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第44話 ガガルガ侵攻戦 10

 リユからガガルガに5日かけて移動した


「こうして移動した時間を考えると……ガガルガを1日か2日で攻略したのか?」


 人数が多いから6日くらいかかってると考えて、伝令が来る日数も考えたらね


「今後の参考にどうやって攻略したのか聞いておこう」


 そこから学ぼう、うん


「お、見えたな……あれがガガルガか……」


 ガガルガの都

 ガガルガの首都で難攻不落の都と呼ばれた都

 頑丈そうな門が開いている


「ほぉ……立派な所だな」


 思わず感嘆の声をあげる


「カイト様!!」

「んっ? どうした?」


 近くの兵士が俺を呼ぶ


「ルーツ様がこちらに向かっております!」


 望遠鏡を覗いて兵士が言う

 俺も望遠鏡を取り出して覗くと、ルーツがこちらに馬で向かってきていた


「ルーツは無事みたいだな」


 伝令から犠牲は出てないことは聞いていたが

 こうしてちゃんと確認できると安心感が違うな



「カイト様! ここまでお疲れ様です」


 ルーツが俺の前に来て馬から降りて挨拶する


「ルーツもガガルガ攻略お疲れ様、良くやってくれた!」


 俺も馬を降りてルーツの手を握る


「勿体ないお言葉です! さぁ、ガガルガにどうぞ!」


 俺とルーツは馬に跨がり進む


「皆はどうしている?」


 俺は他の将の状態を聞く


「ヘルドは兵士達の見廻りや訓練の確認をしております」


 疲れてるだろうに早速働いてるのか


「サルリラは傷は癒えたそうですが、念のため安静にさせております」


 そうだな、胸を突かれたのだからそうした方がいい


「メビルトも傷は塞がったと言っておりますが、無理矢理休ませております」

「ほどほどにな?」


 まあ元気そうで良かった


「レルガは止血が完了して縫合も終わり、安静にしております……少し危ない状態でしたが、今は安定しております」

「命の危険はもうないんだな?」

「ええ、峠は越えました」


 良かった……

 こうやって聞くと満身創痍だな……ギリギリだったな


「ガガルガの将ですが……先ずはバルセですが、今は彼の自室で軟禁しております」

「軟禁か?」

「ええ、武器は没収しましたし、指示に大人しく従うので反抗の意思は無いと判断しました……勿論、見張りはつけております」

「そうか、わかった」


「それとボゾゾですが……」

「何かあったのか?」


 まさか……死

「やけ食いしてます」

「……はっ?」


 やけ食い?


「バルセを守れなかったのと、ヘルドに負けたのが堪えたようで……通常の3倍の量の食事を食べておりまして……」

「だ、大丈夫なのか?」

「バルセがカウンセリングをしたりしてます……まあ傷の治りも早いので大丈夫かと……」


 ボゾゾ……やけ食いってお前……


「他に将は?」

「『ヤンカ』と言う男と『ルスーン』と言う男が居ましたね……どちらもバルセの指示に従い、我々の配下になりました……まあ登用するかどうかは後でカイト様に決めてもらいますが」

「あぁ、わかった」


 ヤンカとルスーンか……2人とも内政向けのキャラなんだよな……戦闘には向いてない


「それとユールという軍師も軟禁しております」


 ユール、ガガルガの軍師だな……レリスみたいなものだ


「そうか……後でバルセ達と会わなきゃな」

「玉座の間に通しましょう」


 そう話ながら俺達はガガルガの門をくぐる


「……おぉ、立派な町並みだな……活気もある」

「はい、とても栄えております」


 これ内政がかなり高いんじゃないのか?


『ワイワイガヤガヤ』


 民達が俺を見ている


「注目されてるな……」

「カイト様はこの都の新たな領主ですからね」


 嬉しそうだなルーツ


「おい! お前何をしている!!」


「んっ?」


 前方で兵士が騒いでいる

 俺は前に出る


「どうした?」

「カイト様! この者達が……」

「んん?」


 俺の前には数十人の民が土下座していた

 な、何をしているんだ?


「貴方様がカイト様でございますか?」


 1番前の老人が顔を上げて俺に言う


「そうだが……何をしているんだ?」


「お願いします! バルセ様の命を奪わないで下され!!」

『お願いします!!』


「…………」


 あぁ、バルセの命の懇願か


「それはあの男次第だ……」


 冷たいようだが俺はそう答える


「そこをお願いします!!」

『お願いします!!』


「しかしだな……」


「代わりになるのでしたら……我々の命を奪ってくだされ!!」


 そこまで言うか!?


「…………」


 うーん、困ったな……


「お前達! いい加減にしろ!!」


 ルーツが怒る


「お前達の命が代わりに成る程、バルセの命は軽くない! 」


 それは民を軽く見てるのか?

 それともバルセを重要人物だと言っているのか?


「お前達! こいつらを退けなさい!」

『はっ!』


 兵達が民を退ける


「お願いします!!」

「カイト様ぁ!」


「…………」


 それでも懇願するか……

 慕われてるんだな、バルセは……


 ・・・・・・・


 ーーー玉座の間ーーー


 俺は玉座に座る


「さて、先ずは皆、此度の戦、ご苦労だった」


 俺は前に並ぶ将達に言う


 まあルーツとヘルドとサルリラの3人だけだが

 メビルトとレルガは医務室で安静だ、後で寄ろう


「ありがとうございます!」

「頑張ったっす!!」


「ヘルドもサルリラも良くやってくれた、帰ったら恩賞を渡そう」


 つまり特別ボーナスだ

 勿論他の将にも渡すがな!!


「それと……お前達も良くやってくれた」


『ありがとうございます!!』


 俺は2人の兵士に言う


 1人はリユに侵入して虚報をユリウスに伝えた兵士だ

 もう1人はガガルガに侵入してバルセに虚報を伝えた兵士だ


 どちらも失敗すれば死を免れない危険な任務だった

 それを果たしてくれたんだ……君達にもボーナスを出すからね?



「さて……ヤンカ、ルスーン」


 俺はヘルド達の後ろに待機していた2人に声をかける


『はっ!』


 2人が前に出る


「先ずは自己紹介をしてもらおうか?」


「では僕から」

 ヤンカが顔をあげる


「ヤンカと申します、戦いは不得手ですが、内政ならお任せを」


 ヤンカ、ガガルガの将で武力とカリスマがFだが内政はBで知性はDの男だ


「自分はルスーンと申します……自分も内政を得意としております」


 ルスーン、彼は内政がSの限界突破したキャラだ

 彼を手に入れてるのと手に入れてないのでは内政の発展の差が大きい

 ガガルガがここまで発展したのは彼の尽力が大きいのだろう


「うむ、2人はオーシャンに(くだ)るのだな?」

「それがバルセ様の意思ですゆえ」

「命も惜しいですし」


 成る程な


「なら、これからはオーシャンの将として活躍してもらうぞ!」


 主に内政でな!!


「失礼します!」


 兵士が入ってきた


「どうした?」


 ルーツが兵士を見る


「リユからユリウスとティールが到着しました」


「……もうか? 早いな」


 来るとしても俺よりかなり遅れて出発した筈だから、到着は早くても明日だと思ってたが……まあいい


「2人をここに連れてこい、武器は没収して拘束もしとくんだぞ?」


 俺は兵士に告げる

 拘束するのは2人が本当に降伏したのかわからないからだ

 ここまで来てから斬りかかる可能性もあるからな


「はっ!!」


「ルーツ、バルセを呼んでくれ」

「畏まりました」


 ・・・・・・・・


 今、俺の前には拘束されたバルセを真ん中に、俺から見てバルセの左にユリウス、バルセの右にティールが拘束されて正座している

 そしてバルセの後ろにボゾゾが……えっ?鎖で縛ってるの?


 ……?


「バルセも縛ったのか?」

「念のためです」


 ルーツが答えた

 まあバルセもいきなり襲い掛かる可能性は0じゃないからな


「さて、初めましてだな、バルセ・クッツ・ガガルガ」

「お主がカイト・オーシャンか……ふむ、若い頃のベルドルトに似ておるの」

「親子だからな……」


 怯えてるような姿ではないな

 なんか堂々としてるような……

 メルセデスは軟弱とか言っていたが……


「それで、先ずはお前達の今後の事だが……」

「ふむ、それについて頼みがあるのだが……よいか?」


 バルセが俺の言葉を遮る


「バルセ! 無礼だろ!」


 ヘルドが怒る


「構わん、頼みとは?」


 俺はバルセを見る


「私の命で他の者と民の命を見逃してほしい」


 そう言って額を床につける


「叔父上!?」


 ユリウスが驚く


「頼む! 私が今まで領主の務めを果たせたのは(みな)の助けがあったからだ! 私はその恩を返さねばならぬ!」


「だ、駄目です叔父上!! 貴方はこれからも必要な方です!! 殺すなら僕の、僕の方にしてくれ!」


 ユリウスが前に出る

 しかし、ヘルドに押さえつけられる


「ぐぅ! まだ、未熟者の僕だけど! それでも叔父上の代わりになるほどの価値はある! だから!」

「やめんかユリウス!! お前はまだ若いのだ! 死に急ぐな!」

「叔父上こそ!! 貴方が死んだら僕は本当に1人になってしまう!! そうなるくらいなら死んだ方が!」

「馬鹿者が!!」


 おいおい、言い合いが始まったぞ


 しかしこうして聞いていると2人の事がわかってきたぞ


 ユリウスはバルセが唯一の肉親の様だ

 バルセは実の子でないユリウスをちゃんと育てたみたいだな

 それをユリウスは恩に感じてると


 そしてバルセだ

 俺はバルセの事がわかってきた

 今、バルセは恐怖を感じているんだ

 自分が死ぬかもしれない……その恐怖もあるかもしれないが

 彼が最も恐れているのはユリウスや民が犠牲になることだ

 だから彼は虚勢を張る

 自分は何も恐れていないと

 だから躊躇わずに自分を殺せと

 だから他の者を助けてくれと


 バルセは知っている人間なんだ

『本当に大事なもの』が何かを


 …………


「黙れ!!」


『!?』


 騒ぐ2人を黙らせる


「沙汰を下す、ヘルド、サルリラ……()()

『はっ!』


 ヘルドがユリウスをサルリラがバルセの後ろに立つ


「待ってくれ! ユリウスは! ユリウスは助けてくれ!」

「殺すなら僕だけにしてくれ!!」


「やれ」


 俺は無視して指示を出す


 ヘルドとサルリラが剣を振る


 ヒュ!


 スパッ!


 パサッ


『…………?』


 2人が全く同じ反応をする


 ヘルドとサルリラが斬ったのは2人を縛る縄だ


「……全く、最後の最後までお互いを庇うのだな……そういう人間は嫌いじゃないぞ?」


 俺はニヤリと笑う


「これは……どういう?」


 バルセが聞く


「どうもこうも、俺はお前達を殺すつもりは最初から無いぞ?」


 登用に応じてもらうための話し合いをしようとしたら遮るんだもんな

 まあ、これで話が出来るよな?


「バルセ、ユリウス、お前達はこれからオーシャンの将として働いてもらいたい」


「……配下になれと?」


 バルセが問う


「そういうことだ、バルセにはこのガガルガの管理をこのまま任せたいのだが……どうだろう?」

「……良いのか?」

「ああ、お前は善政を敷いているからな、このままガガルガを任せた方が良いと判断した」

「…………」

「それに……ここに来るまでに民に頼まれたからな」

「!?」

「慕われてるな、バルセ」

「そうか……私は……また民に救われたのだな……ぐぅ!」


 バルセが泣き出した……落ち着くまでそっとしておこう


「ユリウス」

「!?」

「お前はどうする?」

「お、叔父上が降るなら、僕も降る……」

「そうか、ならお前は俺と一緒にヘイナスに来てもらうぞ」

「ヘイナスに!?」


 ユリウスが驚く


「お前は今回の戦でどれだけ自分が未熟かわかっただろ?」

「あ、あぁ……」

「だからヘイナスで色々と学べ、戦い方や策をな」

「…………」

「オルベリンに鍛えてもらえるぞ?」

「オルベリン!? あのオルベリン!?」

「そのオルベリン」


 目が輝いたぞ?


「行きます! ヘイナスに!」


 元気良く答えた


「よし!」


 ユリウスを成長させる……それもヘイナスに連れていく目的の1つだが

 もう1つの理由は()()だ、バルセが謀叛を起こさないようにするためのな


「あの、よろしいですか?」

「ティールか? どうした?」

「私もヘイナスに同行してもよろしいですか?」

「……構わんが、お前も降ると考えてもいいんだな?」

「はい、これからはカイト様に忠誠を……」


 …………なんか俺に忠誠をって言うより、ユリウスが心配だからついてくるって感じだな

 別にいいけど



「さて、ボゾゾ」

「…………」


 ボゾゾが俺を見る……鎖痛くない?


「久しぶりだな、元気か?」

「……ボゾゾ、まけた」

「そうだな」

「ボゾゾ、よわかった」

「いや、そうではないと思うが?」

「ボゾゾ、カイト、みすてた」

「仕方ないことだ」

「ボゾゾ、カイト、うらぎった」

「レルガにも言ったが裏切りだとは思ってない」

「ボゾゾ」

「ボゾゾ、少し黙ってくれ」


 俺はボゾゾの言葉を遮る

 話が終わりそうにないからな


「ボゾゾ、あーだこーだと言い合うつもりはない……俺がお前に言うことは1つだけだ」


 俺は玉座から立ち、ボゾゾの前に立つ

 そしてしゃがんでボゾゾと目線を合わせる

 ……ボゾゾがデカイから若干見上げてるが……


「ボゾゾ、俺にはお前が必要だ、また俺の元に来てくれ」

「…………」


 ボゾゾが俯く


「ボゾゾ、やくにたつ?」

「ああ、頼りにしてる」

「ボゾゾ、ひつよう?」

「ああ、必要だ」

「カイト、おこってない?」

「怒る理由があるのか?」

「…………」


 ボゾゾは黙る……そして


 バキィ!


「うぉ!?」


 鎖を引きちぎった

 ヘルドが押さえようと動くが


「待て!」


 俺が止める


「…………」


 ボゾゾが座り方を変える

 胡座をかいていた状態から、膝をつく状態に


「ボゾゾ、カイトさまに、ちゅうせい、ちかう」

「…………」


 俺はボゾゾの肩に手を置く


「これからもよろしくな!」


 こうしてガガルガとの戦は終わった



 あ、ユールだがこれまで通りバルセを支えてもらうことで話が決まった



 さて、ガガルガも攻略できた

 内政やら治安は安定してるから、今回はすぐにヘイナスに帰っても問題ないな

 今日は休んで、明日はメビルトとレルガの様子を見てから予定を決めよう!!







 ガガルガ侵攻戦


 オーシャン軍

 辛勝














将のステータス


ユリウス・ウィル・ガガルガ


性別 男

年齢 15


武力 86 C

知性 81 C

カリスマ 111 B

内政 69 D

忠誠 74


バルセ・クッツ・ガガルガ


性別 男

年齢 42


武力 71 C

知性 80 C

カリスマ 92 C

内政 79 C

忠誠 81


ティール


性別 女

年齢 23


武力 101 B

知性 111 B

カリスマ 92 C

内政 75 C

忠誠 62


ボゾゾ


性別 男

年齢 29


武力 138 A

知性 20 F

カリスマ 16 F

内政 20 F

忠誠 91


ヤンカ


性別 男

年齢 34


武力 2 F

知性 51 D

カリスマ 14 F

内政 100 B

忠誠 76


ルスーン


性別 男

年齢 19


武力 31 E

知性 59 D

カリスマ 21 E

内政 178 S

忠誠 62




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