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第35話 ガガルガ侵攻戦 1

 ガガルガを攻めるために進軍するオーシャン軍


 マールの都に到着した



「カイト様!」


「ルーツ、準備は出来ているか?」


 駆け寄るルーツに聞く


「はい!既に1万の兵とメビルトを待機させております!」


 よしよし!


「なら4000の兵を俺とレルガの軍に、残りの6000の兵を連れて最後尾についてくれ!」

「了解しました!」


 これで俺とレルガの第2軍団の兵が6000になった


 さて、今回の編成の理由だが


 第1軍団はヘルドとサルリラ、武力の高い2人に敵を潰してもらう


 砦や都を攻めるときもだが、平原等で戦うときは壁になって敵の進軍を止めてもらう

 その間に第2軍団と第3軍団が回り込んで3方向から挟んで殲滅する作戦だ


 ガガルガは砦や都にそれぞれ兵を分散してる筈だ


 だから大量の兵で一気に潰しに来るなんて事はない


「多くて2万くらいか……」


 もし迎え撃とうと出撃したらの話だが……さてガガルガはどう動くか


 まあ国境を越えるまで時間はあるし……ゆっくり考えながら進むか



 ・・・・・・・・・


 オーシャン軍が国境を目指している頃



 ーーーリユの都ーーー



「申し上げます!オーシャン軍が我が領地に向けて進軍しております!!」


「……へぇ、こっちを狙ったか」


 兵からの報告を聞いた少年

 彼は『ユリウス・ウィル・ガガルガ』

 領主である『バルセ・クッツ・ガガルガ』の甥である


 子のいないバルセの後継者として育てられた15歳の少年だ


「ティール、今のガガルガの戦力は?」


 ティールと呼ばれる将が答える


「はい、ゲユ砦に2000、マヤハ砦に3000、ここリユに2万、ガガルガに1万4千ですね」


「なら1万を連れて出るか……ゲユ砦の近くに布陣するぞ!」


 ユリウスはそう言って準備をする


「相手の戦力がわかりませんが?」


 ティールが問う


「それを確かめるための出撃だ、勝てないなら砦の兵も集めてリユ(ここ)で籠城して時間を稼ごう」


「左様ですか、出来たら準備を急がせます」

「ああ……さて、どれだけ時間を稼げるか……叔父上がパストーレとの同盟を結んで、援軍を寄越せたら……僕達の勝ちだな」


 ユリウスはそう言って鎧に着替えた


 ・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「国境を越えたな……」


「そうですね」


 レルガが答える……ここからは伏兵を警戒しないといけない

 まあ、軍団に2人ずつ望遠鏡を持たせて周りを警戒してるのだが……



「ここからゲユ砦まで何日かわかるか?」

「3日程です」


 ……3日か


「カイト様!!」


 望遠鏡を渡していた兵が駆け寄ってきた


「どうした! 敵襲か!?」


「いえ、敵襲ではないのですが……」


 敵襲じゃあない?でも慌ててないか?


「何があった?」


「ここから西の方にある村が賊の襲撃を受けています!!」


「なに!?」


 俺は兵から望遠鏡を受け取り隊列から少し抜ける

 確かに村が見えるな


「…………」


 俺は望遠鏡で覗く

 するとちょうど男性が賊に斬られてる瞬間が見えた


「……っ!」


「ど、どうしますか?」


 追ってきた兵が聞く


「レルガ!」

「はっ!」

「後で合流するから軍団の指揮を任せた!兵を50人ほど連れていく!」


 俺は馬を走らせる


「ついてこい!! 賊を蹂躙する!!」


 俺は騎馬兵50人と共に村を目指す



 ・・・・・・・


 ーーーメンユ村ーーー


 この村は賊に襲われていた

 金目の物や食料を奪うために襲われていた


 ガガルガの兵が数人配置されていたが、全員殺された

 腕に覚えがある者も戦ったが……20人の賊に殺されていった


 もうこの村は駄目だ……

 全てを奪われる……

 誰もがそう思った


「…………」


 そして1人の少年もそう思った……

 目の前には斧を振り上げる賊


「っ!!」


 死を覚悟して目を閉じる



 ザシュ!

 プシャ!


 血が飛び散る


 顔に触れる熱い液体


「…………あれ?」


 しかし少年は生きている

 目を開くと……


「賊を殲滅しろ!!1人も逃すなぁぁぁ!!」


 1人の青年がそう叫んでいた

 隣に剣を持った兵がいる

 そして目の前には死んでいる賊


 兵が賊を殺したのだ


「……あ、ああ」


 少年は震える……助かった嬉しさか、死ぬかもしれなかった恐怖か


「……」


 そんな少年を見て、青年は優しく微笑み頭を撫でる


「もう大丈夫だ、安心しろ」

「あ、ありがと、ございます……」


 少年は泣いた

 目の前の青年に感謝しながら泣き続けた


 ・・・・・・・・


 ーーーカイト視点ーーー


「カイト様! 賊の殲滅を完了しました!」

「1人も逃していないな?」

「はい!」


 よし!


「怪我人の手当てを急げ!! 破壊された建物を調べろ! 押し潰されている人がいないか確認するんだ!」

『はっ!!』


 さてと……


「坊や、落ち着いたかい?」

「は、はい……」

「なら良かった、少し手伝ってもらって良いかい?」

「何を……すれば?」

「村の人にこの広場に集まって貰ってほしいんだ、呼んでくれるかい?」

「わ、わかりました!!」


 少年は走っていった


 さて、俺も怪我人を運ぶか


 ・・・・・・・


 怪我人を集めて兵達に手当てさせる

 間に合わなくて死んだ者は埋葬した

 ガガルガの兵もだ


「敵国の兵ですよ?」

 兵の1人が言った


「確かに敵国だ……だが、彼等は民を守るために死んだんだ……弔ってやるのが礼儀だろ?」

「そうですね……」



 さて、村の人は全員集まったか?

 30人くらいか?


「村長は居るか?」

「わしです」


 老人が前に出る


「初めましてご老人、私はカイト・オーシャンと申します」

「おお、オーシャンの領主様でしたか!」

「君達にとっては敵国の領主だが……君達に危害をくわえるつもりはない」

「ええ、わかっております……助けてくださり、ありがとうございました……」


 老人が拝む

 止めてくれよ


「それでご老人、提案したいのだが……30人ほどここに私の兵を置いていこうと思う……彼等に村の守りを任せたいのだが……構わないか?」

「それは頼もしい!……ですが食料が……賊に襲撃されて結構な量がダメになりまして……」

「それなら大丈夫だ、彼等には兵糧を渡している……そうだな、私と共に戻る20人の兵糧も置いていこう、それを村の足しにしてくれ」

「なにからなにまで!!ありがとうございます!」


 老人が五体投地(ごたいとうち)した

 そこまでしないでいいから!?


 ・・・・・・・


 俺は20人の兵を連れて戻る為に馬に乗る


「カイト様!!」


 先ほど助けた少年が駆け寄る


「んっ?」


「ありがとうございました!!」


「ああ、強く生きろよ坊や!!」


 俺は馬を走らせる

 2時間はかかったかな?

 早く追い付かないとな!!



 全力で馬を走らせて、野営をしていた皆に追い付いた


「カイト様!ご無事でしたか!」


 ヘルドが俺の前に来る


「ああ、皆は何もなかったか?」

「問題なく進軍しました!」

「よし、夜襲に警戒しながら休もう……少し疲れた」

「はっ!」


 ヘルドは兵達に指示を出しに戻った


 俺は自分のテントに入って直ぐに眠った

 疲れているからかぐっすりと眠れた



 ・・・・・・・・・


 翌日、進軍を再開する


「付近に敵の姿はありません!」


 定期的にやって来る報告


「そろそろ仕掛けてくると思うんだがな……」

「…………」


 レルガが俺の右に並走する


「必ずお守りします」

「頼もしいな」


 しかし進軍している間に敵襲は無かった



 その理由は2日後にわかった



 ・・・・・・・



「ゲユ砦の隣に布陣してるな……」


 ガガルガ軍が布陣していた……最初の砦であるゲユ砦の側に


「1万は越えているかと……」


 俺と一緒に確認に来たルーツが言う


「俺達が突撃しますか?」


 ヘルドが言う


「止めておけ、敵の戦力がわからないうちは下手に仕掛けない方がいい……」


 俺は望遠鏡で陣を見る

 ……うーん……将は誰がいるんだ?

 何人いる?


 …………第2軍団と第3軍団を左右に動かして挟むか?

 いや、感付かれるな……


「どうするかな……」

「カイト様、1つ策があるのですが……」

「んっ?なんだ?」


 ルーツが提案する


 …………成る程ね

 

「確かに上手くいけば敵を一気に削れるな……だが第1軍団の皆が危険じゃないか?」

「俺達ならなんとかできます!」


 ヘルドが自信満々に答える


「……わかった、なら試してみよう……今日はここで夜営だ、夜のうちに行動するぞ!」


『はっ!』




 さて……上手くいってくれよ?









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