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第43話 ガガルガ侵攻戦 9

 ヘルド達がガガルガを目指して出発した



 俺はと言うと


「諸君! これから言うものを大量に集めてくれ!! それで人形を作る!」


 兵士達に草と木の枝と蔓を集めるように指示を出した


「人形を?」

「何故?」

「とにかく集めようぜ」


 兵士達の反応は様々だが……皆、材料を集めに向かう



 ・・・・・・


 2時間経つ頃には大量に材料が集まった


「良し、皆ご苦労! 今日は休んでくれ! 人形作りは朝から行う!」


 俺はそう言ってテントに向かった

 暗いから今は作りにくいしね

 作るなら朝から昼だ


 俺はテントに入って鎧を脱ぐ


「ふぅ……」


 そして布団に寝転がる


「……それにしてもティールが女とは……どういうことだ?」


 考えるのはティールの事だ


 ティールが女だったとサルリラから聞いた

 俺はそれを聞いて驚いたね


 だってゲームだとティールは中性的な見た目ではあるが『男』として登録されてるんだから


「そのティールが女……」


 訳がわからない……俺が知っているティールとは違う


 考えられるのは2つ


 1つはティールは本当のティールじゃない

 双子の姉か妹で、本物のティールが死んだかなんかで代わりにティールを名乗っている


 もう1つは……


「ここがゲームの世界ではない……」


 俺は今まで『サーリスト戦記』というゲームの世界のカイト・オーシャンになったのだと思っていた


 だがその考えが違うのなら?

 この世界はゲームの『サーリスト』ではなく……実際に存在する別世界の『サーリスト』なのだ

 そう考えたらゲームとは違う設定のキャラが居てもおかしくない


「でもそれはそれで面倒だよな……」


 つまり俺のゲームの知識が役に立たなくなる可能性が高い

 だって現実だぞ? ゲームとは違うんだぞ?


「あー!! こんがらがってきた!! 寝るか!」


 今はこんなことよりユリウス達をリユに釘付けにする事だ!


 ・・・・・・・・


 翌朝


「よし、その調子で作ってくれ!」


 俺は4,950人の兵に人形を作らせる

 残りの50人はリユを見張っている

 偵察とか来るかもしれないからな


 さて、俺の前には大量の人形

 数は既に3万を越えただろうな、人手が多いと順調だな


 これを夜に周りに立てる

 そうしたらユリウス達は人形を兵と勘違いする筈だ

 望遠鏡で見られたらバレるだろうが……

 オーシャン以外に望遠鏡を持ってる所は無いからな

 その心配はない


 因みに参考にしたのは、かの有名軍師である諸葛亮の策だ


 魏を倒す為に蜀と呉の協力を結ぶために呉に行った諸葛亮は『期日までに矢を大量に作れ、出来なきゃ処刑』

 なんて無茶を言われたそうだ


 普通なら大量に人を雇って矢を作らせるのだが諸葛亮は人形を大量に作らせた


 その人形を船に立てる

 そんな船を大量に用意して布陣していた魏の軍団に向かう

 魏の将は敵襲と判断して大量の矢を放った


 人形に大量に刺さる矢

 それを持ち帰った諸葛亮は求められた本数以上の矢を用意したって話だ


 俺はこの人形を兵と勘違いさせたってところを参考にした


 明るいうちに見たら人形ってバレバレだが

 夜ならバレない、距離もあるしな!


 さて……上手くいくかな?


 ・・・・・・


 夜


 俺は望遠鏡でリユを見る


「お、ユリウスが出てきたな……よしよし、驚いている」


 さて、それじゃあ行くか


 俺は馬に乗ってリユの門に向かう


「カイト・オーシャン!!」


 ユリウスが俺に気付く


「よおユリウス! おとなしく降伏しろ!」


 俺は降伏を勧める


「ふざけるな! 誰が降伏するか!」


 だよな

 ならもう少しハッタリを言っておくか


「この大軍を見てもそれを言うのかぁ!!」


「ああ言うね!! 降伏などしない!! 攻めれるものなら攻めてみろ!! 返り討ちにしてやる!!」


 強気だな

 もう少しハッタリを言っておくか


「ああ、そうかい! 2週間だ! 2週間だけ時間をやるよ!! 2週間経ったら……わかってるな!!」


「黙れ!!」


「おっと!」


 ユリウスが矢を放ってきた……潮時かな


「賢明な判断をしろよ!!」


 俺は陣に戻る


 なんでこんな事をしたのかって?

 こうしたらユリウスは人影が人形だとは思わないだろ?

 策は確実に成功させたいからな


 ・・・・・・・


 それから数日は

 明るいうちに人形作り

 夜になったら人形を立てて、大軍を作る

 この作業を繰り返していた



「ふむ、ガガルガ軍の士気はかなり低いな」


 望遠鏡で外壁を見ると、顔色が悪いガガルガの兵が見える


「それに比べてこっちは……」


「どうよ! 俺の人形の完成度を!! 」

「女体にしたのか!?」

「こだわりを感じる、8点」


「………」


 なんか品評会始めてるんだが?

 まあ楽しんで作ってるなら別に構わないが……なんだかなぁ


「おっ!」


 リユを望遠鏡で見ると5人の兵士が出てきた

 偵察だな!


 他の見張りも気付いたな


 よし! 捕らえるぞ!


 ・・・・・・


 偵察の兵を全員捕らえる


「さてと……仕上げにかかるかな」

「な、何をする気だ!!」


 俺は1人の兵士に近寄る


「脱げ」

「なっ!? おい! やめ……ぬうわぁぁぁぁ!?」


 兵士の装備全部奪う


 下着姿になる偵察の兵士


「おーい! 誰か頼まれてくれないか?」

「どうしましたか?」


 兵士の1人が駆け寄る


「この鎧を着てリユに向かってくれ」

「……侵入ですか?」

「あぁ、そしてユリウスに伝えてくれ、『オーシャンはカイナスと同盟を結んで攻めてきた』とな」

「了解しました!!」


 なんでカイナスかと言うと、大軍を用意できるのが東方ではカイナスしかいないからだ


 これで大丈夫だと思うが……

 ヘルド達は上手くやってくれただろうか?

 ユリウスにも期限として2週間って言ったからな……

 まあ騙すのも2週間が限界だと決めたのは俺だから仕方ないけど



 ・・・・・・


 それから数日後


 夜


 ルーツから伝令が来た


「カイト様! ルーツ様達がガガルガの都を攻略しました! バルセは降伏しました!」


「おっ! やったか!!」


 あの都を攻略したか!!

 よし!


「全軍! ガガルガに向かうぞ!」

「人形はどうしますか?」


 人形は処分……いや


「置いていこう、ユリウスも朝にこれを見たら気付くだろうな」


 ユリウスの心を完全に折ってやる

 そうすればユリウスの戦意も完全に喪失するだろ



 さて、ガガルガに着いたら、皆をしっかり労おう

 メビルトとサルリラも重傷なのに無理をさせたからな





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