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第38話 ガガルガ侵攻戦 4

 ゲユ砦を出発してから5日

 俺達はマヤハ砦の近くまで来ていた


「どう思う?」


 俺は第1軍団の前に出て望遠鏡でマヤハ砦を見る


「罠じゃないっすか?」


 サルリラが答える


「だよな?」


 普通そう思うよな?


 だって誰も居ないんだぜ?

 布陣してないだけならまだわかるが……もぬけの殻ってのは怪しい


「偵察に送った奴等は……お、砦に入ったか!」


 マヤハ砦の窓……窓でいいのか? ガラス無いけど……まあいい、その窓に兵の姿が見えた


 砦の中を自由に動いてるみたいだな……

 お、てっぺんに到着したか……手を振ってるな

 他の兵も窓から手を振る


 どうやら罠ではないみたいだな


「進軍!」


 俺の声で軍が進軍を開始する



 ・・・・・・・


「マヤハ砦の中はからっぽでした、武器も食料も回収したようです」


 メビルトが俺に報告する


「マヤハ砦を捨てたのか?」

 何故?


「ヘルド、レルガ、ルーツ、メビルト……お前達に聞くが何故マヤハ砦を捨てたと思う?」


 戦の経験が豊富な4人の意見を聞こう


「俺はオーシャン軍にビビって捨てたと思います!」


 とヘルド


「……戦力を集中させたのでは?」


 レルガが少し考えてから言う


「ゲユ砦が取られたのでマヤハ砦も奪われると考えたのでしょう……物資を回収したのがその証拠かと」


 ルーツが言う


「我輩も戦力の集中だと……ガガルガはカイナスとの戦で疲弊してましたから」


 メビルトが言う


「3人の意見が一致したな……ヘルド以外の3人に聞く、ユリウスがやろうとしてる事はなんだ?」


『籠城戦かと』


 3人の声がハモる


「籠城か……確かリユとガガルガ、どっちも守りを固めた都だったな」


 リユは高い外壁で敵の侵入を防ぎ

 ガガルガは分厚い頑丈な門で守っている


「それなら籠城は有効か……だが限界もあるはず……」


 俺達の兵糧が尽きるのを待つつもりなのか?


「籠城戦が目的なら今からでも進軍を再開した方がいいのでは?」


 ヘルドが言う


 確かに……ここで考えるよりもリユを目指した方がいいな


「よし、進軍を再開しよう!」


 ここからリユまで……何日だ?


「3日です」

「ありがとうレルガ」


 ・・・・・・・・



 ーーーユリウス視点ーーー



「弓矢の備えは大丈夫か?!」

「はい!10万もの矢が備えてあります!」


 僕は外壁の上で兵達に確認をとる


「門は大丈夫か?」

「はっ!しっかりと閉じております!」


 門も点検をしっかりとさせる


「民に不安は募ってないか?」

「それは……まあ……仕方ないかと……」

「くっ! 早くオーシャンを撃退して安心させてやらないと!」


 だがオルベリンのいないオーシャンなど具を挟んでいないサンドイッチの様なもの!

 恐れることはない!!



「……ユリウス様っていい人だけどずれてるよな?」

「しっ! それを言うんじゃない!」


 聞こえてるぞ?

 まあ別に怒ったりしないけど!


「それにバルセ叔父上から連絡が来たんだ!!」


 ボゾゾをオーシャンの背後から奇襲させる

 オーシャン軍を引き付けるべしってね!


 ボゾゾ……何回か会ったがアイツは強い!!

 ティールよりも強い奴だ!

 今のガガルガ最強は間違いなくアイツだ!!


 そんな男が援軍に来るのだ!

 負けるはずがない!!


「ボゾゾが奇襲したらティールと10,000の兵で挟撃だ!!」


 カイト・オーシャンの首を落としてやる!!

 ……ティールとボゾゾが!!

 ……僕だって出陣したかったのに……


「なんで駄目なんだよ……」


 ティールも駄目って言うし

 叔父上も都に籠ってろって書いてるくるし!


「僕だって戦果を挙げたいんだけどな……」

「だから駄目なんですよ」

「うわティール!?」

「ユリウス様、貴方は今回の戦が初陣なんですよ? 初陣の人間は戦果を求めて無茶をしやすいものです、そして死ぬんですよ……私もバルセ様もそれを危惧しているのです……わかってください」

「……わかったよ」


 不満だけど……失敗してゲユ砦を奪われたんだ……ここは従っておこう



「来ました! オーシャン軍です!!」

「来たか!」


 僕は南を見る


 オーシャン軍が遠いけど見えた

 よし! 籠城戦だ!!


 ・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「リユが見えたな……」


 ここまで敵の襲撃は無しっと!

 リユとガガルガに兵力を集中させてると考えていいな


「さてと……どう攻めるか……」


 ユリウスは相応の対策をしているはず

 このまま突っ込んだら矢の餌食だな


「…………」


 リユを無視してガガルガを攻めるのも1つの手だが……

 挟撃されるよな……

 軍団を1つ残して、2つの軍団でガガルガを攻めるのも考えたが……兵の数で負けてるのに更に分散してどうするって話だ……

 やるとしてもリユの連中が出てこないようにしないと……



「夜襲を仕掛けますか?」


 ルーツの提案


「侵入できるか? 門を破壊しようとしたら気付かれるぞ?」


 レルガが言う


「真っ正面から突っ込む!!」


 ヘルドが言うが


「矢の餌食だ、却下」


 俺が却下する


「回り込んで反対側から攻めるのはどうっすか?」


 サルリラが言う


「反対側も対策しているだろう……」


 メビルトが言った


『…………』


 いい案が浮かばないな


「何処か脆い部分を探しますか?」

 ルーツが言う


「そうだな、兵に望遠鏡を使ってリユの外壁を見て回るように指示を出そう」


 壊れてる所とか……隠し通路とか……


 ・・・・・・・・


 ーーーボゾゾ視点ーーー



「……ついた」


 5,000の兵と移動してオーシャン軍のの背後に着いた


「ボゾゾ様! いつ攻めますか?」

「…………」


 攻めるなら夜がいい

 オーシャンは背後からの夜襲なんて考えていない


「くらくなったら……せめる」

「わかりました!!」


 ボゾゾ、斧を見る

 バルディッシュ……ベルドルト様がくれた戦斧


「…………」


 ベルドルト様……ボゾゾ、拾ってくれた

 でも、ボゾゾ、カイト、見捨てた

 カイト、弱い、ボゾゾ、弱いカイト、見たくない


「……ボゾゾ、勝つ」



 ・・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー



「はっくしょん!!」


 くしゃみが出る


「カイト様、大丈夫ですか? 春とはいえ夜は少し冷えますからね」


 ルーツが俺に言う


「ああ、少し悪寒もしたしな……戦場で風邪なんかひいたら馬鹿にされるな……」


 主に敵にな


「しかし全然案が浮かばないまま夕方になったな……」


 太陽がもうすぐ沈む


「そうですね……まあまだ兵糧はありますし、夜襲を警戒しながら考えましょう」


「そうだな……」


 俺は望遠鏡を覗く

 リユの外壁を見る


「…………んっ?」


 あれはユリウス?

 外壁から俺達を見ているのか?

 籠城だからな、俺達の状況を確認したいんだろうな……


 …………?

 なんか妙だな……視線がなんかおかしいような……

 俺達を見ているっていうよりは……俺達の後ろを見ているような……


「……なんだ?」

「カイト様?」


 俺は馬を走らせて軍の最後尾に行く


「……なんもないよな?」

 多少の木や茂みがあるが……なにもない……


「…………」

 でもなんか気になる……

 俺は望遠鏡を覗く


「……んん?」


 望遠鏡で覗いたら……なんか遠くに見えるような……


「カイト様? どうしましたか?」


 最後尾に来た俺を見てメビルトが寄ってきた

 ルーツも追ってきた


「いや……なんか後ろにいるみたいだ……」

「えっ?」


 ルーツが首を傾げる


「2人ともついてこい」


 俺は2人と一緒に馬を走らせる


 5分くらい走ったかな……

 そうしたら目視で確認できた


「!?」

「なっ!?」


 ルーツとメビルトが驚く

 そうだよな、ガガルガの兵が何故かオーシャン軍の後方に居るんだもんな


「…………」


 向こうからまだ俺達は見えてないようだ

 あっちは大軍だからわかりやすいが

 こっちは3人だもんな、わかりにくいよな


 俺は望遠鏡を覗く

 指揮をしているのは誰だ?

 ティールか?


「…………っ!?」


 見つけた、明らかに将だとわかる男

 俺は驚いて馬から落ちる!


「カイト様!? ご無事ですか!?」


 ルーツが馬から降りて俺に駆け寄る


「あ、ああ、大丈夫だ……」


 俺は立ち上がってもう一回望遠鏡で覗く

 見間違いであってほしいと願いながら

 しかし現実は無情である


「……ボゾゾ」

「はい!?」

 ルーツが驚く


 しかし間違いない

 黄色が濃い肌色

 大きな体格

 片手にはバルディッシュ

 そして見覚えのある顔


 オーシャンの将をしていた男

 レルガと共にオーシャンを出た男


「なんでガガルガに居るんだよ!」

 俺の身体が震える

 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!


 ボゾゾは武力が138もある男だ

 他はFだが……そんなの気にする必要もないくらい強い

 オルベリンの次に強いオーシャンの戦力だった奴だぞ!?


 勝てない……オルベリンじゃないとアイツには勝てない!!


「カイト様……カイト様!!」

「はっ!?」

「お気を確かに!……失礼します」


 ルーツが望遠鏡を俺の手から取り覗く


「……確かにボゾゾ殿だ」

「我輩も良いか?」


 馬から降りたメビルトがルーツから望遠鏡を受け取る


「……むぅ」


「……戻るぞ!」


 俺達は馬に乗り走る


 戻って皆に知らせないと!

 しかしどうする!?

 背後を取られている……今のオーシャン軍はガガルガ軍に挟まれている状態だ!


 撤退しようにも退く方向にボゾゾがいる

 アイツを避けようにも時間が足りない!

 あそこにいるってことは俺達に奇襲するつもりだ!

 多分今夜!


「どうする、どうする!?」

「カイト様……」


 ルーツが並走する


「なんだ!?」

「撤退ですか? 交戦ですか?」


 なんでそれを今聞く!?


「撤退したくても時間が足りない! 交戦するしかない!」

「なら私に考えがあります!」

「本当か!?」

「はい!」

「なら頼るぞ!」

「よいのですか!?」

 メビルトが驚く


「ルーツは自信が無い策は提案しない! 俺はルーツを信じるぞ! 責任は俺が取る!!」


「お任せを!!」



 俺達は軍に戻った




















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