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第34話 様々な下準備

 4月も後半に入った


 結婚式を終え、収穫の報告を俺は聞いていた



「以上が今回の収穫になります」


 レリスが報告書を読み終えた


「今年は豊作だな」


 報告を聞いたら今回の収穫量は去年の1.8倍ほどだ


 領土が増えたのもあるが、畑を増やしたのが良かったようだ


 因みに収穫は春と夏と秋に其々行われる

 1番収穫量が多いのが秋だ

 冬は殆んど収穫がない……というのも寒くて育ちにくいのと……寒さに耐えるために野菜より肉系の方が多く消費されるからだ


 肉は基本、牛や豚などの家畜だが……たまに狩人が狩った猪や熊も食べる

 結構美味かった


「これだけ兵糧があれば戦も長期間行えるかと」

「そうだな……うん良いぞぉ」


 ガガルガを攻める条件の1つが達成されたな


「カイト様!」


「んっ?」


 兵士が玉座の間に駆け込む……この様子だと……


「何処からか使者が来たのか?」

「は、はい!!カイナスから使者がいらっしゃいました!!」

「カイナスから?……またガガルガを攻めるから援軍を寄越せって言ってくるのか?」


 それは困るな……ガガルガはオーシャンが落としたい……


「まあいい、通せ」

「はい!」


 さて、何を言いに来るのか


 ・・・・・・・


「……お久し振りですカイト様」


「ゲルド殿か……何用で?」


 俺は目の前のゲルドを見る


「……実はカイナスは今年不作でして……食料を購入させてもらえないだろうか?」

「不作だったのか?」

「はい……」


 不作って……内政サボったのか?


 しかしカイナスは不作……これはチャンスだ……


「良いでしょう、僅かですがお売りしよう」

「よろしいのですか?」


 レリスが俺に聞く


「あぁ、構わんよ」


「助かります……」


 食料を売って

 恩も売ると


 ・・・・・・・


 ゲルドに食料を売って見送った

 値段はお高めだ

 しかし、カイナスは不作だったか……これはチャンスか?

 つまりカイナスは夏や秋の収穫まで戦をすることが厳しくなってるって事だ

 兵糧が無いんだからな

 それで流石に戦を起こそうとは……ケーミストならやりかねないな


「さてと……」


 そう言えば冬の間に兵が増えた


 なんでも、身分なんて関係なく功績を挙げれば出世できる

 とか

 強くなくても他の事で活躍すれば評価される

 とかで志願する者が増えたとか


 多分身分はサルリラで武力はルーツやクンツァとかの事だろうな


 まあ評判が良くて兵力が増えるのは良いことだ

 オーシャンはアットホームな職場ですってか

 ……一気にブラック企業に思えてきたな


 いやいやちゃんと長期休暇とか希望すれば許可するから!

 現にオルベリンは今休暇だし!!

 この時期にオルベリンは休暇を取るんだよな……カイトの記憶でもそうだった

 流石に去年は取らなかったようだが……

 因みに何をしてるのかは知らない、オルベリンのプライベートだしな

 多分観光とか秘湯巡りとかだろ?

 1週間で帰ってくるし



「2万8千か……」


 今のオーシャンの兵力だ

 ……ガガルガが3万5千だったな……


「いけるか?」


 今、ガガルガの領地には砦が2つと都が2つ……

『ゲユ砦』

『マヤハ砦』

『リユの都』

 そして首都として『ガガルガの都』


「砦を攻略したら……」


 カイナスは不作で戦を起こせない

 ならオーシャンがガガルガを攻めてると知っても動けない……筈


「………………」


 よし、決めた!


「レリス」

「はっ!」


「戦の準備だ……ガガルガを攻めるぞ」

「動かれますか?」

「ああ、5月になったら出撃だ、ルーツの方にも連絡をしておいてくれ」

「編成はどうなさいます?」

「これから考える」

「畏まりました」


 ・・・・・・・



 さて、戦の前にもうひとつの問題を何とかしないと


 もうひとつの問題……ティンクだ


 ティンクは暗闇が駄目だ、1人だと過呼吸を起こしたりする

 だから俺が添い寝してる訳だが


「俺以外でも大丈夫かどうかだな……」


 例えばヤンユだ

 ティンクはヤンユにも心を開いている……一緒に居たからな

 そんな彼女なら安心できるのではないだろうか?



 次にミルムだ

 ティンクがヘリナスに来てから良く一緒に過ごしている

 本当の姉妹の様に仲が良いんじゃないか?

 それなら仲良く寝れるのでは?

 てかミルムの方から潜り込みそうだな……


「取り敢えずティンクと話してから2人に話すか」


 話し合い大事


 そんなわけでティンクを探してるのだが


「何処だ?部屋か?」


 いや、まだ昼間だしな……夜なら部屋なんだが……

 あ、庭園か?お茶してるかも……



 ・・・・・・・・


「やはり胸ですか?」

「もう少し肌を見せるのも……」

「?」



 居た

 庭園にティンクとミルムとヤンユが居た


 そして話し掛けにくいのだが?

 なに?胸?


「あ、お兄様!」


 ミルムが俺に気づいた


「カイトさん!?」

 ティンクが驚く

 なんだ?聞かれたら嫌な事だったか?なら聞いてないふりだな


「あ、あの……聞かれました?」

「?……何をだ?」


 よし、上手くできたな!

 ただの領主には勿体ない演技力!


「い、いえ!何でもないです!」

 赤くなりながら答えるティンク


「ちょうど3人に話があったんだ」


 俺が近寄るとヤンユが空いてる椅子を引いて座れるようにする

「ありがとう」


 俺は礼を良いながら座る


「お話?本を読んでくれるの?」

 ミルムが目を輝かせる


「それはまた今度な?……近々ガガルガを攻める、それで暫く俺は留守になるのだが……」


 3人が俺の顔を見る


「俺とティンクが一緒に寝てるのは知ってるよな?」

「うん!」

「はい」


 ミルムとヤンユが答える

 ヤンユは理由も知ってるよな


「それで俺は暫く留守の間、2人のどちらかにティンクと添い寝してもらおうと思ってるんだが……ティンク、それで良いかい?」

「え、えっと……」


 ティンクは戸惑う


「わ、私も一緒に……」

「それは出来ない、危険だからな」


 俺がオルベリンくらい強ければそれもアリなんだがな


「な、なら……はい」

「2人も良いか?」

「私は問題ありません、寧ろ光栄です」


 ヤンユは誇らし気だ


「お義姉様と一緒に寝る!!楽しそう!!」

「きゃ!」


 ミルムがティンクに抱き付く

 むっちゃなついてるな


「よし、ならそれで行こう!」


 俺は立ち上がって城内に戻ろうと歩く


「あ、あの!カイトさん!」

「っと!」


 追いかけてきたティンクに右手を掴まれる


「どうした?」

「あ、あの……帰ったら……また一緒に寝てくれますか?」

「あー……どうかな」


 ヤンユやミルムでも大丈夫なら帰った後もそうしてくれた方が助かるかな

 俺はこれからも留守にすることが多くなるからな……


 べ、別に結婚式の後から意識したりとか、理性が危ないとか、そんなんじゃないからね!!


 ……嘘です!

 本音では手を出しそうでヤバイからです!!

 キスしてからなんか意識するんだよ!!

 でも歳とか色々考えたら手を出したら駄目なんだよ!

 だから俺は『無茶苦茶に抱いてやれよ』って囁く悪魔を理性と良心で『破ぁぁぁぁぁぁ!!』してるんだよ!!


「わ、わたしは……」


 ティンクが俺を見上げる


「カイトさんと一緒が良いです……」


 上目遣い+涙目

 止めろ!それは効く!!


「わ、わかった……帰ったらまた一緒に寝ような?」


 俺は弱いな本当!!

 

「は、はい!」


 嬉しそうな笑顔でミルム達の所に戻るティンク


「…………ふぅ」


 頑張ろう……俺の理性&良心



 ・・・・・・・・・



 さて、5月になった


 オルベリンも帰って来たし

 ルーツからも準備が整ったと連絡が来た


 玉座の間に将を集める



「既に知っていると思うが……これからガガルガを侵攻する!!」


『おおおおおおお!!』


 兵達の歓声

 士気高いな!!


「編成を伝えるぞ……」


 俺は将の名を呼び、編成を発表していく


 第1軍団

 大将 ヘルド

 副将 サルリラ


 兵数 8000


 第2軍団

 大将 カイト

 副将 レルガ


 兵数 6000


 第3軍団


 大将 ルーツ

 副将 メビルト


 兵数 6000



「これでいく!!」

 合計兵数2万

 残りはオーシャンに3000

 北オーシャンに5000

 で守りに徹する


「坊っちゃん!」


 意義あり!って感じでオルベリンが前に出る


「どうしたオルベリン?」

「何故ワシを共に行かせないのです!?」

「それは私も気になりますね」


 レリスが俺を見る


「理由は2つだ」


 俺は人差し指を立てる


「1つ、俺はオルベリンに頼りすぎてる、防衛戦でも、マールマールとの戦いでもな」


 敵はオルベリンにビビって士気が下がっていた所もある


「だから今回は頼らない……そして勝とうと思う」


「しかし……」


「もう1つの理由……こっちの方が重要だな」

「…………」


 全員が耳を傾ける


「カイナスだ……不作で兵糧も無いから攻めてこないと思うが……ケーミストはそれを気にするとは限らない、その為に守りもしっかりとしないと駄目だが……どうしてもここには3000しか残せない……そこでオルベリンに残ってほしいんだ、オルベリンが居ればカイナスの奴らは怯んで攻めてこないと思うし……攻めてきてもお前なら撃退してくれると信じている」


「坊っちゃん……」


 俺は立ち上がりオルベリンの前まで歩く


「ここには民も……家族も……俺の妻も居る……絶対に守りきれるのはお前だけだ……頼まれてくれないか?」


「……坊っちゃん……うおおおおお!!この!オルベリンにお任せを!!民も!アルス様もミルム様も!!ティンク様も守りきってみせましょう!!」


 オルベリンの筋肉が膨張して鎧が弾けとんだ!?


「あ、ああ、任せたぞ」


 ビックリしたが頼もしいな……



「よし!では明日出撃する!全員戦支度を整えよ!」

『はっ!!』



 翌日、俺は兵を連れてヘイナスを出た


 先ずはマールに向かってルーツ達と合流


 その後、部隊を予定した編成にして進軍だ!!


 ……勝つぞ……この戦い!!

















現在の東方大陸の兵力

オーシャン

2万8千


ガガルガ

3万9千


パストーレ

5万4千


カイナス

12万

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