわからないのだが……
「そうなのです、その小麦を安く売ることを条件に同盟を結びました……」
小麦で同盟をね……
「その小麦を売るのはこれからも続けてくれ」
「? よろしいのですか?」
ユールが首をかしげる
「止めたら絶対に煩いからな」
さて、なら次は指示だ
「バルセ」
「はっ!」
「この旧ガガルガ領はパストーレを警戒してもらう」
「パストーレを? 現在は停戦している筈では?」
「あぁ、停戦している、でもそれも後2年で終わる」
そうしたら攻めてくるぞ?
てかその前に
「それに、多分パストーレはカイナスと同盟を結ぶと思うんだ」
「……何故?」
バルセが聞く
「ユール、地図を」
「はっ!」
ユールが使用人から地図を受け取る
俺はその地図を床に拡げる
「今回のガガルガを手に入れた事で、オーシャンは東方の中心部を完全に制圧した」
これでオーシャンはカイナスとパストーレの間を遮るようになった
かなり簡単に描くとこんな感じだな
赤がパストーレ
青がオーシャン
緑がカイナスだ
カイナスとパストーレからしたらオーシャンが邪魔だろ?
戦うとしたらどっちもオーシャンを狙うしかない
だからオーシャンを共通の敵として同盟を結ぶと俺は予想する
挟み撃ちに出来るからな
「そんな訳だから見張ってて欲しいんだ、同盟国の援軍なら停戦の条約を破るわけじゃないからな」
「成る程……わかりました」
無警戒とちゃんと警戒していたのでは対処する時にかかる時間や手間が全然違うからな!
・・・・・・・
ーーーヘルド視点ーーー
「…………」
俺はガガルガ城の屋上に居た
周りには誰もいない
そろそろ来るはずだ
「旦那? 来たっすよ?」
「よぉ、悪いな急に呼んで」
サルリラが来た
『…………』
俺とサルリラは見つめあう
「一応確認しておこう、サルリラ、お前の幼名は『ベル』か?」
頭に浮かぶ少女の顔
まだ幼いのに、地獄を経験した少女の顔
「……そうっすよ、やっと思い出してくれたっすか?」
「忘れてた訳じゃない、ただ、お前が変わりすぎなだけだ」
最後に会った時はチンチクリンだったのにな
「あっしも成長したっす!」
「はいはい、てかその喋り方はなんだ? 昔は普通だったろ?」
「成人した時に名前と一緒に変えたっすよ、1種の覚悟っす!」
サルリラは笑いながら言う
「そうか……それで? なんでお前は戦士になった? 俺は反対した筈だが?」
「あっしと同じ思いをする子を減らしたいと思ったんすよ」
「…………そうか」
「あと旦那に会いたかったからっす♪」
「ほぉ~」
言うなぁ
「てか旦那、ペンダントを見るまであっしの事わかってなかったすね?」
「さっきも言ったろ? 変わりすぎだ」
「こんなナイスバディになったっす!」
「阿呆」
全く……なんでこんな性格になったことやら
まあ元気ならそれでいい……
「サルリラ、今、楽しいか?」
「楽しいっすよ! オーシャンに仕官して正解だったっす!」
俺はそれを聞いてサルリラに微笑んだ
・・・・・・・
ーーーカイト視点ーーー
「んっ? あれはヘルドとサルリラか?」
廊下を歩いていたら、向こう側の屋上に2人の姿が見えた
何を話しているかは知らないが……笑いあってるしほっとこう
「それにしてもオルベリンがいないってだけで苦労したな……やっぱり頼りすぎだよな」
正直、将が誰も死ななかったのは奇跡だ
誰かが死んでもおかしくなかった
もっと策を覚えないと……
「はぁ、『メイリー』が仲間になればな……」
メイリー……彼はサーリスト戦記で公式チートと言うくらいのキャラだ
武力は決して高くない
Dくらいだ
しかしカリスマはBと高い
更に内政もAだ
そして、知性はSだ、限界突破している
数値にするなら300……おかしいだろ? 通常の上限の倍だぜ?
だから策を発動すると必ず成功する
策の成功で戦況なんてあっという間に覆す
どんな不利な状態でも策を次々と成功させて敵を殲滅するのだ
まあ仲間にするのはかなり苦労するが
彼を仲間にするには50回も会わないといけないのだ
諸葛亮もビックリだな
しかも訪問しても会える確率は100回に1回だ
狂ってるだろ? これ、仕様なんだぜ?
だから本当に仲間にするならこまめにセーブしてリセマラだ
会えたらセーブ、会えなければロードしてまた訪問ってな
じゃないと仲間にできないんだよ
まあ、そんなだから仲間にできたらかなり有利に進むんだが……
「現実にリセマラなんて無理だからな……諦めるしかないよな……」
まあ、他の領もメイリーを雇うことは出来ないから問題ないか
「っと、そういえばもう少しで7月になるか?」
移動の時間を考えたらヘイナスに帰る頃には7月だ
7月はティンクの誕生月だ……何かプレゼントしたいな
「街中を見てみるかな……」
途中でボゾゾに会った俺はボゾゾを護衛にして街中を歩いた
良いものを見つけたからそれを買ってから帰った
……ティンク、喜ぶかな?
・・・・・・
翌日
「よし、帰るぞ!!」
『はっ!』
俺はヘルド、ルーツ、サルリラ、メビルト、ユリウス、ティールの6人の将と兵を連れて帰路についた
あ、途中でメンユ村に寄らないとな、兵の回収しないと